FPのひとりごと

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あの頃のボクの本命は誰だったんだろう



クソ忙しい中を縫って



思い思われふりふられをくりかえしていたが



いずれ濃密な時間を過ごした…  濃密?



いや結果的には濃密だったのかもしれないが



それは濃密ではなく疾走した刹那の時間の積み重ねだった



ずーっとノンストップで走り続けていただけだった(←オマエはマグロか!)





広報部のKさん ギャル風 ゆきぽよ似 かなりタカビー



ちょっと近づける感じではなく 視線もきつかったが



寿退社すると聞いて お祝いに駆けつけたところ



ボクの耳元で囁いた



 『もっと早く出会いたかったわ💛』



リアルに受けちゃいけないのはわかっていたが まあ秒殺(された)



ちょっとした送別会のお開きで



 『今度車で迎えに来て💛』 と



後さき考えずに



 『ハイ!』 と答えたが



人妻(になる予定)だし ボク車持ってないし…



ちょっと背徳と人生崩壊の匂いがした 〜くわばらくわばら〜





本社の新人女性の中にミッション系女子大卒のIちゃんがいた



早大卒のカレシがいたが 別れたと言ってた



セクシーとは対極にある美少女系のルックス



単純に好みでした (←守備範囲広すぎやろ! 誰でもええんかい!)



ある日 自宅に☎をした



単刀直入に 『つきあってくれない?』(厚顔無恥∞)



      『やだ!』



すぱっと断られた



悔しいというより爽快感が残った 見事にフラれた





秘書課というのは社長直属の部署だ



だから美人の宝庫(優秀なのは当たり前)



気障な課長の目が光る中(部下に手出すんじゃねえぞ!)



やはり2人の美女が穏やかな笑顔で迎えてくれた



お目当ては同期のNさん



スレンダーな大和撫子風のお嬢さん



話をしてみると 控えめでおとなしい印象 見た目通りだ



こういう女性は男の妄想を掻き立てる


(↑オレの色に染めてみたい みたいな)



結婚したら まちがいなく良妻賢母だ



もちろんど真ん中ストライクで好きだったのだが 



恥も外聞もなく攻め込むだけが取り柄のボクが



なぜかうじうじしてタイミングを逃し



ついにアプローチすらできなかった 後悔MAX!





結局(薬局 放送局)本命は不在



っていうか みんな本命



そして みんな大好き



四十年たっても色あせぬ青春模様



できれば同窓会でもやって旧交を温めたいものだ


6月は社員旅行の月だった



佐分利部長から その幹事を仰せつかった



約200名の宿泊旅行をコーディネートするのは楽じゃない



ボクはこう言いながら頑張った



『コーディネートはこうでぃねえと!』(シカト上等!)



一番の難物は大宴会の余興をどうするかだった



本社の新人約20名をまとめてなんか芸を披露せにゃならんのだが



いろいろ考えて結局“人間カラオケ”をすることにした



いまでいう『ボイパ』の学芸会バージョンを思いついたのだ



主旋律+コーラス+オケ(リズム+メロディー+効果音)に



メンバーをパート分けし さらにキワモノ部隊も創出し



笑える総合エンターテインメントを目論んだ 



曲はピンクレディーの「サウスポー」







屋上のバレーボールチームの失笑をものともせず



我が新人チームは連日屋上で練習に励んだ



チームの結束は強まり メンバー間の距離も急速に縮まった



渋谷でブッキングに失敗し 一度は悪者にされた同僚Kも



おかげで“隣の女子”と付き合ったとか(確認はしていない)



(オレが道玄坂で彼女に手を出していたらなかったんだぞ おまえら)






箱根の有名旅館の大広間でやらかした“人間カラオケ”は



予想外にウケてしまい (社長に握手を求められた)



