FPのひとりごと

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駅前通りを駅に向かって直進していくと 異様な光景に出くわす



巨大な壁のような建造物が否応なく視界に入ってくるからだ



近くまで寄ると 見降ろされ感で圧倒される



狭い駅前通りの寂れた商店街にはまったくもって不似合いだ




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建設中の新しい市庁舎だそうな…



しかし



どういう理屈を組み合わせれば あんな巨大建造物に繋がるのか



まったくもって理解に苦しむ



目見当だとあの半分でも十分だろう



おらが街の人口はかなり前に3万人を切り その後も減り続けている



早晩2万人を切り いまの半分になるのに20年はかかるまい



そんな黄昏の街になんで身の丈以上の市庁舎が必要なんだろうか



建設費としてどれだけの金額を起債してるのかは知らんが



我々の子孫に大きな負債をしょわせるのだけはまちがいない




  💴   💴   💴   💴   💴   💴




建設費を半分にしてくれれば 救われる弱者は山ほどいるのに



黄昏の街にバベルの塔は燦然と光り輝くのであろう…

いやー 実に爽快だ


うっせぇ うっせぇ うっせぇわ!



とシャウトする若い女の子(ado)



詳細はよくわからんけど 吐いてる毒の塩梅がなんか心地いい




♪♪ はあ?うっせぇうっせぇうっせぇわ



   あなたが思うより健康です



   一切合切 凡庸 な



   あなたじゃ分からないかもね



   嗚呼よく似合う



   その可もなく不可もないメロディー


   
   うっせぇうっせぇうっせぇわ



   頭 の出来が違うので問題はナシ ♪♪ 『うっせぇわ』より




高校生の頃にもしこんな曲があったら



共感して自己投影していたのはまちがいない



よくわかるなどというと 上から偉そうに になるかもしれないが



高校生の頃の自分のメンタルはまさにこれそのものだった



権力でもって上から押さえつけてくるすべてを嫌悪し歯向かいたかった



バカでなにも知らんくせにえばってんじゃねーよ と



その常識という名の皮を剥いで無知と欺瞞を曝け出したろか と思っていた



特に教師は蔑みと嘲笑の対象でしかなく心底嫌悪していた



ハッ オマエが教えるだと ちゃんちゃらおかしいわ と




  (# ゚Д゚)  (# ゚Д゚)   (# ゚Д゚)   (# ゚Д゚)




授業中に突然立ち上がり絶叫しながら教室の窓ガラスを蹴破り



そのままグランドになだれ込んで大の字に寝っころぶ



そんな衝動に常に駆られていた(古文の時間が一番激しかった なぜか)



結局やれなかったけど



やってたらオレの人生大きく変わっていたんだろうなあ



あの凶暴でアナーキーなエネルギーの源泉はなんだったんだろう




   (# ゚Д゚)   (# ゚Д゚)   (# ゚Д゚)   (# ゚Д゚)





アラ高齢者となった今



「時間が経てばそれも“若気の過ち”になるから」と諭してあげたい…



って?



いやいやそんなことをする気はまったくない



エネルギーは枯れてしまったが そのエッセンスは残ったままだから



若い感性に映る不条理なヒエラルキーは今も昔もそのままだ



そしてボクもそのままだった



(えばれることではない アホのままということだから)


近くに海があるのだけが救いだった



バイクで5分も走ると そこは別世界



汚れた日常が一瞬にして吹っ飛んだ



      ⚓      ⚓      ⚓      ⚓      ⚓




そこは商港で 倉庫や港湾施設が立ち並んでいた



商業施設としての媚びない即物的な佇まいが好きだった



お化け屋敷から至近距離にあることが信じられなかった



埠頭からは貨物船やフェリーや遊覧船が見えた



それを日がな一日飽きもせずに眺めていた




      🚢      🚢      🚢      🚢      🚢




一二三荘から始まる悪夢はいつもお化け屋敷でFINとなる



毎回なにかにせっつかれたような嫌な感覚のまま目が覚める



それを何十年もの間見続けている



その悪夢は わが青春時代の暗黒期のものだが



二度と帰らぬ貴重な青春の一頁でもある



と思いたい   無理だろうけど… 

掃き溜めのお化け屋敷には妖怪たちが跋扈していた



隣の部屋には長身の中年のオッサンが住んでいた



廊下で会うと 会釈を交わす程度の付き合いであった



ちょっと妙なテンション?を感じたが まあ許容内だった



しかし 夜な夜な女を部屋に連れ込んでは“どすこいどすこい”



