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長井線リポート(39) 旅の終わり・旅の始まり

  • 長井線リポート(39) 旅の終わり・旅の始まり

 大人の休日倶楽部5月号に鉄道写真家・中井精也さんが「東北ローカル鉄道旅」を寄稿している。その中でフラワー長井線を「いわゆる絶景路線ではないけれど、里山の風景の中をゆく車両の姿は味わい深く、鉄道の原風景を味わえる貴重な路線」であると紹介していた。長井線の最高の魅力はこの風景にあるのかもしれない。

 

 哲学者・三木清は「旅について」という小論で、「旅において出会うのは常に自分自身である。」と述べている。そう言えば、地元フォークグループ・影法師の「今日もあの娘は長井線(1981年)」の歌詞に「たとえ見慣れた街へでも/小さな旅に出かけてごらん/きっと何かに出会うはず」とあったことを思い出した。

 

 長井線リポートと題した旅は、自分が暮らしている故郷の魅力を探す旅でもあったような気がします。100年続く鉄道に乗って、それぞれの旅に出かけてほしいものです。長井線に乗って小さな旅を楽しみましょう、そして山形鉄道を応援しましょう。このリポートで、乗車の楽しみが増えることになれば望外の喜びです。最後までお付き合いくださり、有難うございました。

 

【おらだの会】写真は昨年の長井線応援キャンペーンで制作されたポスター(原画提供:鈴木亮さん)です。

2021.06.23:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(38) 駅ノートをめぐる旅

  • 長井線リポート(38) 駅ノートをめぐる旅
  • 長井線リポート(38) 駅ノートをめぐる旅

 「乗ってみなけりゃわからない、降りてみなけりゃわからない」と始めた乗車リポートでしたが、最後に「駅ノートをめぐる旅」を提案したいと思います。

 

 羽前成田駅では平成23年の駅舎改修時から停車場ノートを設置してきました。田舎の風景に癒されたことや、駅のトイレがきれいで驚いたことなどが書かれています。また集団就職で故郷を離れて行った時の想い出や母の最期に立ち会い都会に帰る人の思いなども綴られています。またとっても素敵なイラストが描かれている時もあります。

 

 今はスマホで写真を撮って投稿し、それを見て「いいね」や絵文字を送信し合います。そんな時代に、ふと降り立った駅舎の待ち時間を使ってわざわざペンを走らせるのです。駅ノートには旅人と地元の人との心のふれあいがあり、共に人生を旅する者同士が共感し合える「場」があります。「駅ノート」に「旅の本質」が見えるような気がします。

 

 私が調べた範囲では、駅ノートがあるのは四季の郷駅、白兎駅、羽前成田駅、時庭駅、西大塚駅のようです。駅ノートを巡りながら、フラワー長井線の「旅の魅力」と旅人が見た「田舎の光」を感じてみてはいかがでしょうか。

 

 

【おらだの会】写真は、四季の郷駅の駅ノートから撮らせていただきました。その他の駅ノートにも素敵なイラストが描かれていますよ。

2021.06.17:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(36) 新幹線とマッチ箱

  • 長井線リポート(36) 新幹線とマッチ箱

 赤湯駅の跨線橋から4番ホームに降りると、長井線の列車は暖機運転をして待機している。マッチ箱と呼ばれたローカル線の車両が、新幹線と並んで見られるのは全国的にもとても珍しい光景なのである。

 

 新幹線はいかにも金属的で洗練された美しさがあり、先端技術の塊のようである。それに比べると長井線の車両は古臭くてカッコ悪い。けれども窓を開ければ、顔いっぱいに風が吹き込み、光が飛び込んでくる。子供であっても靴を脱いで座席シートに立てば、大人と同じ高さから車窓を流れる景色を見ることができる。さらにレールをわたる音と振動が、体中に響き渡るのである。「キシャ、ガタンガタン、ポッポー」という子供たちの歓声は、マッチ箱列車からこそ生まれるものだと思う。

