「住民投票」論戦も…新図書館の立地場所をめぐる意見集約に関心~そして、思わず、パシャ!?

  • 「住民投票」論戦も…新図書館の立地場所をめぐる意見集約に関心~そして、思わず、パシャ!?

 

 「駅前か病院跡地か」―。新花巻図書館の立地論争で揺れる中、14日開催の市議会3月定例会の予算特別委員会で、内舘桂議員(はなまき市民クラブ)が「市民の意見が二分されている情勢の中、意見集約の方法として、住民投票も有効ではないか」とただした。これに対し、上田東一市長は「多数決が必ずしも民意を正しく反映するとは限らない。議会できちんと議論していただくのがよい」としたうえで、「最近、若者グループが行った高校生を対象としたアンケートでは駅前を希望する声が圧倒的に多かった」と答弁した。

 

 立地場所については「病院跡地」を希望する市民団体が昨年11月27日、市内だけではなく賢治愛好家なども含めた全国からの賛成署名4,730筆を上田市長宛てに提出、署名活動は現在も続けられている。答弁の中で上田市長が「駅前立地に誘導しかねない発言」をしたことは行政運営の観点からも公平性を欠いていると言わざるを得ない。さらに、立地候補地の「事業費比較調査」について、羽山るみ子議員(同)が「10月には結果が出る。その際の意見集約はどのような方法を考えているのか」とただしたのに対し、梅原奈美生涯学習課長(新花巻図書館計画室長)は「いま検討中であり、固まった段階で市民に公表したい」と答えるにとどまった。

 

 住民投票の方法にはいくつかあるが、一般的には具体的な市政課題の是非を問うための「条例」制定を求めるやり方が多い。この場合、有効署名数が有権者の50分の1を超えれば、首長に制定を直接請求することができる。ちなみに、当市の2022年7月24日施行の市議選時の有権者数は79,515人だから、そのラインは1,590人となる。図書館をめぐる問題で住民投票条例の制定を求める、東京都狛江市の市民運動の例を以下に紹介する。

 

 

 

 

 東京都狛江市の新図書館整備計画に反対する市民団体「こまえ図書館住民投票の会」は13日、計画の是非を問う住民投票条例制定を求める4264人分の署名簿を市選挙管理委員会に提出した。署名活動は2月9日~今月9日に実施。有効署名数が有権者の50分の1(1393人)を上回れば、同会は市長に条例制定を直接請求する。市選管は4月2日までに審査する。

 

 中央図書館は1977年開館の市民センター内にあり、建物が老朽化したことから市は新図書館と市民センターの整備を計画。市民センターの約300メートル南東に新図書館を建設し、現在の場所で建て替える市民センター内に子ども向け図書コーナーを残す方針。これに対し、同会は図書館の一体的な整備を求めている(3月15日付「東京新聞」電子版)

 

 

 

 

(写真は住民投票に否定的な意見を述べる上田市長=3月14日、花巻市議会議場で、インターネット中継の画面から)

 

 

 

<参 考 資 料=狛江市の取り組み>

 

住民投票条例を作らせるための署名集めにご協力を!

 

 

*住民投票は市長や市議会に市民の意見が反映されない時に、市民の意見を直接聞くための機会です。地方自治法という法律で認められています。

*今回行う住民投票は図書館のあり方について、「市の計画する図書館分割・移転」が良いか、「分割せず現在の場所で拡充する」のが良いか市民の意見を聞くというものです。

*住民投票を行うためには、狛江市に住民投票条例を作らせなければなりません。そのために住民投票条例を作れという市民の署名が有権者の50分の1(約1,400人分)以上必要です。

*署名は制定請求の代表者か、その委任を受けた受任者(サポーター)が 直接面談して、自筆で署名 してもらう必要があります。たくさん署名を集めるには、大勢の方に受任者になって署名を手伝っていただきたいのです。

*受任者は、狛江市内に住んでいる有権者(18歳以上)なら誰でもなれます。ただ、市の職員、都職員、国家公務員、公立学校の教員、教育委員は受任者になれません。非常勤職員、議員はなれます。

