「地位協定見直し」請願―本会議でも否決

  • 「地位協定見直し」請願―本会議でも否決

 「本請願は議会の権限外であり、当市の公益に直接、関わるものでもない」―。花巻市在住の造園業、日出忠英さん(74)から出されていた請願「日米地位協定の抜本的な見直しを求めること」(6月11日付当ブログ参照)―についての採決が花巻市議会最終日の30日に行われ、私1人が賛成、もう1人(花巻クラブ)が退席した結果、23人(欠員1人)が反対という圧倒的な数で否決された。付託先の総務常任委員会(大原健委員長ら6人)が24日全員一致で不採択を決定したのを受け、この日の採決に持ち込まれた。賛成討論をしたのは私だけで、反対討論できちんと否決の意思表示した議員はいなかった。

 採決に先立つ質疑応答の中で大原委員長に対し、①権限外の根拠として「行政実例」を引き合いに出したが、具体的にどのように記述されているのか、②地位協定が当市の公益には直接、関わらないという認識の根拠は何か。逆に当市だけに限定される公益にはどんなものがあるのか、③三沢や横田、横須賀、岩国、佐世保など沖縄県以外にも米軍基地が52カ所あり、いずれも地位協定の管轄下にある。当市を含む本土も公益という意味では無関係とは言えない、④本市議会では過去に「安保法制の慎重審議」と法案成立後は「廃案」を求める意見書を賛成多数で可決しており、この整合性をどう説明するのか―などについてただした。

 大原委員長は「行政実例にどう記述されているかは今は定かでない。ただ、外交問題に関する審査は慎重にあるべきという点で委員の意見は一致した。また、安保法制は当市の市民の安全・安心に密接な関係があるが、一方で岩手県には米軍基地はなく、その点では日米地位協定との接点はない」などと支離滅裂な答弁を繰り返した。「請願の趣旨には全く異論はない」と口先で言いつのりながら、その中身に踏み込んだ議論は一切なし。こういうのを世間では「猿芝居」という。本土の地方議会では革新系議員が主導して、意見書の可決にこぎつけたケースが多い。どうも、わが「イーハトーブ」議会(議長、宮沢賢治)では事情が違うらしい。2016年6月30日」―この日を記憶にとどめておくことにしよう。花巻市議会、ここに死せり―と。以下に私の賛成討論の全文を掲載する。

                                  ※

 請願の「不採択」自体が法的に無効な手続きではなかったのかという観点から反対討論をしたいと思います。総務常任委員会は不採択の理由として「行政実例」を持ち出したうえで、「請願が受理することができるのは一般事務に関することに限られており、外交問題に関わる意見書の提出は権限外である」と主張しました。そもそも行政実例とは、地方公共団体が法令の適用などに関し疑義がある場合、照会を受けた行政機関がこれに対して回答した事案を、行政運営上の参考に供するため公にしたもので、単なる意見の表明に過ぎず、拘束力を持つものではありません。つまり、行政実例といえども法令解釈のひとつにすぎず、実際にこれに依拠した事務であっても違法とされた判例があります。

 単なる行政運営上の根拠をあたかも金科玉条のように振りかざし、一般市民の重要な権利である「請願権」を否定すること自体が本末転倒だと言わざるを得ません。議会の最高規範(憲法)と位置付けられる「花巻市議会基本条例」の精神を優先させるのが地方分権時代のあるべき姿です。よって、行政実例に依拠した今回の決定は二元代表制という議会の最も重要な使命を自ら放棄したものであり、「不採択」という手続きそのものが無効だと考えます。

 次に今回の請願が「公益」に資するものであるかどうかという議論がありました。確かに地方自治法第99条には「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と定められています。しかし、「公益」の範囲に関する議論には様々あり、例えば当市の行政トップである上田東一市長は当議会が「安保法制の慎重審議」を求めた意見書を可決したことに関連し、昨年9月定例会の私の質問に対し、次のように答えております。

