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「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(下)~12月定例会一般質問から

  • 「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(下)~12月定例会一般質問から

 

 「新図書館のあり方を協議する(新花巻図書館整備基本計画)試案検討会議のメンバ-の中に、仮に駅前に建設されるようになった場合、その工事に直接携わることになる関係者は含まれているか」―。“駅前戦争”攻防戦の第2日目、トップバッタ-の羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)がいきなり、剛速球を投げ込んだ。この日の答弁者はどうしたわけか終始、市川清志生涯学習部長に委ねられた。「えっ、デザインということですか」と市川部長。「施工ですから、建設関係のことをお尋ねしています」…。波乱含みの質疑応答はこうして、スタ-トした。

 

 「メンバ-は司書だとか市民団体など各界の専門家で構成し、その中には商工会議所や青年会議所の会員も入っている。施行を請け負う可能性のある方もいらっしゃるが、個別の仕事については承知していない」―。市川部長の苦し紛れの答弁を受け、羽山議員がさらに食い下がった。「仮に駅前に立地する場合、『駅近接地』ということで、構造やデザインなどでの法律的な制限はあるか。また、施工業者を選定する際の指名制限はあるか」。市川部長はさらにシドロモドロになりながら、こう答えた。

 

 「(駅前の)立地予定地は線路から離れているので、そのような制限はないと思う。しかし、運行に支障をきたすような場合は作業制限みたいなものはあるかもしれない。いずれにせよ、施工時にはJR側との協議は必要だと言われている。なるべく、そうした制限がかからないような計画づくりをしたい」―。歯切れの悪いこの答弁の背後には“言質”(げんち)を取られまい、つまり後々に証拠を残さないための防御的な話法が見え隠れする。“負け戦(いくさ)”を意識した際に多用される傾向がある。

 

 「建設工事公衆災害防止対策要綱」(令和元年9月)という国交省告示がある。これに従い、JR東日本は線路周辺など鉄道用地に近い工事の安全を図るため、「線路近接工事」に係る指針を作成。その工事に参入できる「有資格業者」の名簿をHP上で公開している。直近の令和5年12月1日現在の花巻市内の該当業者は全部で11社(ほかにコンサルタント関係が2社)で、市川部長がほのめかした業者の一人も「試案検討会議」のメンバ-に名を連ねている。この辺の詳しい経過については、9月4日付当ブログを参照にしていただきたい。

 

 「1,800万円の大金を投じて、立地場所の選定はさらに9カ月先!!??」―。市民の間にもうひとつの“図書館戦争”が勃発しつつある。「駅前と病院跡地」の二つの立地候補地の事業費などの「比較調査業務」を委託する予算案が12月定例会最終日の14日に急きょ、上程されることが明らかになったからである。羽山議員は追及の手をゆるめないで、こうただした。

 

 「旧花巻病院跡地は建物の解体や土壌改良などが終了した時点で、市側に譲渡することは5年前の双方の協定で決まっている。つまり、図書館建設のためにこの土地を取得するということではない。駅前に立地するために、JR所有地を改めて取得することとは次元がまったく違う。今回の比較調査の中に病院跡地の取得費が算入されるようなことはないと思うが、確認したい」―。市川答弁の“迷走”がますます、度を増してきた。「あのう、そのう…。試案検討会議の皆さんからも(病院跡地の)金額も含めて、すべてをという話をいただいている。いずれ、中央の業者(コンサルタント)の調査を待ちたい」

 

 この日、二番手の鹿討康弘議員(緑の風)はJR花巻駅橋上化(自由通路整備)について取り上げたが、「前日の本舘(憲一)議員の答弁で大方は言いつくされているので、この事業によって、駅西口の開発にどのような波及効果が期待できるか。この1点だけをお尋ねしたい」と問うた。答弁に立った上田東一市長は「残念ながら、西口には市有地が少なく、この事業自体の効果はそれほど期待できない。民間開発の呼び水になれば…」と答えるに止まった。鹿討議員からそれ以上の質問はなかった。一方の東口には図書館の有力な立地候補地としての「病院跡地」(市有地)がある。その利活用についても是非、触れてほしかったのに…。 図書館と橋上化―この2大プロジェクトに要する費用はざっと、80億円に上る。

 