 

 白鷹町出身で詩人でもある芳賀秀次郎さんが、昭和47年に「わがうちなる長井線」と題したエッセイで、「ぼくらはこれをマッチ箱と呼んでいた。これには本線を走っている立派なボギー車との比較による、やや軽侮の感じもないわけではなかった。しかし、このマッチ箱という呼名には、もっと素朴であたたかい親愛の気持ちがこめられていた。」と書いている。

 

 フラワー長井線は、子供たちにとっては今でも夢の世界に誘うマッチ箱なのではなかろうか。山形鉄道では、「もっちぃ親子・孫乗り放題きっぷ」や「土・休日フリー切符」を販売している。子供や孫と一緒に愛らしいマッチ箱列車の旅を楽しんでみて欲しい。子供たちの内なる世界に、両親と祖父母との想い出と共に果てない軌道の姿が刻まれるように。

 

「わがうちなる長井線」はこちらからどうぞ ⇒ 

 http://samidare.jp/orada2/note?p=list&c=418169

2021.06.09:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(35) 赤湯駅に刻まれた歴史

  • 長井線リポート(35) 赤湯駅に刻まれた歴史
  • 長井線リポート(35) 赤湯駅に刻まれた歴史

 山形鉄道の社員の方から、「国鉄時代の長井線は今の3番線にあって、今長井線が使っている4番線は貨物列車が利用していた。」と教えられた。これを聞いて、「島式ホームが2本あるのに、長井線のホームは5番線でなく何故4番線なのか」と不思議に思った。改めて眺めてみると、島式ホームの1本の線路が撤去されていたのだ。

 

 さらに知人は「赤湯駅にも転車台があった。」「3番線は、一日1本だけ列車が入線している。レールの錆抑止のためだろう。」「長井線のゼロキロ標はなくて、4番ホームにペンキ描きされている。」など、興味のあることをたて続けに教えてくれた。確かに長井線のホームの奥には車止めがあり、その付近のホームにペンキで「0」と書かれていた。これがゼロキロ標なのであろう。

 

 赤湯駅のホームにも歴史の記憶が顔をのぞかせていた。それらは、赤湯駅も多くの苦難を乗り越えて来たことを示しているように思う。フラワー長井線も同じだが、その苦難は今もそしてこれからも続いて行くのだろう。

 

【おらだの会】長井線のゼロキロ標は、駅舎を出て駐車場側からご確認ください。

 

 

2021.06.01:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(34) 鉄道娘のお出迎え

  • 長井線リポート(34) 鉄道娘のお出迎え

 湖畔の別荘から跨線橋を進んで行くと、鮎貝りんごちゃんはじめ8名の鉄道娘が出迎えてくれる。それぞれの会社の制服に身を包んで、笑顔で言葉をかけてくれるように見える。「お帰りなさい」「行ってらっしゃい」。まさか「社〇さんいらっしゃい」ではないだろう。

 

 今年の3月に「鉄道娘15周年記念キャラクター選挙」で鮎貝りんごちゃんは、堂々の9位入賞を果たした。東北地方の鉄道娘の最高位が大川まあや(会津鉄道)の8位、19位が久慈ありす(三陸鉄道)、20位が杜みなせ(仙台空港鉄道)でした。

 

 フラワー長井線の誘客に最大の貢献者はもっちぃ駅長と鮎貝りんごちゃんではなかろうか。その他の鉄道娘も、各社のPRに一生懸命頑張っているのだろう。彼女たちの笑顔の向こうには、それぞれの故郷の風景があり、社員の地元愛と鉄道愛が見えてくるようだ。

 

【おらだの会】過去に「成田駅の宝物」として鉄道娘カードを紹介しました。こちらからどうぞご覧ください ⇒ http://samidare.jp/orada2/note?p=log&lid=478929

 

2021.05.26:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]