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憧れの君へエールを!

  • 憧れの君へエールを!

 1億円超の詐欺被害に続いて3月25日、地元紙にショッキングな記事が掲載された。「フラワー長井線 乗務員不足で減便へ」という記事である。昨年の12月から3月末日までに運転手4名、車掌1名が退職する予定であり、4月から3分の2に減便せざるを得ないというのである。退職者の中に、駅茶でお話しを伺う機会があった若い車掌さんも含まれていた。

 夕方、孫にせがまれて列車を見に行くことがある。「あおポッポ(あやめ号)きたね」。車掌さんが手を振り返してくれるのを見ては、「ポッポバイバーイ」を叫ぶ。マスクをしていても車掌さんの笑顔は、大人の私でさえうれしく感じるものだった。夕暮れに走り去る列車と車掌さん、それを見送る2歳の子の姿は、私自身の遠い日の記憶につながるように思えたものだ。

 ホームで列車の写真を撮っている女性がいた。彼女は、「山鉄ブルーの制服がカッコよくて、車掌さんや運転手さんの一つ一つの所作に美しさを感じます。」、「60秒間だけのワクワク、憧れの君です。」と笑いながら話してくれた。ホームには、それこそローカル線の機微といえるものがあるように思うのだが、彼は子供にも大人にもそれを伝えてくれていたように思うのだ。

 3月は別れと旅立ちの季節でもある。夢を持って入社し、頑張ってきた職場を退社することを決意するには煩悶の時間があっただろうと思う。寂しいけれども心からのエールを送りたい。新しい場所でも「憧れの君」であって欲しい。そしてあなたが創ってくれたホームでの出会いと感動が、これからも受け継がれていくことを願っている。



【おらだの会】写真はNAさん提供。

  新人運転手の紹介記事はこちらから

  → 新人さん、頑張って:おらだの会

 毎朝列車を見送りに来ていた女の子の記事はこちらから

  → 7時46分のお見送り:おらだの会

 山鉄運転手をイメージしたエッセーはこちらからどうぞ

  → 第13話 ある運転士のこと その1(夕暮の長井駅):おらだの会

  → 第13話 ある運転手のこと その2(夕暮の長井駅):おらだの会

2025.03.30:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

100万回のPⅤに思うこと

  • 100万回のPⅤに思うこと

 当会のブログ「おらだの会3」が、3月21日、100万回のPⅤ(ページビュー:閲覧された記事数)を達成しました。「おらだの会3」は2019年12月11日のスタートですから、5年と3か月で到達したことになります。

 

 「今の若者はツィッターやインスタだよ。」と教えられたことがあります。この後に続けて「今の時代にブログやるのって年寄りだけだよ。」と言われそうです。表現されるものは全く違うかもしれませんが、友達からの「いいね!」を励みにするのと、「今日は○人の人が見てくれた」と一喜一憂するのは、同じようなものだなとも思います。

 

 ふと待合室に展示している切り絵の作品を思い出しました。自分たちが創り上げた都市が、巨大な鯨の上に乗っかっているというもの。見ようによっては、自分たちの意志で作り上げてきたと思っていたものが、実は大きな時代というものに誘導され、翻弄されていることを暗示しているようにも見えます。

 

 自分たちの考えで投稿してきたと思っていたブログも、もしかすると時代の波に書かされていた部分もあったかと思います。そんなことを頭の片隅に置きながら、ほどほどの「いいね」を励みにして、鯨の背中で揺られるのを楽しみながら続けて行きたいと思います。これからも皆様のご支援とご指導をよろしくお願いいたします。

 

 

 第1回の記事はこちらから

 → 「おらだの会3」のスタートです:おらだの会

 

2025.03.24:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

「10万分の1」の応援

  • 「10万分の1」の応援

 卒業式のシーズンである。テレビ番組でも「卒業」をテーマにした懐かしい歌が流れてくる。私の好きな柏原芳恵さんの「春なのに」もその代表曲として紹介されていた。

 

