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変わらぬ場所で立ち止まる

  • 変わらぬ場所で立ち止まる

 令和6年8月から「写真に魅了された一人の人間 成長の記録 軌跡、」展を開催している。上の写真は写真展の準備をするY君を映したもの。Y君は長井高校写真部の卒業生で、来春には大学を卒業して社会人となる。写真展のテーマどおり、出品作品は中学生までの作品、高校時代の作品そして大学時代の作品群となっている。開会初日には今年の3月まで写真部の顧問をしていたT先生も駆けつけてくれた。T先生とは、「やっぱり高校時代の作品が最高だよね!」と意見が一致して笑いあった。

 

 T先生との最後の事業となった令和5年10月の『写真家・米屋こうじ先生と長井高校写真部による合同作品展』のポスターのキャプションには、「変わらぬ場所で、立ち止まる」とあり、パンフレットの巻末に先生の文章が寄せられていました。そこには平成29年から始まったおらだの会との交流の経過や、写真展のポスターとパンフレットを誰もいなくなった夜の職員室で作ったことなどが書かれていました。最後にこれまでの写真部の卒業生に向けて、次のように呼びかけているのでした。

 

 

//みんな今頃どうしているのでしょうか。元気でやってくれているとよいのですが。この場所は、みんなが作品展を開いたあの頃と、少しも変わらず残っていますよ。変わらぬ場所で、立ち止まる。おらだの会の皆さんと、ご来場いただいた多くの皆さまと、みんなが一緒に紡いだ「物語のある風景」展は、今でもこうして後輩たちが受け継いでくれていますよ。こうして作品展が受け継がれていくのは、この場所が駅だからなのかもしれません。目まぐるしく通り過ぎ、急速に変化していく時の流れに翻弄されて、みんなが一度電車をおりたくなったとき、そういうときは、ここで電車をおりてください。私もときどきこの場所に、立ち止まりにやってきます。//

 

 

 交流を持てた若い人たちの人生の一コマに、この駅舎での活動が何がしかの意味を持ってくれて、一人ひとりがその「軌跡」を振り返り、次のステージに向かう時に立ち寄ってくれる場所の一つとなってくれることを願っています。

 

 写真展の案内はこちらから

 → 長井高校写真部OBの初個展:おらだの会 (samidare.jp)

 

 昨年の合同写真展のパンフレットはこちらから

 → 米屋こうじさん&長高写真部展:おらだの会 (samidare.jp)

2024.08.14:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

「本当の日本が残る山形・置賜」(On Trip JAL)

  • 「本当の日本が残る山形・置賜」(On Trip JAL)

 日本航空株式会社(JAL)が主体のweb媒体「On Trip JAL」で、置賜地域が紹介されています。羽前成田駅も5月7日に取材を受けていましたが、この度公開の運びとなったものです。ライターの西村愛さんがつけたタイトルは「あなたの知らないディープ山形 ~次世代に伝えたい『本当の日本』が残る山形・置賜」。

 

 このコピーは元駐日米国大使ライシャワー氏の「山形は“もう一つの日本”である」を意識したようにも思いますが、西村さんは明治時代の英国人女性旅行家イザベラ・バートが語った「置賜は"東洋のアルカディア(桃源郷)"」を紹介しながら、「日本のあるべき姿が今に生きる置賜の魅力に迫ります」と綴られていきます。

 1.イギリス人イザベラ・バードも見た置賜の豊かな暮らしと自然

 2.自然に学び、山と共生する生き方を貫くマタギの世界を体験する

 3.黒い竜神が舞い、人々の繁栄を祈る伝統神事「黒獅子」

 4.地元の人々に大切に守られ伝えられる"ふるさと置賜"の手仕事と工芸

 5.未来に残していきたい置賜の大切な風景を切り取る

 

 さて、羽前成田駅が登場するのは、チャプター5です。「田園の中をのどかに走るローカル線は、旅情をかき立ててくれるもの。」との書き出しで始まります。皆さんも「本当の日本」へのディープな旅に沼ってみてください。

 