 「病院跡地への立地を求める4,730筆の署名が市側に提出された。この市民の声をどう受け止めているか」―。羽山議員は質問をこう、締めくくった。「応対したのは私。4千人以上の市民の皆さんの思いを重く受け止めたい」と市川部長は神妙に答えた。「市民の気持ちに寄り添い、行政側と真摯に向き合い、政策の是非を問い、その真意(本音)を引き出すこと」―2日間の論戦を聴いて、市議会議員の使命の重さを改めて知ったような気がした。

 

 行司軍配の手がこの日も議会側、いや正確には羽山議員に上がったように見えた。「決まり手は突き出し」というアナウンスが議場内に響いた。これはきっと、空耳ではないはずだ。と、思いつつもこの先の動向からは一時も目を離せない日々が続きそうな気配である。

 

 

 

 

 

(写真は試案検討会議に示された「譲渡希望範囲」。ビル群に囲まれ、隣接地は線路など鉄道用地に接している=「比較調査業務」資料から)

 

 

 

《追記―1》~論理破綻!!??

 

 

 「図書館は読書や調査に使われる。観光要素に強い影響を与える施設ではない」(6日付「岩手日報」)―。一般質問の中で、羽山議員が新図書館建設に伴う「まちなか回遊」の可能性を問うたのに対し、市川清志生涯学習部長はこんな的外れの答弁をした。同じ行政の口からはかつて、以下のような位置づけが明言されている(4日付当ブログからの再掲)。これを称して「論理破綻」というのであろう。

 

 「将来、総合花巻病院移転した後の跡地に郊外から図書館を移転させ、民間活力を活かす多機能的な複合施設として整備し、中心市街地における新たな都市機能とすることを目指しています」(平成28年1月、「都市再生整備計画―花巻中央地区/都市再構築戦略事業」)

 

 

 

《追記ー2》~●市民参画戦争●攻防記

 

 

 開会中の花巻市議会12月定例会で7日、「花巻市市民参画条例」の審議が行われた。原案に対して、一部会派(緑の風)から修正案が提出されたが、18対7の賛成多数で原案通りに可決された。当局側がまちづくりの上位条例である「花巻市まちづくり基本条例」(平成20年3月制定)を引き合いに出し、「参画の手法についてはこの条例にほとんど網羅されている」としたのに対し、修正案では「参画を積極的に促すような姿勢が弱い」と原案に反対の主張をした。

 

 「市の執行機関は、まちづくりに関する重要な計画の策定及び変更並びに条例等の制定改廃に当たっては、市民が自らの意思で参画できる方法を用いて、市民が意見表明する機会を保障するものとします」―。まちづくり基本条例は「市政への参画」(第12条)について、こう定めている。賛否両論が飛び交った審議の模様を見ながら、なんとなく“浮世離れ”の気分に襲われた。現在に至る新花巻図書館問題の迷走のきっかけになった「住宅付き」の図書館の駅前立地(令和2年1月)という“悪夢”を思い出したのである。この計画策定こそが”市民参画”などどこ吹く風、市民どころか議会側の頭越しに突然降ってわいた上田流「トップダウン」の実態だった。

 

 条例化などの手続きの整備の必要性は認めつつも例えば、新図書館をめぐる市政運営が本当に”市民目線“に立って行われているのか。今回の「比較調査委託」問題の議会軽視に端的に表れているように、目の前の政策点検こそが喫緊の課題ではないのか。当局と議会とが相互に監視し合う「二元代表制」の重要性を改めて、思い知らされた。

 

 

 

 

 

 

<署名延長のお知らせ>

 

 

 新花巻図書館の旧病院跡地への立地を求める署名運動は全国の皆さまのご協力により、4,730筆という予想以上の賛同をいただくことができました。支援者の一人として、感謝申し上げます。行政側の動向が不透明な中、主催団体の「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(代表 瀧成子)は引き続き、全国規模の署名運動を続けることにしました。締め切りは2024(令和6)年1月末必着。送付先は:〒025-0084岩手県花巻市桜町2丁目187-1署名実行委員会宛て。問い合わせ先は:080-1883-7656(向小路まちライブラリー、四戸)、0198―22-7291(おいものせなか)

 

 署名用紙のダウンロードは、こちらから。 「全国署名を全国に広げます!~これまでの経過説明」はこちらから。署名実行委員会の活動報告などは「おいものブログ」(新田文子さん)の以下のURLからどうぞ。

 

 https://oimonosenaka.com/

 

 

 

 

 

 

「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(上)~12月定例会一般質問から

  • 「図書館」×「橋上化」…●駅前戦争●攻防記(上)~12月定例会一般質問から

 