総合プロデューサーのボクはヒラから宴会部長へと昇進したのでした



ところでオマエはちゃんと仕事をしていたのか? って



いやいやご心配なく むちゃくちゃに忙しかった



寮を一番に出発し 帰りはいつも一番最後



寮の冷たい晩御飯を暗い食堂で一人で食べていた





入社してほぼすぐに春闘がらみの労使交渉が始まった



労使の“労”の方の最末端(=給料が一番安い)なのだから



本来は労の方の最前線で交渉すべき立場なのに



総務部人事課という部署のせいで “使”の方に入れられた



鉢巻をして賃金アップを要求する労働組合の幹部に対峙し



役員のお歴々に同席して会社側の立場を説明する 頭は混乱した



当たり前のように紛糾する交渉は毎回決裂して終わる



それを社内に速報するのもボクの仕事



熱を帯びる交渉は深夜12時を回ることもしばしばなので



当然のように徹夜になる



先輩諸氏はソファアーで仮眠をとるが 起稿者は寝れない



そんなことが春先だけで5・6回



新兵さんは辛いのである


オフィスの昼下がり



屋上ではバレーボールだったのだ 昭和の時代は



なんだって そこの若いの! 意味が分かんねーって



だよね わかんないわな 



純粋昭和レトロ親父でもよくわかんない いまでは



なぜか社食で昼飯を食べ終わると



若い男女が三々五々屋上に集まってバレーボールを始めたのだ



といってもゲームをするわけではなく



みんなで輪になってパスをつなぐのだ 『ソーレ』『ハイ』 って



別に着替えるわけでもなく 仕事のカッコそのままで



やってるときはなんかルーティンみたいなもんだったけど



今 画を思い浮かべると かなりシュール(ヤバめ)だな これ



そこには 腕自慢だけが集まるわけではなく



特に女子は運動音痴系ド素人も参加する



そういう子はキャーキャー言いながら ボールをあちこち飛ばすのだが



それを腕自慢の男子がひょいとカバーし喝さいを浴び溜飲を下げる




そんなのをひと汗かきながら0:55まで楽しんだオフィスライフ





しかし



なぜ昭和の男女は昼下がりに屋上でバレーをしていたのか



永遠の謎だ


初夏の日曜日  空はピーカン



件の上司と一個上の先輩がドライブしようと誘ってくれた



断る理由もないので 上司の赤いカローラに乗せてもらった



明け放した窓から入ってくる風がさわやかだった



どういうコースで走ったかは定かでないが



いつしかシーサイドを快適に走っていた



男3人のドライブを十分楽しんだ後



とある喫茶店(レストラン?)に車を停めた



こじゃれた店に入って席に着いたら 窓越しに海が見えた



先輩たちが「三浦岬が見えるよ」と口裏を合わせた



たばこを吸おうと店のマッチを手に取ったら



そこは『ドルフィン』という店だった



ここまでくれば 勘のいい人なら気づくのであろうが



田舎者でどんくさいボクはただぽけーっとしていたら



呆れた先輩たちが 『だから〜』



♪♪山手のドルフィンは〜 静かなレストラン



  晴れ〜た午後には遠く三浦岬が見え〜る♪♪



『だろっ!』



      『!』



ワオ! ここが あのドルフィン!!



ユーミンが「海を見ていた午後」で歌っていたあのドルフィンだった




  ☕  ☕  ☕  ☕  ☕  ☕




       ⛵  ⛵  ⛵  ⛵  ⛵  ⛵  ⛵  




先輩たちの粋な計らいで



忘れられない最高の日曜日となった



それは怒涛の新入社員時代の一時のオアシスであった


山とある仕事の中に ボクの好きな仕事が一つあった



旅費交通費の精算業務だ



社員が出張後に出してくる請求書をチェックして会計に回す業務



チェックは誰に対しても平等でなければならないので



相手が新入社員だろうと役員だろうと容赦なく厳しくチェックした



疑義があれば直接その部署まで出向き問いただした 不正は許さんぞと



唯一偉そうにできる仕事であった



事情聴取と称して各部署巡りをするのであるが



目的はもう一つ 💛 当然 女子社員巡り! 隅々まで☑だ



職場の花を見つけては 用もないのに油を売った



どこにいっても おおむね反応は良好なのだが



開発部のMちゃんの歓待は特別だった



最初はちょっとはにかむのだが 



話し始めると飛び切りの笑顔がはじけた



小柄でスリムでキュートな開発部の看板娘だった



ある日 給茶室で竹下(景子)先輩から



『Mちゃんを飲みに誘ってあげて💛』と頼まれた



いやいいんだけど 同僚のFがMちゃんのことを気に入っていたはず



なんかごちゃごちゃでめんどくさいんで 



≪竹下―M−F−ボク≫をひとまとめにして新宿に飲みに行った



北の家族で竹下先輩はMちゃんをボクに ボクはFをMちゃんに売り込んだ



話がまとまるはずがない



Mちゃんは帰り道の新宿駅の東口を泣きながら帰った



心が痛んだ



青春は時に残酷だ(って俺が薄情なだけか…)