FPのひとりごと

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いま 私の手元には
マドンナに関する“思い出の品”はなにも残っていない
なぜなのか

それは・・・

あるとき マドンナとの店外デートに成功した
市内の繁華街で 待合せて“お茶”した
さて次は 映画でもと思っていたら
K子さん 『次 行かなくちゃ』 と
『えっ・・・』
結局 本チャンの待合せの“時間調整“だった

私 ちょっと待ってよ せめて写真だけでもと
路上で スナップを数枚撮らせてもらった
そのときのK子さんの“お姿”がすごかった
まばゆいばかりの白のワンピースをお召しだったが
小顔で細身で長い足なのにウェストがないに等しいくらい細い
その現役モデルのような“お体”に純白のワンピース
いつでもきれいなのだが その日は輝きがちがった
歩行者が立ち止まって ちょっとした人だかりまでできてしまった

『ごめんね また今度・・』 K子さんが去っていった

寒風が吹き荒んだが 写真が残ったことで立ち直った
さっそく現像し 一番のできのいいのをパネルにした
それは いつしか私の宝物になったのであったが・・

パネルを見た親友が俺もほしいと言い出した
これはやれんからと ネガを奴に渡した
ところが奴はそれを 新潟交通のバスに置き忘れた
奴のせいで ネガが消失してしまったのであった

その後 パネルは私が引っ越すたびに移動はしたが
必ず1日1度は見える場所で K子さんは私に微笑んでくれた
ところが
結婚がきまったとき
悩みに悩んだが
やっぱりまずかろうと 処分した
なにも後ろめたいことはないんだからいいじゃない とは思うが
でも  やっぱり ねーー

ということで なにもなくなってしまったのであった

でも 逆に 心の印画紙に強烈に焼き付けられたK子さんがいて
その画像は 永遠に完璧なマドンナであるK子さんのまま
これでいいのかもしれない・・・

なんだか いろんな情感を残しつつ
字余りのようで 字足らずのようで
終わってしまうのが 心残りではあるが

このシリーズも 封印しよう
運命的で悲劇的な別れによって
“美の女神”として私の中で神格化されたK子さん
“巨人の星”じゃないけれど私の心のギャラクシーで
美しく輝く星として いつまでも燦然と輝きつづけている・・


ではあるのだが・・


実は むちゃくちゃ“人間的な”K子さんにも遭遇している

最後の宴が終わり やっと内内定をもらった頃だった
その頃 私の最大の目標は単位取得⇒卒業
そのことで頭がいっぱいだったバイトの昼休み
バイト先の近くを何気に歩いていたら

『おな〜べちゃん!』 と 聞き覚えのある声

えっ でも まさか ・・・と振返ったら
なんとなんと マドンナ K子さんではないか
いやー びっくらこいたこいた
白昼 こんな場所でこんなシチュエーションで遭遇するなんて

ちょっと地味目ないでたちで 大きなマスクを着用している
風邪でもひいたんだろうか “式”はまだ先だから大丈夫?!
などと 勝手に思いを巡らせていると

『お茶飲もう!』 と言われた

断る理由など まったくない 即OKして近くの喫茶店へ

私 『風邪?』 って聞いたら

K子さん 『歯の治療なのよ』 

     『結婚前に悪いところは全部治しておきたいから』

     『マスクを取ったら百年の恋もさめるわよ』

と言って いたずらっぽく笑った
どうも歯の治療で前歯が一時的に欠損してるようであった

K子さん たのんだエスプレッソを飲むときマスクを取るしかないが

  『おなべ! むこう向いてて』 微笑みながら かわいく命令された

私だって マドンナの“尋常でない”姿は見たくない

お互いの近況を話したのではあるが 彼女がカップを持つたび後ろを向いた
傍から見られていたら かなり不思議な光景であったろう
彼女は間近に迫る“華燭の典”に向けて“メンテナンス”中だった
私の就活のことも気に留めてくれていて 内内定を喜んでくれた
職場の凛とした姿も素敵だが 日常の“素”の彼女もまた素敵だった

『こんなとこ見せられるの家族と“おなべ”ぐらいよ』 と言われて

この時点ではすっかり心の整理がついていたので 素直に嬉しかった


でも これがほんとの彼女との別離となったのであった
二次会で盛り上がり
我々(俺と親友)はK子さんに提案した
3年後の○月○日に△△で逢いましょうと
K子さんとの絆がプッツリ切れるのが怖かったのだ

K子さんは快諾してくれた
いやー心底うれしかったねー
切れると思っていた絆がなんとか繋がったんだもの

楽しかった“最後の宴”も終了し
我々はK子さんを見送った
カジュアルな装いなのに優雅な後姿だった・・


さて3年後
俺も親友も留年して5回生になっていた
ちょうど就活の頃であったが スケジュールはしっかり開けておいた
親友も3年間この日を待っていたようで興奮気味だった
親友は前の日から我がアパートに逗留し準備万端だった


いよいよ当日の約束の時刻 約束の場所
胸が異常に高鳴り いやがうえにも高まる期待
ああ〜 K子さんに逢えるんだ−!!