 「市側はなぜ、これほどまでに図書館の駅前立地にこだわるのか。もはや、ミステリ-としか言いようがない」―。花巻市議会12月定例会の一般質問が4日から始まり、初日のこの日は本舘憲一議員(はなまき市民クラブ)と新会派「緑の風」の伊藤盛幸議員が市民の間に広がる“疑惑の闇”の解明に迫った。

 

 有識者らで構成する「花巻図書館整備市民懇話会」が「花巻図書館への提言」を提出したのは10年以上前の2012年10月にさかのぼる。現上田(東一)市政に代わってからもすでに9年が経過。先月24日に1年2か月ぶりに開かれた「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」で、立地場所の決定までさらに9カ月間の延長が明るみに出た(11月24日付当ブログ参照)。これだけ長期間の行政の“停滞”はほとんど稀有(けう)な異常事態だとしか言いようがない。

 

 「将来、総合花巻病院移転した後の跡地に郊外から図書館を移転させ、民間活力を活かす多機能的な複合施設として整備し、中心市街地における新たな都市機能とすることを目指しています」(平成28年1月、「都市再生整備計画―花巻中央地区/都市再構築戦略事業」)―。本舘議員は新図書館の立地場所として、当初は「病院跡地」と明記されていた文書を示しながら、「その後、第一候補が駅前に変更になった。なぜなのか。JR花巻駅橋上化(自由通路整備)との相乗効果によって、駅前の活性化(賑わい創出)を期待したからだと理解するが、ほかに別の理由があってのことか」とただした。

 

 これに対し、松田英基副市長は「図書館と橋上化とがセットであれば、その相乗効果で一定の賑わい創出は期待できる。しかし、図書館が仮に病院跡地に立地されることになった場合でも乗降客の安全や駅西口の利便性を考え、橋上化は単独でも進めたい」と答えた。この答弁を受けた上田市長が「反問権」を行使し、気色ばんだ表情でまくしたてた。「別の理由とは一体、何ですか。まったく、理解できない。私たちは議会や市民の意見に謙虚に耳を傾け、それを尊重してやってきた」―。感情的な発言に対し、安易に反問権を認める議長采配にも首をひねりたくなった。

 

 続いて登壇した伊藤議員は冒頭で「憲法」の条文を取り上げながら、こう切り出した。「これまでの経緯を見ると、議会や市民への情報提供が十分だったとはとても言えない。当局ときちんと質疑応答ができるのは3か月一度の定例会だけ。しかも、立地場所の先延ばしの決定を公表したのは(11月24日開催の)試案検討会議の場で、議会側は寝耳に水だった。さらに、開催通知が委員に届いたのはわずか3日前で、20人の委員の半分近く(実際には9人)も欠席している。余りにも議会や市民を無視した拙速なやり方ではないか。憲法15条は(すべての公務員は)全体の奉仕者だと定めている」―

 

 さらに、伊藤議員は追い打ちをかけた。「高校生や若者世代の多くが図書館の駅前立地を望んでいるというデ-タがHP上などでひとり歩きしているが、科学的な根拠はあるのか。(一部の生徒を抽出するのではなく)全高校生(6校)を対象にしたアンケ-トを実施して得られる数値デ-タこそが科学的な数値と言えるのではないか。最近、病院跡地への立地を望む約4、800人(正確には4、730人)の署名が市長宛てに提出されたと聞いている。この数字こそが民意を反映した科学的な根拠ではないのか」―

 

 予想していた通り、上田市長の得意技―目くらまし的な“禅問答”がここで登場した。「科学的な根拠と言ってもよく分からないんですよね。とくに人文(科学)の分野では“科学的”な判断を下すのは難しい。哲学的というか、各人の価値判断が優先されるのでは…」(この辺の数字のマジック=詐術については27日付当ブログを参照)―。「頭隠して、尻隠さず」…行司軍配の手がさっと、議会側に上がったように見えた。

 

 

 

 

 

(写真は東北駅百選に選ばれているJR花巻駅前で繰り広げられる“駅前戦争”。戦火が収まる気配はない。出迎える賢治(のシルエット)が泣いている)

 

 

 

 

<署名延長のお知らせ>

 

 

 新花巻図書館の旧病院跡地への立地を求める署名運動は全国の皆さまのご協力により、4,730筆という予想以上の賛同をいただくことができました。支援者の一人として、感謝申し上げます。行政側の動向が不透明な中、主催団体の「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(代表 瀧成子)は引き続き、全国規模の署名運動を続けることにしました。締め切りは2024(令和6)年1月末必着。送付先は:〒025-0084岩手県花巻市桜町2丁目187-1署名実行委員会宛て。問い合わせ先は:080-1883-7656(向小路まちライブラリー、四戸)、0198―22-7291(おいものせなか)

 

 署名用紙のダウンロードは、こちらから。 「全国署名を全国に広げます!~これまでの経過説明」はこちらから。署名実行委員会の活動報告などは「おいものブログ」(新田文子さん)の以下のURLからどうぞ。

 

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新花巻図書館の立地…病院跡地を求める署名が4,730筆~沖縄から北海道まで!!??