 「地方自治法第99条は、当市のような地方公共団体の議会は、当該自治体の公益に関する事件につき、意見書を国会または関係行政庁に提出できると定めております。そして、この場合、公益に関する事件の意味は地方自治体の事務に属するものに限らないと解されております。市といたしましても、市議会が採択された意見書は地方自治法第99条にのっとった適法なものであり、議会がこのような意見書を採択されたことに対して敬意を表するとともに、その内容も含め、当該意見書を尊重しているところであります」。逆にいえば、地方公共団体は外交や安全保障などいわゆる国の「専管事項」についても意見書の提出が妨げられないということを暗に示しています。

 日米地位協定の「改定・見直し」論議は古くて新しいものであり、特に1995年に起きた沖縄における「少女暴行」事件以降、全国の都道府県や市町村の各議会で抗議決議や意見書の採択が相次ぎ、近年その議論はますます活発になっています。今回の沖縄における元米兵による女性殺害・遺体遺棄事件を受けた今年6月定例会でもすでに、東京都の東久留米市、清瀬市、八王子市の各議会と滋賀県の守山市議会が「日米地位協定の見直し」などを求める意見書を採択・可決しています。

 一方で、東京都町田市議会や神奈川県川崎市議会では逆に同趣旨の意見書を否決しています。また、清瀬市議会では自民・公明両党所属の議員は「日米地位協定の抜本改定」には賛意を示したものの、「普天間飛行場の閉鎖・撤去とともに県内移設の断念」という部分には反対し、採決には加わりませんでした。しかし、賛否両論に分かれることはあっても、全国の地方議会では中身に踏み込んだ真剣な議論がこれまで続けられてきており、今回の当委員会のような「権限外」「公益なし」という理由で”門前払い”した例は寡聞にして聞き及んでいません。

 平成27年11月、全国町村議会議長会では「日米地位協定の見直しに関する意見書」を全会一致で決議しており、こうしたうねりは全国に波及しつつあります。たとえば、長野県塩尻市議会はこの決議を受け、昨年12月、地位協定の抜本見直しを求める意見書を採択しています。「権限外」という当議会の論理がまかり通ることになれば、41市町村の全議会が地位協定見直しの意見書を可決した沖縄県だけでなく、ここに紹介した本土の地方議会も法律違反を犯したということになりかねません。以上のことを述べて、請願に対する賛成討論とします。


(写真は1995年の少女暴行事件に抗議して開かれた県民総決起大会。約8万5千人が集まった。「日米地位協定の見直しを要求する」と書かれた横断幕も=沖縄県宜野湾市の海浜公園で。インターネット上に公開の写真から)

《追記》
 デ-タは若干古くなるが、花巻空港が「日米地位協定」に基づいて米軍関係者の輸送に利用されたことがあった。岩手県によると、平成7年2月と3月の日米共同訓練に際し、延べ6日間11回利用された。日米地位協定第5条によれば、米軍関係の航空機は日本国内の飛行場に自由に出入りすることができることになっており、「この協定は日米2国間の取り決めであるため、県管理の飛行場であっても使用の通告があれば出入りを受け入れざるを得ない」というのが県の見解である、花巻市も決して日米地位協定と無縁ではないのである。

《注―日米地位協定第5条1項》
 合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によつて、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。






2016.06.30:masuko:コメント(0):[議会報告]

「不適切だが、違法性はなし」

  • 「不適切だが、違法性はなし」

 「不適切だが、違法性はなし」―。様々な疑惑を積み残したまま、“舛添騒動”は幕を下ろしたが、前東京都知事の最大の置き土産はこの言葉ではなかったかと思う。宿泊代や飲食費、美術品から果てはソバ打ちなどの趣味本、クレヨンしんちゃんなどの漫画本、習字の際に着用する中国服…。まさに、あっと驚く公私混同ぶりだったが、流行語大賞にも匹敵するような冒頭の言葉は私たちに「コンプライアンス」(法令遵守)とは何か―ということを思い起こさせるきっかけともなった。花巻市議会の6月定例会で私が一般質問(6月16日付当ブログ参照)をこれ一本絞ったのもこの騒動に背中を押された結果である。