ところが

待てど暮らせど K子さんは現れない
30分経過しても やっぱり現れない
あせってくるとともに一縷の不安が心をよぎる
まさか まさか 忘れてる なんてことは・・・

実家に電話して 実家からK子さんに連絡してもらった
やっとのことでK子さんと電話で連絡がついた
懐かしい声ではあったが・・ なんとなんと忘れていたのであった

『ガ−ン』大ハンマーで後頭部を殴られたような気分だった

K子さんは 一生懸命謝って『明日会おう』と言ってくれた
でも 翌日は第一希望の会社の面接日であった
さすがに面接をキャンセルすることは許されない状況だった
やむなくK子さんの申し出をお断りした

いろんな意味でショックだった
逢えるチャンスなのに面接日と重なったこと
K子さんが約束をわすれていたこと
そして たぶんもう一生K子さんと逢えないであろうこと・・

失意のまま 我が青春の純愛は昇華した
永遠の思い出 永遠のマドンナになって
でも ショックはショックであったが
逆に考えれば 約束を忘れるほど幸せな充実した日々を送っていたと
考えられるし そう考えたい いや絶対そうなんだ と
自分に言い聞かせ 宝石箱に思い出とともに封印した

それ以来 宝石箱は封印を解いていない これからも永遠に
K子さんが飲みに連れたいってくれた
なぜか我が親友も一緒に招待された
ちょっと不満はあったが 奴も思いは同じ
もう会えなくなるんだし その意味では同士だ

当日の夜 待合せに現れたK子さん
いつもと雰囲気が全然違った
われわれのカジュアル(きたない)格好に合わせて
カジュアルないでたちで来てくれた
どこまで優しいんだろう このマドンナは

最初は お寿司をごちそうになった
学生では絶対いけないような店でめちゃおいしかった
会話もはずみ 楽しかった  でも・・
楽しければ楽しいほど 迫り来る別れが胸を締めつけた

二次会は 私がよく溜まっていたパブだった
顔見知りのマスターが目を丸くしていた
そりゃそうだ いつも連れて行く女性と
明らかに違う別格中の別格の女性を同伴したんだもん

そこで 最後の最後の話しをした
ご主人(になるべき人)のことは極力避けたが
結婚してからどうするの ということを聞くと
専業主婦で レザークラフトなどをして暮らすという
mmmmどっからどう見ても絵に描いたような幸せな家庭生活だ
なんだかそれを聞いて不純な思いが吹っ飛び
純粋にK子さんの幸せを祈らずにはいられなくなった
我が愛する永遠のマドンナよ 幸多かれ!

しかーし この後 K子さんと交わした約束が
私と親友に悲劇を見舞うのであった
楽しい時間というのは永遠に続かない
そんなことは誰にもわかっていることなのだが・・
我が青春のマドンナとの別れ−これだけは考えられなかった

それは ある日突然やってきた
私が一番恐れていた そう 結婚が決まったのであった
彼女からそれを唐突に聞かされたとき
『おめでとう・・』 と声を絞り出したが
心の中は 強烈なハリケーンが吹き荒れていた
誰が考えたって明日をも知れぬ貧乏学生と
7歳年上で どこから見ても完璧な女性とが
“ハッピーエンド”になるわけはない
そんなこたー言われなくたってわっかってらー
でも でも でも ・・・・・
その晩は あまり飲み慣れない日本酒をいただいたが
味など全然わからず いくら飲んでも酔えなかった

K子さんは そんな俺の姿を見て
『今度 のみに行こう!』って言ってくれた
優しさが身に染みて 今度は酔いが回った


その晩 アパートで泣き明かした 一晩中
バイト先の大型家電店の上司3人を
K子さんのいる○梅にご招待したことがあった

ご招待たって支払いは割勘にしてもらったので
お店にお連れするといった塩梅のご招待
こんないいお店があるんだよという告知と
こんないい女と俺は知合いなんだぜという自慢が
入り混じった若干不心得なご招待ではあった

事前にK子さんには『お世話になってる上司を連れてくるから』
と言っておいたので プラスアルファの期待はあったが・・

店に入ってびっくり!
K子さんが和服で『いらっしゃいませ!』と
いやーー和装ははじめて見たがむちゃくちゃキレイ
K子さんもちょっと気合を入れてくれたんだと思ったら
うれしくてうれしくて天にも昇る気持ち
週末で店は混んでたのに席もいいところをとってくれていた

連れてった上司達もK子さんの美しさには息を飲んでいた
いっつもめちゃキレイなのに 今日は気合まで入っている
あの日のK子さんに惚れない男は世界中に誰一人おるまい
私を含め男どもがぽーっとしてるところにK子さんが現われ

『うちの弟がいつもお世話になっています』とご挨拶

それを聞いた私  うれしさ半分 そして 寂しさ半分

うれしさ  家族みたいな親しみを持ってくれてたんだ・・

さびしさ  弟って 恋愛対象外かよ・・

まあ そんなことはわかっていたことではあるが・・

めちゃおいしい料理であったが 酒はなぜかホロニガだった