FPのひとりごと
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それぞれの老後・・ つづき
Eさんは たぶん65歳前後だ
国立大経済学部の大学院から都庁に就職し
縁あって この地で会計事務所を開いた
殆ど仕事がないとき 支えてくれた自営業者がいて
その方の業績不振を挽回するため 一生懸命努力したが
努力も実らず 万策尽きて 彼は自ら命を絶ってしまう
生命保険が支払われて 家業も家族も救われた
悲しい話なのに それを私に淡々と話す姿に逆に感動した
Eさんの手法は次第に受け入れられるようになり
みるみるうちに関与先が増えていった
私もそのカリスマに引き寄せられ 業務上のコラボをするようになる
その頃 Eさんが経営者向けに書いた「心得」が忘れられない
それは「すべきこと」「すべきでないこと」を箇条書きにしたものだった
その中に「経営者は3ナンバー車に乗るべからず」という一文があった
時正にバブル 誰もが高級車を競って乗ってる時代にこの一言
私は この箇条書きをコピーし 知ってる経営者に渡しまくった
賛同してくれる経営者も多く 私自身も自分への戒めとした
その一年後くらいのことだった
なにげにEさんの事務所前を通りかかったら 見慣れぬ車が止まっていた
3ナンバーの国産の高級車だった・・
「いや あんなの中古車だから あっはっは」
「 ・・・・・ 」
その駐車場でベンツを見るのに 3年はかからなかった
FPという職業柄 資産家から長者番付に載りたくないという相談も受けた
ある意味 資産運用とは逆行する仕事なのだが それも業務ではある
資産家にとって長者番付は百害あって一理なしで 妬み嫉みを生むばかり
私もEさんとコラボで なんとか圏外になるよう画策した案件もあった
なのに ある年 あろうことかEさんが長者番付に載った
唖然とする私に
「いやー 一度載りたかったんですよねー」
と言った 満面の笑顔で
それから間もなくして 私はEさんと袂を分かった
その後 Eさんに なにがあったのかはよく知らない
Eさんが自己破産したらしい
いろいろと関わってきた身として 胸中は複雑だ
人生って 得たものと失ったものは同量になるのだろうか
どうしてもそんなことを考えさせられてしまう・・
人生はドラマだけど 残酷なまでのドキュメンタリーでもあるようだ
2013.11.11:
tnw
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