Y君の写真展が地元紙で紹介されたこともあって、駅茶にはたくさんのお客様が来られた。ちゃぶ台の上に置かれたパネルにはY君が写真家の仲井精也さん、故広田泉さんと並んでいる写真が飾られてあった。Y君のこれまでの軌跡の中で、こうした有名な写真家との出会いが大きな財産あるいは転機になったことを示すものだろう。
そう思うと展示されている作品の中に、Y君の姿が見えて来るように思えた。小学校で初めてカメラを手にした時のこと。部長として頑張った高校時代。大学生になって実施した大学連携展示会のこと。そこには一緒に活動した友達がいて、恩師と呼べる先生との出会いがあったのだろう。自分の来し方を表現できるモノ(作品)があることを羨ましいとも思えてくる。
「Yがお世話になっています。これからもよろしくお願いします。」と挨拶された。Y君のおばあさんだった。Y君の軌跡の中で、これまでず~っと温かく見守っていてくれた存在だっただろう。そしてこれからもずっと、ず~っと心配してくれる人なのであろう。この写真展はY君の多くの人への感謝の気持ちと、未来に向けた決意を示すものであろう。「軌跡」の後に続く句点「、」にY君の決意が伺える。さて、私にとっての「軌跡、」は・・・・・。
「軌跡、」に思う
蚕桑駅前 田んぼアートが見頃です
白鷹町「蚕桑駅前夢プロジェクト」さんの「田んぼアート」が見ごろを迎えています。蚕桑地区の名にちなみ、「お蚕の恩返し」をテーマに創作されてきました。今年の図柄は「おかいこ姫」の「繭美(まゆみ)」が結婚して、双子を授かり母乳を飲ませているという場面だそうです。この写真は夢プロジェクトさんから送っていただいたものです。
蚕桑駅前夢プロジェクトさんとは羽前成田駅の第2次改修事業を実施した2012年から交流させていただきました。今では写真データの送受信だけで情報共有ができます。これからはこんな形で、沿線の人たちとつながりながら、応援しあっていければと思います。
夢プロジェクトの皆さんとの交流はこちらから
変わらぬ場所で立ち止まる
令和6年8月から「写真に魅了された一人の人間 成長の記録 軌跡、」展を開催している。上の写真は写真展の準備をするY君を映したもの。Y君は長井高校写真部の卒業生で、来春には大学を卒業して社会人となる。写真展のテーマどおり、出品作品は中学生までの作品、高校時代の作品そして大学時代の作品群となっている。開会初日には今年の3月まで写真部の顧問をしていたT先生も駆けつけてくれた。T先生とは、「やっぱり高校時代の作品が最高だよね!」と意見が一致して笑いあった。
T先生との最後の事業となった令和5年10月の『写真家・米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』のポスターのキャプションには、「変わらぬ場所で、立ち止まる」とあり、パンフレットの巻末に先生の文章が寄せられていました。そこには平成29年から始まったおらだの会との交流の経過や、写真展のポスターとパンフレットを誰もいなくなった夜の職員室で作ったことなどが書かれていました。最後にこれまでの写真部の卒業生に向けて、次のように呼びかけているのでした。
//みんな今頃どうしているのでしょうか。元気でやってくれているとよいのですが。この場所は、みんなが作品展を開いたあの頃と、少しも変わらず残っていますよ。変わらぬ場所で、立ち止まる。おらだの会の皆さんと、ご来場いただいた多くの皆さまと、みんなが一緒に紡いだ「物語のある風景」展は、今でもこうして後輩たちが受け継いでくれていますよ。こうして作品展が受け継がれていくのは、この場所が駅だからなのかもしれません。目まぐるしく通り過ぎ、急速に変化していく時の流れに翻弄されて、みんなが一度電車をおりたくなったとき、そういうときは、ここで電車をおりてください。私もときどきこの場所に、立ち止まりにやってきます。//
交流を持てた若い人たちの人生の一コマに、この駅舎での活動が何がしかの意味を持ってくれて、一人ひとりがその「軌跡」を振り返り、次のステージに向かう時に立ち寄ってくれる場所の一つとなってくれることを願っています。
写真展の案内はこちらから
→ 長井高校写真部OBの初個展:おらだの会 (samidare.jp)
昨年の合同写真展のパンフレットはこちらから