  • 新花巻図書館の立地…病院跡地を求める署名が4,730筆~沖縄から北海道まで!!??

 

 「新図書館の立地は旧病院跡地に」―。「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(瀧成子代表)は27日、上田東一市長宛てに賛同署名4,730筆を添えた請願書を提出した。新花巻図書館を考える会、まるごと市民会議、イ-ハト-ブ図書館をつくる会の三団体が10月から、対面のほかインタ-ネットなどで全国に署名を呼びかけた。地域別の内訳は地元・花巻が3,263筆、県内が856筆、県外が沖縄から北海道まで611筆に及び、関心の高さをうかがわせた。この中には宗教学者で当市の初代名誉市民の山折哲雄さん、民俗学者で宮沢賢治・イ-ハト-ブ賞受賞者の赤坂憲雄さん、哲学者で詩人の花崎皋平さんら著名人も含まれている。上田市長の公務と重なったため、市川清志・生涯学習部長が応対したが、今後のスケジュールを説明するに止まった(24日付当ブログ参照)

 

 「(気持ちは病院跡地だが)市から仕事をもらっているので…」「身内に市職員がいるから…」「住所を書けば、役所に身元が分かってしまう」「市長にはたてつけない」―。こんな重苦しい空気を吹き払ってくれたのはとくに女性だったという。「自分たちのためではない。未来の世代のためにも全国に誇れる夢の図書館を残したい」…。一人で524筆を集めたある女性は「それぞれ、立場があるのは理解できた。でも、じっくりと話し合えば多くの人が分かってくれた。足を棒にして、駈けずり回った甲斐があった。遠方の人に返信用切手を同封したのも良かったのかな」と話した。JR花巻駅前や大型のショッピングモ-ルで署名を呼びかけた別の女性はこう語った。

 

 「実際に駅前に立ってみて、どうして(電車の)騒音や振動が激しいこの狭い場所にと思うと、怒りが込み上げてきた。客待ちをするタクシ-の運転手さんからも署名をもらった。大方が(駅前に)反対だった。そりゃ、そうだよね。駅前の事情を一番、知っているのは運転手さんたちだもの」―。「こんなに大変な署名は初めて」というこの女性はそれでも150筆分の署名を届けてくれた。中には、割りばしソフトで有名な食堂の従業員も。「だって、病院跡地にできれば、まちなかの活性化にもつながるし…」

 

 「駅前か病院跡地か」という立地場所をめぐる統計資料としてはこれまで市側が主導した高校生や市民に対する説明会などがある。たとえば、市内6校の高校生(130人)の選択肢は「駅前」が72%、「病院跡地」が19%。また、市民団体11団体(発言者70人)は「駅前」が46%、「病院跡地」が17%となっている。一方、参加者を特定しない市民説明会(発言者81人)の場合、「駅前」が22%、「病院跡地」が40%と数値が逆転している。これについて、市側は「一人で複数回発言された人もいるほか、病院跡地を主張する勢いに圧倒され、発言を控えたという市民もいた」などと過小評価するのに躍起だった。しかし、今回の署名実数こそがこの「逆転劇」の正当性を裏付ける根拠と言える。

 

 他方、被爆地・広島でも市立中央図書館のJR広島駅前の商業施設への移転をめぐる反対運動が起きている。今年6月には市民団体が移転反対の署名5,473筆を集めて、議会請願をした。今回の「4,730筆」はわずか2カ月足らずの集計数字。人口120万人の大都市と比べても驚くべき数だと言える。代表の瀧さんはこう語っている。「歩いてみた感触は市有地があるのになぜ、JR用地を買わなければならないのか。税金の無駄使いではないのかという素朴な市民感情だった。民意が届いていないのではないかという行政不信が根っこにあるのではないか。署名を継続し、来年の2月には第2弾を届けたい」

 

