ＦＰのひとりごと

確か　一人余計に集まってしまい　“二抜け”にしたような気がする

二抜けって　抜けてたヤツのヤル気がなかなか萎えないところがあって

長丁場になることが多い　その晩も麻雀は延々と続いた

狭いアパート故　音はほとんど筒抜けで　ギャラリーも増えてくる

と　先輩（アパートの住人）が『この人誰？』と聞いてきた

『あっ　同級生です』　とＴｸﾝ

『春休みなの？』　と先輩

『一浪で受験です』　とＴｸﾝ

『どこ受けるの？』　と先輩

『うちの大学です』　とＴｸﾝ

『うちの大学・・　受験・・　って　明日のこと？！』

『ハイ！』　屈託のないＴｸﾝ

一心不乱に模打する受験を翌日に控えた予備校生Ｓ・・

その後　アパート中が大騒ぎになってしまった

2014.03.07：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]

受験生愚考伝・・⑩

成り行きで受験し

偶然となんらかの錯誤と運命のいたずらで合格し

隣県というだけで　他に何の縁もない大学に入学することになったＴｸﾝ

まあ　運命に身を任せてはみたものの　夢見たｷｬﾝﾊﾟｽﾗｲﾌとは程遠く

失意のまま一年が過ぎた翌春の２月

一浪していた同級生Ｓが『受験するから泊めてくれ』と言ってきた

広さ四畳の部屋だったので　大きな顔はできぬまでも

一応　大学生の先輩として　余裕をかましてＯＫを出した

が　なんと　やつめ　もう上智が受かってるなどとぬかす

ならばなにもこんなド田舎の駅弁大学など受けるまでもなかろうに

やはり　親が最後の望みを託して受験を命令（懇願?）したとのこと

自分と似たような境遇？　救ってやらねばと　Ｔｸﾝ男気を出した

出前でカツ丼などを食わした後　気を使って外出しようとしたら

Ｓめ　『麻雀しよう！』などと言い出す

『オマエ立場わかってんのか！』などと言ってはみたものの

その気持ちわからんでもないし　逡巡をしていると

情報を仕入れた同胞たちが都合よく集まってくる

メンツはそろうし　春休みでみんなヒマだわで

なんとあろうことか　翌日に受験を控えた予備校生と卓を囲むことになる

2014.03.06：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]

受験生愚行伝・・⑨

いや　まだ同姓同名ってこともある　などと疑心に満ちたＴｸﾝであったが

新聞に名前が載った段階で　受け入れざるを得ないと観念した

（高校名が入ってるんだから　まちがいようがない）

なにがどうなってそんなことになってしまったのか・・

いやはやなんともさっぱり全然・・　　であった

後から赤本をチェックしたら（って　まるっきり順番が逆でしょ！）

１科目でも『０点』があれば　他で何点取ってもＮＧと書いてあった

ならば　数学の『０点』はどこにいってしまったんだろう

『０点』には絶対の自信がある　だって１問も答えてないんだから

４０年たった今でも　Ｔｸﾝは『なにか』があったと思っている

なべやかんみたいに“見知らぬ紳士がやってきた”わけでは勿論ないが

パソコンなんかない時代　人為的なミスだって十分考えられる

というか　一生懸命志望した受験生が１人絶対犠牲になってるわけで

パチンコして　ラガー飲んで　大ヤマが当たったふざけた受験生が

合格など絶対してはいけないのである！！

できることならば　合格を返上したいと本気で思ったが

周囲の熱烈な祝福の中　そんなことを切り出せるはずも勇気もなく

数奇な運命に身を委ねて　１８才のＴｸﾝの人生は漂流し始めるのでした

人生はつくづく不条理である

2014.03.05：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]

受験生愚行伝・・⑧

一期校の受験のことなど　もうとうに忘却の彼方に追いやっていた頃

表面的には　二期校受験のスタンバイみたいな顔をしながら

裏では　代ゼミや駿台のパンフを取り寄せては　いろいろと思案するＴｸﾝ

バイトしながらの予備校生って　やっていけるのか・・　とか

どうにもならんのなら　読売奨学生もあるな・・　とか

そんな折　一期校の合格発表があった（ようだ）

（不）合格電報など　当然のように手配していないし

ラジオでの発表（昔はあったんです）も勿論聞くはずもない

ＦＭで大音量でハードロックを流していたので

両親は　傷心の息子がヤケになってると思っていたようだ

電話が鳴った

一緒に受験した友達からだった

いきなり　『おめでとう！』と言われた

まったく意味が分からず　『なにが？』と言ってしまった

意味不明というか　青天の霹靂というか　支離滅裂というか

もう一度『合格おめでとう！』と念を押されて初めて気づいた

合格しちゃってんじゃないかって風なことを言われていることに

いや　でも　どう考えてもあり得るはずがないので

『いや　絶対そんなはずはない！』と断言したら

『ラジオでオマエの名前をしっかり発表してたよ！』と返された

『　・・・・・　』　返す言葉がなかった

とてつもない驚きの後に　Ｔｸﾝ妙な感覚にとらわれた

人生を動かす歯車が　自分と無関係な次元で回りだしているという・・

そこから　Ｔｸﾝの人生は予期せぬ方にガガガッと動き始めるのでした

2014.03.04：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]

受験生愚行伝・・⑦

勘のいい方なら　すでに次の展開がお分かりでしょうが・・

ＢＩＮＧＯ！　そのとおりなんです　これが

ヤマが当たっちゃったんです　大ヤマが見事に

狙ってんならいざしらず　不作為そのものなのに当たっちゃったんです

日本史の問題が全部で何問あったかは　もう忘れてしまいましたが

ポイントとなるような重要問題２問が　そこにスコーンと出てました

Ｔｸﾝ　『はぁー？』ってなもんですが

解答できるのにわざと間違えるほど　根性は曲がっておらず

ス～イスイと日本史を乗り切ってしまいました

想定外中の想定外です　かけてもいない大ヤマが当たっちゃうわけですから

で　なんだか妙にテンションが上がっちゃって

その後の科目もイケイケとなり　二日間の全日程を終了しました

なんだか妙に爽快だったのを覚えています

とはいえ　数学は０点　理科（地学）も推して知るべし

結果は誰の目にも明らかでした

が　人生のディープさをいやというほど味わうことになるのです　この後

2014.03.03：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]

受験生愚行伝・・⑥

初日の全日程が終わった

みんな悲喜こもごもの表情でホテルに戻ってきた

局所的に試験の話などで盛り上がっているのを横目に見て

やることのないＴｸﾝ　またパチンコ屋へと赴くのであった

でも残念ながらこの日は戦果に乏しく　軍資金を使い果たして早目のご帰還

ホテルの部屋で一服しながら　時間を持て余していた

そういえば明日ってなんの教科だっけ・・？

あっ　日本史があったんだ　（って　そういうﾃﾝｼｮﾝなんで仕方ないんです）

いろいろあって（ここ語ると話がかなり長くなるんで・・）

日本史は授業以外では　ほとんどなにもやっていなかった

そこで　なんと　ほんの気まぐれに　参考書などを開いてみる

ばさっと開いたページをなにげに読んでは　フムフムなどと頷き

もういっちょ開いたページも　それなりにチェックしてポイ！

『なんちゃって～』　みたいな・・

残っていたラガーを一飲みして眠りについたのでしたが

この気まぐれが　この後のＴｸﾝの人生を大きく左右してしまうのでした

2014.03.02：tnw：コメント(0)：[メモ/選択の妙]