 「コンプライアンスは、一義的には法令遵守と訳されておりますが、広義のコンプライアンスとして、法令はもとより県や市町村の条例、規則等さらには社会的な規範の遵守まで包括されると理解しています」―。私の一般質問に対し、上田東一市長はこう明言した。この日(6月21日)は東京都の舛添要一知事が辞職に追い込まれた、ちょうどその日にぶつかっていた。「それにしても不思議なめぐり合わせ。政治家が法律を守るのは当たり前。都民の怒りはその『不適切』な振る舞いに向けられたのではなかったのか」。私はそんなことを脳裏に浮かべながら、質問を続けた。

 同じころ、富山県西部の人口5万人足らずの氷見(ひみ)市でひとつの条例が審議に付されていた。13条からなる「氷見市長の行動規範及び政治倫理に関する条例(案)」の第7条6項にはこう書かれていた。「地方自治法第142条の規定の趣旨を尊重し、市長の配偶者若しくは1親等の親族(以下「親族等」という)又は法人(市長又は親族等が役員に就いている法人に限る)に対し、市等が行う請負契約等の自粛を働きかけ、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めること」。地方自治法上の「兼業」禁止規定を配偶者などの親族にまで拡大適用しようという画期的な内容だった。

  一方、当方の質疑応答の中で「一般廃棄物収集運搬業務(ゴミ収集)」の委託業者の中に市長の配偶者が役員(代表取締役)を務める会社が含まれていることが報告された。さらに、ごみ収集に関する委託料は委託業者9社中トップの4760万円余り(27年度実績)、株式総数200株のうち、半数近い90株が市長の持ち株になってことも明らかになった。答弁に立った亀澤健副市長はこう答えた。「(142条の)兼業禁止規定には抵触していない。したがって、法的規範に違反するものではない」。私が問いただしたかったのは市長のいう広義のコンプライアンス、つまり「社会的な規範の遵守」についての認識だった。
 
 「ご指摘の趣旨は全く、その通りだと思う。しかし、株主総会には顔を出したこともなく、運営に関与しているということは一切ない。ただ、収集の運転業務には9人が従事しており、配偶者はこの雇用を守るためにも日々頑張ってくれている。零細企業の株などは買ってくれる人もいない。営業的には赤字経営だと言える。ただ、誤解を避けるため、来年早々の株主総会では別の第三者を社長に据えたい。社会規範という概念も実は定義はあいまいで、逆にこの解釈を無原則に広げれば責任の所在をあいまいにしてしまいかねない」。市長のこの答弁にとくに異議を唱えるつもりはない。

 数日前、「公用車の私的利用」問題(27日付当ブログ参照)に対する私の疑義について、上田市長は「(増子)議員の考えは全く理解できない」とはねつけた。一瞬絶句し、私は相手の顔をまじまじと見つめながら、こう独りごちたのだった。「人員確保の便法とも受け取られかねない」―こうした私的利用を厳に慎むよう関係の部課職員に忠告することこそが「コンプライアンス」の第一歩ではないか―と。「氷見市長の行動規範及び政治倫理に関する条例」は24日開催の市議会本会議で全会一致で可決され、27日から施行された。その逐条解説にはこう記されている。

 「本条(第7条)は、市長のコンプライアンスの基準について定めています。コンプライアンスには、法令(ル-ル)だけではなく社会規範(マナ-)を含む行為までを範囲とし、昨今では、特別な便宜供与や言動及び嫌がらせ(ハラスメント)にも配慮が必要です」。なお、氷見市議会は同趣旨の条文を盛り込んだ「議員政治倫理条例」をすでに制定、平成26年12月から施行している。もうとっくに“死語“になってしまったのかも知れないが、「政治家の矜恃(きょうじ)」という言葉が妙に懐かしくなる今日この頃である。



(写真はコンプライアンスについて、質問する本人=6月21日午後、花巻市議会議場で)