 「やっと、叛逆老人の連帯組織が産声を挙げることができそうだね」―。85歳とは思えない元気な声が耳元に響いた。沖縄・石垣島で軍備増強の反対運動の先頭に立ち続ける山里節子からだった。署名に賛同してくれたお礼の電話を入れた際、私は旧知の山里さんに「イ-ハト-ブ図書館ができた暁(あかつき)には、(宮沢)賢治のメッセ-ジを背負って島を訪れたい」と話していたのだった。大学時代の親友たちから、記者時代の先輩、後輩やアルバイトの女性たちから、取材で世話になった人たちから、亡き妻の知人たちから…。列島を縦断するようなエ-ルが続々と寄せられている。あきらめるのは、まだ早い。

 

 『あきらめから希望へ/生きる場からの運動』(1987年、七つ森書館)―。花崎皋平さんが、賢治の影響を受けた「反原発」の物理学者、故高木仁三郎さん(10月15日付当ブログ参照)との共著として世に送り出したこの本は私の座右の書である。

 

 

 

(写真は市川部長に署名簿を手渡す瀧さんら署名実行委員会のメンバー=11月27日午後、花巻市役所で。実行委員会提供)

 

 

 

 

《追記ー1》~全国をかけめぐった”空飛ぶ”署名(コメント欄に写真)

 

 「極端にいえば、10年に一人だけが本を借りるとしても、その気の長さに耐えうる力量を図書館は蓄えるべき」「ぜひ、大輪の花を咲かせて。イーハトーブ図書館ができたら、すっ飛んでいきます」「銀河宇宙に開かれた世界一の図書館を」…。列島の津々浦々から、こんな心温まるメッセージが届いた。署名簿の厚さは約13センチ。「賛同者の思いの深さが伝わってきた」とメンバーたち。

 

 

《追記―2》~物価高騰のあおりで、図書館の規模縮小へ…当市では10年以上も時間の”浪費”!?

 

 建設資材や人件費の高騰から競争入札が不調となり、「塩漬け」状態に陥っていた新図書館の建設事業について、静岡県伊東市は規模を縮小して再設計する方針を決めた。市は、鉄筋造一部RC造5階建て、延べ床面積約7400平方メートル、蔵書は約30万冊の新図書館を7月に着工する予定だった。工事費の総額は約37億円で、国の補助金約15億円と地方債約17・6億円が主な財源だ。

 

 ところが、参加の意向を示していた二つの共同企業体のうち、5月の開札で一つは辞退し、もう一つは予定価格を超過して不調に終わった。ロシアのウクライナ侵攻や円安による建設資材の高騰、建設業界の人手不足による人件費の高騰などが背景にあった。市は8月、再入札しても不調になる可能性が高いとして当面の入札を見送ることを決めた(28日付「朝日新聞」電子版)

 

 

《追記ー3》~四肢切断の子どもたち!?

 

 (CNN) 英国系パレスチナ人の外科医で、パレスチナ自治区ガザ地区で患者の治療に携わったガッサン・アブシッタ氏は、10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルに対して攻撃を行って以降、四肢を切断された子どもの数が推計で700~900人にのぼると述べた。

 

 アブシッタ氏は、数週間をガザの病院で過ごした後、最近になって英ロンドンに戻っていた。アブシッタ氏はロンドンで行われた記者会見で、麻酔薬や基本的な医薬品もない状態で、子どもたちの手術を行ったと振り返った。アブシッタ氏は「私の推計では、四肢を切断された子どもは現在、700人から900人いる。中には、複数の手足を切断された子どももいる」と述べた。

 

 

《追記ー4》~戦闘再開!?

 

 イスラエル軍は1日朝、パレスチナ自治区ガザ地区全土でイスラム組織ハマスとの戦闘を再開した。両者はカタール政府などの仲介による合意に基づき、現地時間の1日午前7時(日本時間同午後2時)まで計7日間、戦闘を一時休止し、人質らの交換を続けたが、さらなる延長に合意できなかった。戦闘再開により、ガザ地区ですでに1万5千人を超えたとされる死者がさらに増え、人道危機が深まることが懸念される(1日付「朝日新聞」電子版)

 

 

《追記ー5》~ふたたび、戦闘が激化!?