 → あなたの知らないディープ山形 ~次世代に伝えたい「本当の日本」が残る山形・置賜 (1/3) - OnTrip JAL

 

 

2024.07.03:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

家族の風景

  • 家族の風景

 駅舎にはいろんな人が訪れる。列車を待つ間、駅茶でよもやま話をするのが何よりの楽しみである。

 

 荒砥駅付近で生まれた夫人は、朝から夕方まで列車の汽笛を聞いて育ったという。母の実家の宮内に長井線に乗って出かけるのがとても楽しみでウキウキするものだった、と語ってくれた。

 また3歳ぐらいの女の子と時々駅で見かける夫人に話を聞くと、女の子は長井線が大好きなのだという。なんと市外に住むひ孫さんを預かっているのだという。

 

 天童駅の近くに住んでいた方は、自宅で介護していた父が亡くなった時のことを語ってくれた。父がいなくなってからは、それまで住んでいた家が「自分の家」であるとは思えない日が長く続いたという。自分にとって列車の音が聞こえる毎日がとても大事なものだと思っていたが、家族のいる風景の重さを改めて知ったという。

 

 コロナ禍で普通の暮らしの有難さや大切さを教えられたものである。けれども命は永遠のものではない。だからこそ、その日常の重みを噛みしめながら生きていきたいものだと思う。駅に遊びに来る子供たちにとって、父母や祖父母、曾祖母の優しい笑顔が、長井線と共に懐かしい思い出として記憶の中に刻まれていくことを願っている。

 

2024.05.25:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

長井線がつなぐ「縁」

  • 長井線がつなぐ「縁」

 加藤弘一さんの写真展「花とフラワー長井線」も、今週末を残すのみとなった。地元紙に紹介されたこともあり多くの方が来場された。「こんなに美しい花々の咲く場所があったことを初めて知った。」といった感想が多く寄せられた。また撮影地で加藤さんと出会った時に、撮影の仕方や沿線の撮影ポイントなどを教えてもらった、といったエピソードも聞くことができた。

 

 長井線の写真を撮り始めて、いろんな人と巡り合うことできた。そしてこんな風に集まる事が出来る、それが何より幸せなことだ。と、7人展の打ち上げの際に、加藤さんが語っていたのを思いだす。長井線がつないでくれた「縁」なのかもしれない。おらだの会も長井線を応援しているようで、実は長井線から元気を貰っているのかもしれない。

 

 

 【おらだの会】写真は「梨郷の春」。加藤さんの写真展は24日(金)から26日(日)の午後1時半から午後4時まで。ただし最終日は午後3時までです。

2024.05.23:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

黒獅子祭りに湧く長井市

  • 黒獅子祭りに湧く長井市

 5月18、長井市内はイベントが盛りだくさんだった。白ツツジマラソン、長井線と競争しよう、長井ダムでのバンジージャンプ、そして黒獅子祭りである。その中でも市街地を各神社の獅子が練り歩く黒獅子祭りは圧巻である。黒獅子舞は、各邑に祀られた神社に伝わるもので、千年もの間受け継がれて来たものである。最近の言葉で言うならばディープな祭りといえるかもしれない。

 日本全国で、地域振興の切り札としたインバウンドに期待する傾向が強いように思えるが、一番大切なものはやはり地域の人々の熱気ではないだろうか。今年で34回目となるこの祭りの実現に情熱を傾けた方がいた。当時の長井市観光協会の会長である。その方は、黒獅子舞こそが、自分たちが誇るべきものだと語っていた。今年の観客には外国からのお客様も多かったという。34年後の祭りを、元会長はどんな思いで見ているだろうか。

 

 以前、写真家宮嶋康彦氏と街歩きツアーを実施した際に、宮嶋さんは「黒獅子が練り歩く街を大切にして欲しい」と語られたことを思いだす。


 以前開催した「まつりの記憶展」はこちらから
  → 「まつりの記憶」展を開催:おらだの会 (samidare.jp)

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【おらだの会】 写真は2012年の駅前での獅子舞(永山さん提供)

2024.05.20:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]