《地方自治法第142条》
 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。



2016.06.29:masuko:コメント(0):[議会報告]

公用車って何~に?―花巻版「公私混同」疑惑

  • 公用車って何~に?―花巻版「公私混同」疑惑

 東京都の舛添要一・前都知事が公用車を利用して別荘通いをしていたことについて、大きな批判が起きたが、花巻市が一部で公用車の私的利用を認めていたことが開会中の花巻市議会6月定例会(23日)で明らかになった。発端は5月15日の日曜日、市が採用した特別職非常勤職員(地域おこし協力隊員)が貸与された公用車を私用で運転中、市内石鳥谷町内の店舗駐車場内で接触事故を起こし、双方の車に計約8万円の損害を与えた。この日、その修繕費用を市が負担する専決処分が報告されたことから明るみに出た。

 この件について、①そもそも公用車を無償で貸与した上、私的利用に供することを認めること自体、「社会的な規範の遵守」(上田東一市長)を強調する当局の姿勢とは相容れないのではないか、②自己都合の事故の修繕費用を市が負担するということは結果として、「公務中の事故」と認定することになるのではないか、③仮に重大な人身事故につながった場合、その責任は誰がとるのか―などとただした。これに対して、上田市長は「(増子)議員の考えは全く理解できない。少ない報酬で花巻のため尽くしてくれる。こうした恩典があるから応募したという隊員も多い」と語気を強めて反論した。果たしてそうであろうか。良かれと思った最初の「ボタンの掛け違い」がのちに大事につながった例は枚挙にいとまがない。

 例えば、隣の北上市では現在4人の隊員を雇用しているが、公用車の貸与はせずに本人が車を借り上げた上、公用と私用の業務記録簿の提出を義務付けている。燃料代の支給は「公用」分だけで、自動車保険も本人負担となっている。また、奥州市では現在、1人の隊員が自家用車を利用しており、報酬以外は燃料代を含め、月額3万円を「謝礼」名目で支払っている。これについて、八重樫和彦・総合政策部長は「確かに私的利用を認めているのは県内ではほかにない。しかし、自ら地域おこしに貢献したいという志しに応えることも行政のあり方としては必要だ」と話している。

 「地域おこし協力隊」制度は2009年に始まった総務省の事業で、過疎化が進む地域に「新しい血」を導入して活性化を図ろうという狙いがあり、全国的に注目を集めている。隊員に支給される金額は1人当たり最大で年間400万円。任期は1年以上3年以下で、給料として支給されるのは平均200万程度。残りの約200万円が活動費などの経費に充当とされる。任期を終えた後、定住に結びつくケ-スもあり、過疎化や人口減に悩む地方の活路としても人気メニュ-となっている。

 花巻市では「イ-ハト-ブ地域おこしプロジェクトチ-ム」として、すでに7人の採用を決め、花巻、東和、大迫、石鳥谷の旧市町単位で順次配置。まちおこしや6次産業などの分野で目覚ましい活躍を続け、地元民からも歓迎されている。報酬は月額173,000で、家賃補助もある。公用車の私的利用分については1キロ当たり5円を燃料代として毎月徴収する。これに対し、一般職員などは当然のことながら「公用車運行管理規程」によって、私的利用は厳禁されている。

 今回の件について、ある市民はこう話している。「私的利用を認めるということはコンプライアンス(法令遵守)の上からも好ましくはない。市民の誤解を招かないためにも他市のようにきちんと規則を定めるべきではないか。何から何まで面倒を見るということは逆に心理的な負担を負わせることにもなりかねない。志しのある若者、来たれ―という気概こそが行政には必要ではないのか」


(写真は地域おこし協力隊の募集を呼びかける説明会=4月下旬、東京・有楽町の「ふるさと回帰支援センタ-で、市HPから」
2016.06.27:masuko:コメント(1):[議会報告]

