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エンディングはサライ

  • エンディングはサライ

 長井線祭りが終了し、駅茶でささやかな打ち上げを行った。しばらくしてオカリナーズのリーダーである金子さんが顔を出してくれた。金子さんは長井駅会場の責任者でもあり、その終了を見届けて来てくれたのである。金子さんが帰ろうと戸に手を掛けた時に、エンディングの演奏をお願いした。金子さんは「サライ」を選んでくれた。

 

 小さな駅舎に、オカリナの澄んだ音色が流れた。演奏を聴いていると、この1か月程の間に、駅茶を訪れてくれた方々の顔が浮かんできた。今は亡き広田泉さんの案内で駅スタンプを求めて来た女性が、7年振りに訪ねてくれた。何回か成田駅に来てくれている方は、「今回は家族旅行で来ました」と旦那さんを紹介してくれた。40年前に仕事で助けてもらった人の名を、駅の伝言板で見つけた人もいた。そして36年前の成田駅の写真を届けてくれた方がいた。そこには若かりし頃の会員の顔もあった。

 

 この駅がこれからもそれぞれの人生を振り返り、立ち戻る場所であって欲しいと思う。長井線祭りのエンディング、金子さんのオカリナが心に沁みた。

 /サクラ吹雪のサライの空へ/いつか帰るきっと帰るから

 /まぶた閉じれば浮かぶ景色が/迷いながらいつか帰る/愛の故郷

 

2023.10.31:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

米屋こうじさんのこと その2(想いのしずく)

  • 米屋こうじさんのこと その2(想いのしずく)

 米屋さんに聞きたくても聞けないでいることがある。なぜ木造駅舎に思いを寄せるのか。何故そこで忙しい時間を割きながら写真展を行うのか。なぜ羽前成田駅のような場所で、高校生と合同の写真展に協力してくれるのか。駅舎と線路と、地元の人たちと仲間たちとどんな鉄道風景を創りたいと願っているのかと。

 

 写真家が自身の作品について多くを語らないように、その活動についても多くを語ることはないように思う。米屋さんもそうした一人であろうと思う。せめて米屋さんのこれまでのブログの中から、熱い想いのひとしずくをすくい上げたいと思う。そして、私たちのあり方も考えていきたいと思う。

 

 

 今回、写真展を開催して良かった~と感じた瞬間がありました。それは、駅舎内に子供からお年寄りまで、6~7名ほどの方にお集まりいただいた時でした。10人も入れば狭く感じるような待合室です。写真を見て、懐かしそうに昔話を始めるお年寄り、その周りで小さな子供が走り回っていました。人々の話し声が響き、賑やかになった信濃川田駅の待合室。それを見ることができました。
  「数年振りに駅に来た」と、そんな話も何度か聞きましたが、駅に足を運んでいただく切っ掛けになれたことも、自分としては嬉しかったです。作品を見ていただくことはもちろんでしたが、「駅を見て、駅舎の雰囲気を感じていただくこと」が、無人駅で写真展をやったもう一つの“思い”でした。
 →  鉄道憧憬 屋代線のこと (fc2.com)

 

 

(西大塚駅の登録有形文化財登録記念事業について)はじめ、山形鉄道の担当者さまからお声がけいただいた時には、単に「米屋の写真を展示して欲しい」旨のお話でした…。しかし、今回はめでたく文化財登録となった訳ですので、長く駅を利用されてきた地域のみなさまにも参加していただき、一緒に祝うことができればなぁ、と思いました。
  いささか急ではありますが、川西町・大塚地区の皆さまにお声がけして、家庭のなかのアルバムにひっそりと綴じられているような、「思い出の写真」をご提供いただき、資料などとともに展示する予定です。

→ 未分類 : 西大塚駅「登録有形文化財」 登録を祝うイベントを開催します!