 

 パレスチナ自治区ガザで戦闘を再開したイスラエル軍は1日夜~2日、南部ハンユニスへの攻撃を強化した。イスラエルメディアが報じた。軍は既に掌握した北部から南部に地上侵攻を拡大する構えで、住民らに南部ラファなどへさらなる退避を要求。ガザの保健当局は1日の戦闘再開以降の死者は200人以上になったと発表した。パレスチナ赤新月社はイスラエルがエジプトからの支援物資搬入も妨害していると非難。人道危機の深刻化が懸念される。

 

 中東の衛星テレビ、アルジャジーラはカタールやエジプト、米国が再び戦闘を休止するための仲介交渉を続けているが、難航していると報じた。軍は2日、戦闘再開後にガザ全域で400以上の標的を攻撃し、うち50以上はハンユニスの標的だったと発表した。ハマスは1日、ロケット弾を断続的にイスラエルに発射し、軍が大部分を対空防衛システムで迎撃した。国境なき医師団(MSF)は声明で「無差別攻撃によりガザに安全な場所はない。持続的な停戦を求める」と訴えた(2日付「共同通信」電子版)

 

 

《追記ー6》~死者が200人近くに

 

 イスラエル軍は2日、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘が1日午前に再開して以降、400カ所以上の標的を攻撃したと発表した。ガザの保健当局によると、2日までに193人が死亡し、650人が負傷したという。1週間の一時休戦が終わり、戦闘は一気に激しさを増している(3日付「毎日新聞」電子版)

 

 

 

 

 

 

<署名延長のお知らせ>

 

 

 新花巻図書館の旧病院跡地への立地を求める署名運動は全国の皆さまのご協力により、4,730筆という予想以上の賛同をいただくことができました。支援者の一人として、感謝申し上げます。行政側の動向が不透明な中、主催団体の「花巻病院跡地に新図書館をつくる署名実行委員会」(代表 瀧成子)は引き続き、全国規模の署名運動を続けることにしました。締め切りは2024(令和6)年1月末必着。送付先は:〒025-0084岩手県花巻市桜町2丁目187-1署名実行委員会宛て。問い合わせ先は:080-1883-7656(向小路まちライブラリー、四戸)、0198―22-7291(おいものせなか)

 

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駅前立地への布石か…立地候補地の「事業費」比較の実施を公表!!??

  • 駅前立地への布石か…立地候補地の「事業費」比較の実施を公表!!??

 

 「駅前か病院跡地か」―。建設場所の選定をめぐって、迷走を続けている「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」(座長、市川清志生涯学習部長)が24日、1年2か月ぶりに開催された。懸案だったJR花巻駅前の土地譲渡(約3,664平方㍍)について、JR東日本盛岡支社との間で「評価額1億3千万円」程度で双方が合意に達したことが明らかになった。検討会議側も了承した。これに伴い、二つの立地候補地の「事業費」比較を行うため、花巻市議会12月定例会に「比較調査業務委託費」として、約1,800万円が予算計上される見通しになった。

 

 新図書館の“立地”論争のきっかけはその建設場所の是非に関わる経緯にさかのぼる。市役所にほど近い旧総合花巻病院跡地については5年前、同病院が移転・新築した後で市側が買い取るという「土地譲渡協定書」(平成29年3月6日付)が双方で交わされている。一方、市側が第1候補地に挙げるJR花巻駅前のスポ-ツ用品店敷地については、新規の土地取得になる。このため、市民の間には「せっかく市有地化が決まり、文教地区にふさわしい病院跡地が目の前にあるのに、なぜ駅前にこだわるのか。税金のムダ使い(二重払い)ではないか」という素朴な声が日増しに高まっていた。

 

 この点について、私が市川部長に「病院跡地が市有地になることはすでに既定事実。今回、改めて双方の事業費を比較する際、病院跡地の取得費がこれに算入されることはないと理解して良いか」とただしたのに対し、こう答えた。「跡地の取得についてはまだ、正式な契約は終わっていない。事業費に算入するかどうかは私の立場では判断できない」と言葉を濁した。図書館本体に係る事業費は建設場所に関わらず、同程度と見積もられる。一方、総合花巻病院が市側から現在地を買い取った当時の価格は「3・8億円」(平成28年12月時点の病院側資料)となっている。等価交換の原則に従えば「1・3億(駅前)VS3・8億円(病院跡地)」という単純な算式も目に浮かんでくる。「駅前の方がはるかに安いではないか」ーみたいな…

 