「地位協定見直し」請願―全員一致で不採択

  • 「地位協定見直し」請願―全員一致で不採択
 「趣旨には賛同できるが、外交問題に関する意見書は権限外」、「花巻市民の公益に資する請願とは言えない」―。市内在住の造園業、日出忠英さん(74)から出されていた請願「日米地位協定の抜本的な見直し」(6月11日当ブログ参照)についての審査が24日開催の花巻市議会総務常任委員会(大原健委員長ら6人)で行われ、委員長の除いた5人全員が不採択に同意した。また、請願内容を修正した上で、意見書提出が可能かどうかを協議するため、27日に委員会を再開することになった。

 この日、参考人として出席した日出さんは冒頭、こう陳述した。「東日本大震災の際、宮城県気仙沼市で被災したが、みんなに支えられて頑張って来れたと思っている。あの震災を経験しなかったら、自分自身、沖縄の現実に目を向けることもなかったのではないか。現在は当市に居を移し、(宮沢)賢治精神の大切さをかみしめている。沖縄の悲劇は他人事ではない。もう見て見ぬふりはやめたい」。この後、各委員の質疑や発言が相次いだが、「その気持ちは理解できるが、外交に関わることに対する意見書の取扱いは慎重にあるべきだ」という意見が大勢を占めた。あっと驚く議論は延々と続いた。たとえば―。

 「請願は地方自治法124条で認められているが、行政実例によると受理できるのは一般事務に関することに限られており、外交問題は権限外と定められてる」、「当市議会は安保法制の廃案に関する意見書を採択した経緯があるが、この法案は市民の安心・安全にそのまま関わる問題だ。地位協定は当市民の公益には直接の関係はない」、「こうした外交問題に地方議会が意見具申すること自体、議会の責任問題になりかねない」…。沖縄県議会を初め、県内の41市町村議会のすべてが今回の女性殺害、遺体遺棄事件に対する抗議声明や日米地位協定の抜本的な見直しの意見書を採択している。当委員会の論拠に従えば、沖縄県の全地方議会はそろって地方自治法に違反していることになる。

 「公益」論争が思わぬ場面に飛び火した。革新を標榜するある委員はこう発言した。「今回の事件は私たちも重く受け止めなければならない。『公益』ということで言えば、当市と沖縄県とは交流が盛んであり、花巻市民が沖縄を訪問する機会も多い。だから、当市民の安心・安全を保障する意味でも再発防止に限定した意見書の提出は必要ではないか」。5年前、私は米軍普天間飛行場の「辺野古」移設問題に絡んで、「花巻空港で訓練の一部を肩代わりする考えはないか」と当局側にただしたことがあった。「女性暴行などの米兵による犯罪と騒音被害は想像を絶しており、花巻市民がそれを受け入れなければならない理由などありません」。こう反論したのは件(くだん)の議員だった。このひとの”公益”の意味づけに合点がいった。単純な「公益論」に比べ、手が込んでいるという意味ではこっち方がよっぽど質(たち)が悪い。

 本土の地方議会では現在開会中の6月定例会で、東京都東久留米市議会と滋賀県守山市議会が犯罪の再発防止や基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しなどを求める意見書を採択し、こうした動きは全国に広がりつつある。請願者の日出さんは「採択されなかったのは残念だったが、一石を投じたと思ってこれからも頑張りたい。それにしても沖縄は日本ではないみたいな議員の発言はショックだった」と話していた。「(沖縄への)基地の偏重は逆にいえば、国民全体の安全を担保する役割の大半が沖縄に押し付けらている」(請願書から)―つまり、私たち花巻市民の「公益」も実は沖縄の米軍基地によって、守られているという日出さんの問いかけは結局は届かなかった。

 「元米兵事件/やまぬ憤り」、「追悼式/反基地鮮明に」、「米兵の性犯罪/今なお」、「平和は犠牲の上に」、「遺族、石碑の名触り涙」―。沖縄慰霊の日(23日)の様子を伝えるこの日の新聞各紙にはこんな大見出しが躍っていた。追悼式で金武(きん)町立金武小学校6年の仲間里咲さん(11)は「亡きおじぃ(祖父)」への思いを蝉の鳴き声に託した自作の詩「平和(ふい-わ)ぬ世界(しけ-)どぅ大切(て-しち)」(平和の世界こそ大切)を朗読した。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(「農民芸術概論綱要」序論)―。賢治のこの言葉がす~っと重なった。

