FPのひとりごと

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その日 親分 『シマ』で
組同士の イザコザが
あったんだそうです
それもあって イライラしてんのに
小僧っ子に マージャンで
コテンパンに やられて・・・

ついに 爆発してしまったんです!!

『テメー イカサマしてやんな!!』
と 言うが早いか
緑の雀卓が 引っくり返されて
パイとともに 私のほうに
せり上がって きました
雀卓が ちょうど180°回転して
元の位置に 着地すると
親分が なにかピカッと光るものを
取り出して 私のほうに
振りかざして きました
なんだか さっぱり 状況が
飲み込めない 私で ありましたが
なんとなく 命に別状を 感じ
その 光るものを 左手で
さえぎりました
みなさんの ご想像通り
それは いわゆる 匕首というやつでした

親分 私に 危害を加える気持ちなど
毛頭なく
雀卓に バーンと 立てることが
目的でした
そこに 左手で それを
さえぎろうと したんです

ばか でした

私の左手から やくざ映画のように
血が ピュ−っと 吹き出ました

         (つづく)
親分の雀風は
その風貌に 似ず
穏やかで オーソドックスな
もの でした

勝っても 負けても
淡々と していました

私との勝負では
若さの勢いで
私のほうが 圧倒的に
勝っていました 
私が かなり “いただいて”ました

忘れもしません
あの 熱帯夜
私は すでに 大勝していました
その 大勝分
ほとんど 親分の 負け分でした

暑いのと 大負けで
親分 なんか 変でした
いつもと ちがい
いらいら していました

そして 事件は
起こって しまったのです

         (つづく)
背後に 重〜い空気を
感じました
卓を囲んでいる他の面子も
一瞥して 目を伏せています

反転して その人を
見ました →
もしかして・・・
という思いもあったのですが
やっぱり 『ビンゴ!!』
親分 でした

親分 『おおーバイト!!』
私  『あ゛〜親分』
まわり『シーン・・・』
親分 『ばかやろー親分と言うな!』
私  『すみません・・』

意外な場所で 劇的に
再会を 果たしました
親分 一見(いちげん)さんなのです・・
普通 一見(いっけん)して『その筋』の方と
わかる人は 入れないのですが
その独特の風貌と『押し』で
入っちゃったんです 親分
お見事!!

で それから ある事件が 起きるまで
私と 親分は その雀荘の常連として
仲良く 卓を囲むことに なりました。

          (つづく)
私の学生時代
楽しみは かなり 限定されて
いました

いまみたいに 携帯も
マイカーも ゲームも
ありません

やることと いったら
酒 パチンコ(雀球) マージャン
ぐらいしか ないんです

麻雀は 好きだったし
学生相手では 無敵でした
バイトの帝王 ですから
遊ぶ金も 持ってるし
学生相手では 小金しか
稼げないし・・・
いつしか フリーの雀荘に
出入りするように なっていました

ここは かなり 『やばい臭い』が
することも ありました
たまに 『バイニン』と呼ばれるプロに
出会うことも ありました
こういう人たちに たまに
大技(イカサマ)を 決められることも
ありました
勝率は 九六(くんろく)大関並みでした

ある日の 午前0時過ぎ
背後から
聞き覚えのある
かすれ声が
聞こえてきました

          (つづく)


そんな こんなで
なんとも 形容しがたい
バイトが 終わりました

バイト料だけでなく
すべてが 破格の 出来事
でした・・

少なくとも 親分+子分には
以後 2度と 会うことは
ない!! と 思っていました

あの時は 一瞬とはいえ
背筋を 凍りつかせた
あの 親分
怖かったけど 人情派で
『任侠』とか『侠客』とかの
そんな言葉が 似合う
そんな その筋の 方でした

まあ でも 所詮 すむ世界が
完璧に 違うんだし
再会など するわけは ない!
と 思っていたんです

ところが・・・

あるんですねー
偶然というものは

      (つづく)
親分は 人目を はばからず
大粒の涙を 畳に 滴らせ
私に 言いました

『おまえが いなかったら
今回の現場は 失敗していた
もし 失敗していたら 俺は
新潟港に 沈んでいた
俺は いつも 隣の部屋で
おまえらを 監視していた
おまえは 酒を くらって
大いびき だったが
他のやつらは こっそり逃げる算段を
していた 知らんだろ?
(知らんわ)
おまえが 酔っ払って
こいつらに 『こんなに いいバイトは
ないぞ!』と 言って たこ部屋の からくりを
おもしろおかしく 話してくれたからこそ
こいつらも 残り おかげで 契約も履行でき
俺の命も つながった・・・
(しばし絶句・・・)
ありがとう・・・
(涙声)

だがよ
きのうは もう少しで 切れるところだった
切れたら おまえが 新潟港だった』
と言って
ニヤッと 笑いました
ゾ〜〜〜

でも 二つのことで 驚きました
一つは “新潟港”が 当たっていたこと
そして もう一つは
仲間に なにか 言った!? などと
いうことを 全然 覚えていない
ことでした

情けない

         (つづく)