 今冬のドカ雪被害を乗り越え、4月には桜の観光シーズンを迎え、希望の季節が来るかと思われた。そんな時、山形鉄道が1億円を超える額を詐取されたとの報道が流れた。特殊詐欺がネットバンキングという一般的な金融取引を悪用していること。そしてそれが身近な企業に対して向けられたことに衝撃以上のものを覚える。

 

 1億円はとてつもなく大きな額であるが、社員が受けたショックはそれ以上であったかと思う。何もすることができないから、せめて千円のフリー切符を購入して、10万分の1の応援でもしようかと思う。春なのにとため息をついている社員の皆さんが、少しでも笑顔になるように。

2025.03.15:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

14年目の春

  • 14年目の春

 2025年3月11日、あれから14年目の春が来ました。被災された皆さんにはまだまだ大変な状況かと思いますが、頑張っていただきたいと思います。

 

 2011年は羽前成田駅とおらだの会、そしてフラワー長井線にとっても大きな出来事のあった年でした。大震災の発生から1ヶ月後、米屋こうじさんの声掛けで「東北の鉄道応援チャリティ写真展」が西大塚駅で開催されました。6月には羽前成田駅の第1期修繕工事が行われます。昔の姿が蘇った駅舎で、広田泉さんによる「元気が出る鉄道写真展2011」が開催されます。それらは山形鉄道の野村社長の後押しがあって実現したものでした。

 

 2011年のこの出会いがなければ、今日のおらだの会の活動やフラワー長井線の姿もなかっただろうと思います。けれども広田泉さんは2022年3月、そして野村元社長はつい先日旅立たれました。来年はおらだの会設立30年を迎えます。お二人が残されたメッセージを心に刻みながら、また一歩「ここから始めよう」と思います。

 ・ローカル線は地元の人に愛されなければ残っていけない。

 ・社員(地元)の人にこそ、フラワー長井線の本当の良さに気づいてもらい、自分たちの鉄道を好きになって欲しいと思う。

 

 

 → (38)元気が出る写真展~広田泉氏との出会い:おらだの会

2025.03.12:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

野村元社長逝く

  • 野村元社長逝く

 公募社長として奮闘された野村浩志さんが亡くなられたことをSNSで知った。今はやりのフェイクかと思ったが、残念ながらそうではなかった。野村さんは読売旅行の社員で山形営業所所長を務めていましたが、長井市内のイベントにはボンネット車で駄菓子屋を出してくれたものでした。また七夕ツアー(2007年7月)やクリスマスサンタ列車(同年12月)など様々なツアー商品を企画し、まさに街と鉄道を観光で結ぶ企画を立案、実施してくれたのです。

 

 2009年に山形鉄道社長に就任してからは、広報戦略と共に日本一なが~いカレンダーや日本一長い硬券など長井線グッズの企画開発にも取り組んでくれました。私たちおらだの会にも足を運んでくれてアドバイスをいただいたものです。2015年に体調を崩されて辞任されるまでは、まさに走りづくめであったと思います。

 

 野村さんの御労苦とその御功績に、心からの感謝と敬意を表し、写真の雑誌に書かれた言葉を噛みしめながら、哀悼の意を表したいと思います。どうぞ安らかにお休みください。

・新幹線はお金儲けは上手です。フラワー長井線は人を感動させるのが上手なんです。

・「フラワー長井線ランド」では、長井線の乗客がディズニーランドでいうゲストで、山形鉄道の社員、自治体の職員、沿線の住民の方々全員がキャストです。

・「カネ・ヒト・モノ」が最初はゼロでも、そこに「火」をつけ、無理なく自分の志を熱く、自然に楽しくやっていれば、ドンドンその火が広がっていくのだと感じます。

・列車の終着駅は、「仕事を通して、人の役に立てる生き方をすることです。」

・私の夢は、本物の駅舎と本物のレトロな車両を譲り受けて、「レトロなローカル鉄道の美術館」をつくる事。

 

 野村さんが成田駅に残してくれたものはこちらから

→ 駅に残る思い その1(笑門来福):おらだの会

2025.03.03:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]