 本質的な議論は何もせずに「不採択」に同意した委員諸氏には慰霊に日に寄せられた龍谷大学の岸政彦教授(社会学)の次の言葉を献じておこうと思う。「本土には沖縄を愛する人が数多くいます。遊びに行くだけでなく、移り住む人もよく見聞きします。沖縄を好きだといいながら、基地を押し付けていることに罪悪感を持たない本土の人々のありようは、『植民地主義』の典型といえます。いわば沖縄を愛するという形で、差別している。本土の人々の間に、そんな姿勢があるように思うのです」(23日付朝日新聞「忘れられた島」)
 
 今月6日、日本共産党が主導して全会一致で採択された東久留米市議会の意見書には以下のように記されている。一方、守山市議会では出席議員11人全員は賛成したが、最大会派は議長を除く10人が退席した。片やこの日の請願審査で「不採択」への先導役を演じたのは意外なことに革新を標榜する会派「平和環境社民クラブ」(社民党系)と日本共産党所属の委員だった。なお、昨年11月に開かれた全国町村議会議長会では「沖縄の基地負担を軽減するためには、日米地位協定を見直すしかない」―という趣旨の意見書を全会一致で決議している。

                                  ※

 4月下旬から行方不明となっていたうるま市の20歳の女性が遺体で発見され、元海兵隊員の米軍属が去る5月19日に死体遺棄容疑で逮捕されるという凶悪事件が発生した。この事件は、沖縄県民はもとより日本国民に強い衝撃と悲しみ・怒りを与えた。元米軍人によるこのような蛮行は、沖縄県民の生命をないがしろにするものであり、断じて許されるものではない。被害者とその遺族の悔しさや悲しみは計り知れず、沖縄県民からは激しい怒りの声が噴出している。
 
 沖縄県議会などは、米軍人・軍属等による事件・事故が発生するたびに綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に強く申し入れてきた。今年になってからも3月22日には、那覇市内で発生した女性暴行事件に関する抗議決議を可決し厳重に訴えを行っている。それにもかかわらず、またもやこのような事件が続発したことは極めて遺憾であり、米軍による再発防止への取り組みや軍人・軍属等に対する教育等の実効性に疑問を抱かざるを得ない。
 
 沖縄県によると1972年の祖国復帰から2015年末までの米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件、このうち殺人や性的暴行などの凶悪犯は574件に上っている。こうした事件の背景として米軍人や軍属の特権的身分を保証した日米地位協定が指摘されている。全国の米軍基地の74%が沖縄に集中し過重負担となっている。よって、東久留米市議会は政府に対し、沖縄県及び県民の声に真摯に耳を傾け、米軍人・軍属等の犯罪を根絶するために米国政府と協議するとともに米軍基地の整理・縮小、日米地位協定の見直しを視野に入れた再発防止対策を強く求める。


(写真は戦後71年目の「沖縄慰霊の日」、戦没者の名前が刻まれた「平和の礎(いしじ)」を手で探りながら、おじいちゃんやおばあちゃんの名前をなぞる幼い子どもたち=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園で、インターネット上に公開の写真から)

《追記》
  行政実例は地方公共団体が総務省などに問い合わせた事項の回答をまとめたものにすぎない通達行政の一種で、議会の審議はこれに拘束されるものではない。こうした効力のないものに従うより、議会の最高規範(憲法)と位置付けられる「花巻市議会基本条例」の精神を優先させるのが地方分権時代のあるべき姿であろう。”カビの生えた古証文”とも言われる行政実例に依拠した今回の決定は二元代表制という議会の最も重要な使命を自ら放棄したものと言わざるを得ない。