 市川部長はこの日、スポーツ用品店敷地の解体について「その費用は市で負担することになる。12月定例会にその見積もりを出す。(スポーツ店の営業停止に伴う)”店舗補償“のようなものを市側が負担することはない」と明言した。外部のコンサルタントへ委託する今回の「事業費」比較には約9が月を要するという。その後に市民説明会を開いて意見集約をすることになるが、10年越しの新図書館問題の行方はふたたび霧の彼方にかすんでしまったようである。その一方で、市側が今後どんな“からくり”(レトリック、いやむしろトリックというべきか)を繰り出すのか、依然として目を離すこともできそうにない。当面は議会側が今回の業務委託費の予算計上にどう対応するかが焦点になりそうだ。

 

 

 

 

(写真は1年2か月振りに開かれた「試案検討会議」。立って、マイクを握っているのが市川部長=11月24日午後、花巻市のまなび学園で)

 

 

 

 

《追記―1》~「タダではない」…上田流「レトリック」の手法

 

 

 「病院跡地は市で買い取ることで双方が協定で合意しているのに対し、駅前のJR用地は新規取得になる。税金の二重払いではないか」―新図書館の立地場所をめぐってはこれまでも再三、議会で取り上げられた経緯がある。これに対して、上田東一市長の口から飛び出したのが以下の「タダではない」発言である。もう少し、手の込んだ”東大話法“と思いきや、これじゃ子供だましの屁理屈、いや“詭弁”と言わざるを得ない。

 

●上田市長の「タダ」発言の要旨(2022年12月定例会会議録から)―「仮に病院跡地の譲渡金額が3億円だとして…、いや立地候補地の駅前スポ-ツ店の敷地の金額もまだ決まっていませんが、いずれにせよ(病院跡地に比べて)はるかに安い。たとえば、市が独自にその土地(病院跡地)を他の目的に使おうとした場合、(そこに図書館が建っていれば)新たに土地を求めなければならない。そうすればまた、金がかかってしまう。だから、タダではないと言ったんです」ー。新図書館の病院跡地への立地へ「NO」サイン(予防線)を出したというのがミエミエ。今回の「事業費」比較の中で、今度は衣の袖からどんな鎧(よろい)が見えることになるのか…

 

「賢治」人脈図…藤圭子×宇多田ヒカル、そして中上健次~無関心という“罪”

  • 「賢治」人脈図…藤圭子×宇多田ヒカル、そして中上健次~無関心という“罪”

 

 「メロディ-は誰かの心の原風景。懐かしい場所からのメッセ-ジ。リズムは死へ向かう生命の行進の音。歌は祈り、願い、誓い。音楽は慈悲」―。シンガ-ソングライタ-の宇多田ヒカルが自著『点—ten-』の中にこんな言葉を残しているということをある音楽通から教えてもらった。これって、賢治の感覚だな、とその瞬間に思った。実際、好きな作家の筆頭に宮沢賢治を挙げており、作品の多くにはその影響があちこちに見え隠れする。

 

 「冷たい草の上に倒れ込み/火照る体を隠したい/真冬の星座たちが私の恋人…」―。たとえば、「テイク5」は賢治の代表作『銀河鉄道の夜』をイメ-ジしたと本人が語っている。かと思えば、「ぼくはきっとできるとおもう。なぜならぼくらがそれをいまかんがえているのだから」…『ポラ-ノの広場』のこんな印象的なセリフをさりげなく、自らのブログに書き込んだりもしている。さらにはお忍びで「宮沢賢治記念館」を訪れた際、駐車場のトイレの写真をツイッタ-に投稿するなどの茶目っ気もその人気の要因かもしれない。本人は自分のル-ツをたどりながら、こう記している。

 

 「宮沢賢治の出身地は岩手県花巻。うちのおかあちゃんは北海道出身だと思われてるけど、実は生まれは岩手県それも花巻なのです!おじいちゃん(阿部家)の代よりも前から先祖はそこみたい」(2008年8月31日付ブログ)―。この「おかあちゃん」こそが「圭子の夢は夜ひらく」など数多くのヒット作を生み出し、演歌の女王と言われた藤圭子(享年62歳)である。生まれは正確には一ノ関市と言われているが、両親は旅芸人として北海道から東北地方を渡り歩いた。一時期、ふるさと花巻に居を置いたこともあり、当時を知る人は「まさに赤貧を洗うような生活みたいだった。狭いアパ-トに家族が身を寄せ合って暮らしていた」と語っている。

 

 読書家としても知られる宇多田ヒカルは賢治と並んで、芥川賞作家の中上健次(享年46歳)を好きな作家に挙げ、とくに未完の大作『異族』に引き寄せられたとある対談で明かしている。被差別部落出身の中上はこの作品に在日2世やアイヌなどの“異族”たちを登場させながら、縦横無尽に”ヤマト”(大和=日本)に立ち向かう姿を描いている。