*受任者になって家族の分、お知り合いの分だけでも集めていただけると、大勢の署名を集めることができます。

*受任者になっていただくと、署名開始時に請求者署名簿という冊子をお届けします。1冊10人書ける署名用紙が付いています。1冊目がいっぱいになったら、新しい署名簿をお届けします。10人埋まらなくとも構いませんので、終了次第事務局に連絡ください。

*署名期間は 2024年3月9日(土)まで。みなさまのご協力をお願いいたします。

*受任者になってもよいという方は、事務局まで氏名、住所、連絡先をお知らせください。詳しい署名の集め方の資料をすぐにお届けします。

 

 

 

《追記ー1》~京都府福知山市でも

 

 京都府福知山市が計画している新しい文化ホールの建設について、見直しを求める市民らが、住民投票条例の直接請求に向けて集めた署名を12日、市選挙管理委員会に提出した。署名を集めたのは「新文化ホールを見直す会」。8日までの1カ月で市内の有権者8286人の署名を集め、請求に必要な市の有権者数の50分の1(1250人)を超えたとしている。提出後、共同代表の1人、三谷義臣さんは「市民に情報が届いていない。説明すると、『えーっ』ということが多い。市は市民の声を正確に把握するべきだ」と話した。

 

 市が昨年7月に策定した「新文化ホール基本計画」によると、建設地は現ホールがある市厚生会館を取り壊した跡地。座席数は現在の約1千席から「600席以上」に。建設工事費は45億~50億円と見込む。これに対し、見直す会は座席が大幅に減る▽建設工事費が高額▽駐車台数が30~40台しか確保できない、などと問題視し、見直しを求めている。

 

 地方自治法によると、市選管は20日以内に署名を審査後、7日間署名簿を縦覧できるようにする。有効署名数が直接請求の必要数を上回れば、請求者は住民投票条例の制定を市長に直接請求できる。市長は意見を付けて議会に提案し、議決を求める(3月13日付「朝日新聞」)

 

 

 

 

《追記ー2》~狛江からの連帯のメッセージ

 

 「こまえ図書館住民投票の会」の投票呼びかけ人のひとりで、国際ジャーナリストの伊藤千尋さんから以下のようなメッセージが届いた。世界中を股にかける伊藤さんの眼に映った“図書館物語”に感動した。以下に紹介させていただく(コメント欄にこの日の街頭署名活動のひとこまを掲載)

 

 「図書館は僕も取材テーマの一つです。サンフランシスコ中央図書館という世界的に素晴らしい図書館を取材したのがきっかけでした。何が素晴らしいかと言うと、古くなった図書館を市が建て替えようとしたときに、おばあちゃんが『どうせ建てるなら本当にすばらしいものにしよう』と声を上げました。自分は貧しくて親がけんかばかりする家庭に生まれ、学校で虐(いじ)めを受け、結婚にも失敗し、自殺を図ろうとした。そのとき私を助けてくれたのは1冊の絵本だった・・・という話をしました」

 

 「それに感動した市民が住民運動に乗り出して、募金40億円を集めたのです。ほかにもイタリアはボローニャの図書館は、いつまでもここにいたいと思うようなものでした。国内では高知県梼原町に隈研吾が設計した本当に『森の中にいるような』図書館があります。本屋さんが次々に消えている今、知的生産の場であり住民交流の中核である図書館こそが、充実されなければならないと考えています。イーハトーブ図書館、いいですね。ご健闘を祈ります」

 

 

《追記ー3》~「六分の一」という壁

 

 「花巻市まちづくり基本条例」(平成20年制定)は住民投票の手法のひとつとして、次のように規定している。「住民のうち年齢満18年以上の者は、その総数の6分の1以上の者の連署をもって、市長に対して住民投票の実施を請求することができます」(第25条)。当市の2022年7月24日施行の市議選時の有権者数79,515人で積算すると、その数は13,253人。他の自治体に比べてもこのハードルは高い方で、市民参画を声高に口にするにしては、“門前払い”の陰もちらつく。

 

 

 

2024.03.15:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

思わず、パシャ!?

  • 思わず、パシャ!?

高校生の仲良しグループ。熱心に耳を傾けながらも足元のジャンボ署名簿が気になって、仕方がない。思わず、パシャ。この日も2時間足らずで、署名協力は200筆以上に(3月17日午後、イトーヨーカドー花巻店で)

2024.03.17:[編集/削除]

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