《注-行政実例1》
 通常、主として行政機関が法令の適用等に関し疑義がある場合に、関係所轄行政機関に対し疑問点等を示して意見を求め(照会)、照会を受けた行政機関がこれに対して回答した事案を、行政運営上の参考に供するため公にしたものをいう。行政機関の法律解釈の統一やその運用の円滑化を図るために執行命令が定められ、さらに法令解釈や裁量権行使の基準として訓令、通達等が発せられるが、これらは下級行政機関を拘束するのに対し、行政実例は単なる意見の表明である(世界大百科事典より)

《注―行政実例2》
 行政実例といえども法令解釈の一つにすぎず、行政実例に依拠した事務であっても違法とされる場合はありうる。最高裁第一小法廷判決昭和59年5月31日において、原告大津市は、支払命令の申立ては「訴えの提起」に該当しない、との行政実例(昭和41年1月1日)の解釈に従って議会の議決を経なかったところ、地方自治法第96条第1項の規定により議会の議決を必要するとの裁判所の判断が示されたケ-スなどがそれにあたる(ウキペディアより)









2016.06.24:masuko:コメント(0):[議会報告]

基地の島―沖縄からの叫び

  • 基地の島―沖縄からの叫び

 「安倍晋三さん、日本本土にお住いの皆さん。今回の事件の第2の加害者は誰ですか?あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか」(20日付朝日新聞)―。元米兵による女性殺害・遺体遺棄事件を受け、沖縄県那覇市で19日開かれた県民大会で大学生、玉城愛さん(21)は声を詰まらせながら、こう訴えた。会場を埋め尽くした約6万5千人の県民の中には20年以上も前の悪夢を思い出す人々もいた。

 1995年9月、県中部にある米軍基地「キャンプ・ハンセン」に所属する米兵3人が12歳の少女を拉致、集団暴行をするという凄惨な事件が起きた。「起訴に至らなければ、関与が明らかでも身柄を日本側に引き渡すことはできない」―。日米地位協定のこの規定が壁になって、日本側は逮捕状を執行できないままに終わった。この時も怒りの声が翌年の普天間飛行場の返還合意に結びついたが、さらに20年を経過した今も「辺野古」(名護市)移設問題は宙に浮いたまま、返還も実現していない。

 この日の集会では初めて、沖縄からの米海兵隊の撤退を求める決議が採択されたほか、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去、日米地位協定の抜本的改定なども満場一致で採択された。「怒りは限界を超えた」と書かれたプラカ-ドを手にした新城俊昭さん(65)は5歳の時、米軍の車両にはねられて父親を失った。この時も日米地位協定に阻まれ、運転していた米兵は無罪に。「21年前のあの時よりも怒りは強い」(同日付朝日新聞)と新城さんは語った。

 「もう見て見ぬふりはできない」―。米軍関係者による相次ぐ犯罪に心を痛めた花巻市在住の造園業、日出忠英さん(74)が犯罪の温床となっている日米地位協定の抜本的な見直しを求める「請願書」を現在、開会中の花巻市議会へ提出した(6月11日付当ブログ参照)。東日本大震災の際、宮城県気仙沼市で被災し、その後当市に転居した日出さんは「被災して初めて、(宮沢)賢治精神の大切さを教えられた。基地を一方的に押しつけられ、日々犯罪の恐怖におびえ続けなければならない沖縄県民の心に今こそ寄り添わなければ…」と話している。

 請願の審査は24日開催の総務常任委員会で行われる。前日は沖縄戦が終結した「沖縄慰霊の日」に当たり、糸満市摩文仁の平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が挙行される。また、請願の採決は本会議最終日の30日に行われ、意見書採択の可否が決定される。沖縄県では県議会のほか、41市町村議会のすべてで今回の事件に対する抗議声明や基地の縮小・撤廃、地位協定の改定などを求める意見書を採択している。


(写真は「怒り」のプラカ-ドで埋め尽くされた県民大会の会場=19日、那覇市内の奥武山公園で。インタ-ネットに公開の写真から)
2016.06.21:masuko:コメント(0):[議会報告]
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