 

 両親の仕事の都合で、ニュ-ヨ-クで生まれた彼女は40歳を迎えた今はロンドンに住んでいる。旅芸人の血を引いているからなのだろうか。はたまた「賢治」と「健次」という二人の「ケンジ」の世界を遊泳しているからなのだろうか…。宇多田ヒカルの夢の世界もとてつもなく、でっかい。読書のきっかけをこの天才ア-チストは「他者と、世界と繋がるための方法であり、手段だった」と語っている。6年前、推薦書籍を並べた「宇多田書店」が全国の38書店で展開された。「ケンジ」さんのほか、こんな作家の作品が店内を埋め尽くした。

 

 開高健芥川龍之介川端康成森鴎外夏目漱石三島由紀夫稲垣足穂谷崎潤一郎埴谷雄高大岡昇平遠藤周作、司馬遼太郎、田村隆一、有吉佐和子、家永三郎、中西進、白洲正子、中原中也、ヘルマン・ヘッセオスカー・ワイルド、アン・クラーク・アモール、シェル・シルヴァスタインエドガー・アラン・ポーエリ・ヴィーゼルF・スコット・フィッツジェラルドジョージ・オーウェルダニエル・キイスアンリ・ベルクソンロアルド・ダールJ・D・サリンジャーゲーテエリザベート・バダンテールなどなど…

 

 宇多田ヒカルが愛読する作家のひとり、ノーベル平和賞を受賞したユダヤ人作家・エリ・ヴィーゼル(故人)はこんな言葉を残している。「愛の対義語は憎しみではなく無関心だ。人々の無関心は常に攻撃者の利益になることを忘れてはいけない」―。この戦乱の世界だからこそ、噛みしめたい言葉である。そして、それがユダヤ人作家の口から出たということ、さらには無関心を戒め、「寄り添う」ことの大切さを教えた賢治の理想郷「イーハトーブ」の住人としては、なおさらのこと…

 

 

 

(写真は一世を風靡した宇多田ヒカルの熱唱=インタ-ネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

《追記―1》~傍観は許されない

 

 「歴史的な悲劇の傍観者であってはならない」―。ガザに派遣されていた看護師の川瀬佐知子さん(日本赤十字社)は帰国後、こう語った。「同僚医師は爆撃後に搬送された患者が自分の子どもたちだと気づく。1人はすでに死亡…。現地病院の現実を語る現地の状況を皆さんに伝えて、ひとりひとりの声っていうのは小さいかもしれないですけれども、その声が集まればメディアを動かして、そして国際社会を動かす、そういうことにつながるのではないかと私は信じています」(22日付「毎日放送」配信)

 

 

《追記―2》~人質、解放へ

 

 イスラム組織ハマスとイスラエルは22日、パレスチナ自治区ガザの戦闘を4日間停止することで合意した。戦闘停止中に双方が拘束・拘留している人を解放する。燃料や医薬品、その他人道物資の輸送も実施する。合意はカタールとエジプトが仲介した。ハマスの声明によると、ハマスが拘束する50人の女性と子どもを解放するのと引き換えに、イスラエルが捕らえているパレスチナ人女性・子ども150人を釈放する。人道支援物資や医薬品、燃料を積んだ数百台のトラックがガザ全域への搬入を認められる(22日付「ロイタ―通信」電子版)

 

 

 

《追記ー3》~「イ-ハト-ブ(まるごと賢治)図書館」の実現へ向けて…病院跡地への立地を求めて、署名運動がスタート

 

 花巻市内でフェアトレ-ド店を経営する新田文子さんが主宰する「暮らしと政治の勉強会」など三つの市民団体が、宮沢賢治ゆかりの地「イ-ハト-ブ」にふさわしい“夢の図書館”を目指した全国規模の署名運動を展開中。署名用紙などは以下からラウンロードを。11月23日必着。

 

★新花巻図書館は病院跡地に!の全国署名を10月1日スタートします。署名用紙のダウンロードはこちらから。集まった署名は11月23日必着でお願いします。
「全国署名を全国に広げます!~これまでの経過説明」はこちらから。おいものブログのカテゴリ-「イ-ハト-ブ図書館をつくる会」は「夢の新花巻図書館を目指して」に変更しました。署名実行委員会の活動も報告していきます。新田さんのURLは以下から

 

 https://oimonosenaka.com/