FPのひとりごと
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魑魅魍魎
掃き溜めのお化け屋敷には妖怪たちが跋扈していた
隣の部屋には長身の中年のオッサンが住んでいた
廊下で会うと 会釈を交わす程度の付き合いであった
ちょっと妙なテンション?を感じたが まあ許容内だった
しかし 夜な夜な女を部屋に連れ込んでは“どすこいどすこい”
もううるさいったらありゃしない
壁を叩いて抗議したろ(または萎えさせよう)と思ったが
もうすでに朽ちて ぼろぼろと壁土が落ち始めている壁
こんなのをぶっ叩いたら壁が消失してしまうのでやめといた
秋になったらぱったり音がしなくなった
大家に聞いたら 詐欺で捕まったとのこと…
👻 👻 👻 👻 👻
掃き溜めに鶴がいた
どの部屋に住んでいたのかはついにわからんかったが
色白でロングヘアーで中野良子似の超美形が確かに住んでいた
廊下や玄関先でたまに遭遇するのだが 目を合わせてはくれなかった
ちょっと視線が泳いでいたのが気にはなった
口説いてみようかなどと思ったりもしたが
妙なオーラ(バリア)がそれを思い止まらせた
日中部屋にいると 呪文のような低い唸り声が聞こえてきた
それは時々絶叫に変わり 絶頂を迎えた後にこと絶えた
凄まじいエネルギーと狂気を感じた
あとでわかったのだが 新興カルト教団の熱烈な信者だったらしい
熱帯夜の夜更け 彼女らしき女性が『こんばんは』と我が部屋を訪ねてきた
据え膳ウェルカムの節操なしオトコが居留守を使った
熱帯夜なのに全身鳥肌が立っていた
👻 👻 👻 👻 👻
1階のどっかに住んでいる男だった
ミシンのセールスをやっていると聞いた
そいつが仲間2人を引き連れて我が部屋を訪ねてきた
なんのこっちゃと思っていたら 積立をせいと言う ミシン屋が積立?
男はカタログ販売のセールスで オレに会員になれというのだった
『1万円でいい』と男は言った
そんなもん払えない というと最後は1500円までダウンした
『こんなアパートに住んでる留年学生に払えるわけないだろ!』
ちょっと強めに言ったら はっとした顔で『だよな』と呟いた
最後は一人100円ずつ迷惑料を置いて帰っていった
奴らはその強引すぎる営業で名を馳せたぼったくり軍団だった
悪名高い飛び込みセールスにまで施しを受けてしまった 😢
👻 👻 👻 👻 👻
出かける時に玄関の床に腰掛けると 肩に手を置く婆ちゃんがいた
あれっと思って振り返ると誰もいなかった
なんで婆ちゃん? 雰囲気 雰囲気
不思議なことに当時はなんとも思っていなかった
猛暑に耐えきれず ブルーシートの上に素っ裸で横たわり
水道の蛇口から引っ張ったホースで放水して涼をとる輩がいた
厳冬に暖がなく さりとてろくな布団や毛布もなく
しょうがなくて煎餅布団の上に本や週刊誌をかけて寝る奴がいた
「・・・」
って そいつ誰?
👻 👻 👻 👻 👻
嗚呼 昭和は遠くなりにけり
2021.02.21:
tnw
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