もううるさいったらありゃしない



壁を叩いて抗議したろ(または萎えさせよう)と思ったが



もうすでに朽ちて ぼろぼろと壁土が落ち始めている壁



こんなのをぶっ叩いたら壁が消失してしまうのでやめといた



秋になったらぱったり音がしなくなった



大家に聞いたら 詐欺で捕まったとのこと…




    👻   👻   👻   👻   👻





掃き溜めに鶴がいた



どの部屋に住んでいたのかはついにわからんかったが



色白でロングヘアーで中野良子似の超美形が確かに住んでいた



廊下や玄関先でたまに遭遇するのだが 目を合わせてはくれなかった



ちょっと視線が泳いでいたのが気にはなった



口説いてみようかなどと思ったりもしたが



妙なオーラ(バリア)がそれを思い止まらせた



日中部屋にいると 呪文のような低い唸り声が聞こえてきた



それは時々絶叫に変わり 絶頂を迎えた後にこと絶えた



凄まじいエネルギーと狂気を感じた



あとでわかったのだが 新興カルト教団の熱烈な信者だったらしい



熱帯夜の夜更け 彼女らしき女性が『こんばんは』と我が部屋を訪ねてきた



据え膳ウェルカムの節操なしオトコが居留守を使った



熱帯夜なのに全身鳥肌が立っていた



   👻   👻   👻   👻   👻



1階のどっかに住んでいる男だった



ミシンのセールスをやっていると聞いた



そいつが仲間2人を引き連れて我が部屋を訪ねてきた



なんのこっちゃと思っていたら 積立をせいと言う ミシン屋が積立?



男はカタログ販売のセールスで オレに会員になれというのだった



『1万円でいい』と男は言った



そんなもん払えない というと最後は1500円までダウンした



『こんなアパートに住んでる留年学生に払えるわけないだろ!』



ちょっと強めに言ったら はっとした顔で『だよな』と呟いた



最後は一人100円ずつ迷惑料を置いて帰っていった



奴らはその強引すぎる営業で名を馳せたぼったくり軍団だった



悪名高い飛び込みセールスにまで施しを受けてしまった 😢




    👻   👻   👻   👻   👻




出かける時に玄関の床に腰掛けると 肩に手を置く婆ちゃんがいた



あれっと思って振り返ると誰もいなかった



なんで婆ちゃん? 雰囲気 雰囲気



不思議なことに当時はなんとも思っていなかった





猛暑に耐えきれず ブルーシートの上に素っ裸で横たわり



水道の蛇口から引っ張ったホースで放水して涼をとる輩がいた




厳冬に暖がなく さりとてろくな布団や毛布もなく



しょうがなくて煎餅布団の上に本や週刊誌をかけて寝る奴がいた



  「・・・」    



って そいつ誰?





    👻   👻   👻   👻   👻 





嗚呼 昭和は遠くなりにけり

あれは昭和にしかない風景



たとえてみれば ○○エレジーみたいな世界



湯の町エレジー 赤色エレジー …  昭和そのもの



なんかこんな感じの街だった



   🏠   🏠   🏠   🏠   🏠



地方都市の下町という風情の街なんだけど



生活感というより生活臭が纏わりついていた



セピア色を脱色し皺にして黄ばませた? みたいな空気感



生活感のない学生にはその空気が重く纏わりつくのだった



   ☁   ☁   ☁   ☁   ☁



必修の単位を落とした⇒留年=SONYへの就職がパー



親に見放された



長年勤めていたバイトがすべて終わった



一番長く付き合っていたOLの彼女と別れた



就職を祝ってもらった憧れのマドンナには合わす顔がない…




22才の青二才のボクには孤独感以外になにも残らなかった



でも



たった一つの救い



近くに海があった


一二三荘を2年後に引き払い 深志荘に引っ越した



ここはその名の通り 松本深志高出の夫婦が経営するアパートだった



より田舎度は増し まわりにはキャベツとスイカしかなくなっていた



そこの住人(学生)たちは そこそこ個性的な連中ではあったが



お友達になりたい と思わせてくれるようなヤツは一人もいなかった



ここも2年後に出た



とにかく 大学近辺にいたくなかった



街の近くで 破壊的に安い物件を物色した



アパート名すらない“掃き溜め”にたどり着いた



不動産屋に案内を依頼したら嫌な顔をされた



まあそれも已むをえまい あのお化け屋敷では



築年数は大家すらわからないという(50年超えだけは間違いない)



正面から見ると 建物が右に傾いていた



古いのは当たり前だが 汚くて臭くて暗かった



“掃き溜め”は妙に街並みに馴染んでいて違和感はなかった



就職を逃した身でこのシチュエーション…



わかっていたこととはいえ 落ちぶれ感はハンパなかった



ここで暮らした一年は忘れられない



何者でもない自分自身と対峙し続けた正真正銘孤独の一年だった