 

 

【おらだの会】高校生との合同写真展は22日(日)午後2時半まで。米屋さんは22日に羽前成田駅においでになり、高校生とのアドバイス会を行っていただく予定です。(写真は4月に行われた「広田泉写真展」時の集合写真です。)

 

2023.10.19:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

米屋こうじさんのこと その1(木造駅舎から)

  • 米屋こうじさんのこと その1(木造駅舎から)

 今年の最後を飾る展示事業は『米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』である。米屋さんは、故広田泉さんと山形鉄道との縁を作ってくれた方でもあり、今春の『広田泉写真展』にはトークショーもお願いした方である。そんな米屋さんに今回は、高校生との合同作品展をお願いし、図々しくも高校生との交流会もお願いしている。

 

 改めて米屋こうじさんと山形鉄道との『縁』について紹介したい。米屋さんは日本各地の木造駅舎を訪ね歩く中で、無人になり荒れた駅舎に出会うこともしばしばで、「いつか木造駅舎のなかで写真展ができればなぁ…」と考えるようになったといいます。西大塚駅を訪ねた時、駅務室の中が手つかずのまま空いていて、写真展のスペースとして手頃そうだったのが決め手となって、山形鉄道にお願いしたのだそうです。そして2010年のゴールデンウィークに最初の試みというべき「木造駅舎展」を開催します。さらに2011年の東北大震災の際には、復興のために何かをしたいとの思いから「東北の鉄道応援チャリティー写真展」を広田泉さんを含むプロの写真家仲間と地元の写真愛好家と共に実施しています。

 → 広田泉伝[1] 西大塚駅に降臨:おらだの会 (samidare.jp)

 

 その後も西大塚駅を拠点としての活動が行われます。米屋さんのその時々の思いを理解することはできないと思いますが、まずは活動の様子をブログでご覧ください。

2010年4~5月 最初の試み「木造駅舎展」 (於:西大塚駅)

2011年4~5月 「東北の鉄道応援チャリティ写真展」 (於:西大塚駅)

 → 鉄道憧憬 【ご報告・お礼】「東北の鉄道応援」写真展 in 山形鉄道 (fc2.com)

2012年  2月  「山形鉄道大学~米屋こうじ先生と行く鉄道写真教室ツアー」

 → ごあいさつ : 近況&ご案内 

2012年4~5月 「ホームトレイン~Home Train」展 (於:西大塚駅)

        羽前成田駅でも写真展、蚕桑駅はイルミネーション

 →  写真展 : 山形鉄道駅舎内写真展・後半スタートです。

2014年  5月   「山形鉄道の四季~100歳を記念して」 (於:西大塚駅)

 →  写真展 : GWに山形鉄道西大塚駅舎で写真展開催します!

2015年 9月  「登録有形文化財登録記念 西大塚駅想い出の写真展」  (於:西大塚駅)

2023.10.17:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

「物語のある風景」展から

  • 「物語のある風景」展から

 10月6日から『米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』が行われている。会場のちゃぶ台には図録が置かれている。その図録には、作品と共に生徒たちが「ポエム」と呼んでいるメッセージが加えられているのだが、これが鑑賞する者にとってはとても楽しく、味わい深いものとなる。その中で私が惹かれた作品が上の写真である。ポエムを紹介しよう。

 

    車窓より/稲穂に山に/心揺れ/昔の人の/遠い思い出 (鮎貝駅)

 

 車窓から見える風景に心が揺れるものがあった。この景色にはどれほどの人々の暮らしがあり、想い出が刻まれているのだろうか、といった内容でしょうか。友達をモデルにして物語を表現する作品が多い中で、こうした作品に出会えたことは新鮮でもある。見慣れた景色の中に時を超えた物語があることを感じながら、小さな列車旅をしてみたいと思う。(写真展は22日まで)

2023.10.13:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

もう一つの「さよなら列車」も

  • もう一つの「さよなら列車」も
  • もう一つの「さよなら列車」も

 今、「長井線を走った蒸気機関車展」を行っている。展示している中に、96型のさよなら列車の写真が2枚ある。1枚は長井線のさよなら列車となった59634号であり、もう一枚は米坂線のさよなら列車となった「9634号」である。59634号が現在は北九州市の鉄道記念館に保存されていることはブログで先に紹介していたとおりである。

 

 先日、鉄道ファンの方々が全国から集まって、成田駅前の広場で芋煮会をなさった。その中の一人が、「9634号の頭が新潟県の新津鉄道資料館に展示されていますよ。」と教えてくれたのである。68691号と59634号に続いて9634号も、現役を終えてなおそれぞれの地で多くの人に愛され、見守られながら生きていることを確認できたのである。

 

 この地で共に生きていた友達が、全国に散らばりながらも、その人生を全うした姿を見るようで、何とも言えないものを感じた。

 

 

 

59634号との再会はこちらから

→ 「さよならSL」との再会:おらだの会 (samidare.jp)

2023.09.25:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]