「旅と鉄道(イカロス出版)」の10月号は、木造駅舎紀行と題した特集であった。その中に、私が今まで探していた「木造駅舎の魅力」への示唆が多くありましたので、抜粋して紹介したいと思います。
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「木造駅舎から感じられる『懐かしい』とはなんだろうか。」という、私と同じ疑問に対して、「駅舎という媒介を通じた街や人、歴史との優しいつながり、そしてそこから伝わる手触りかもしれない。」と述べられています。また「並列する時間と物語」の見出しが付けられた章では、木造に焦点を当てた考察がなされています。
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///今でも印象深く思い出されるのが『木造駅舎の夜』だ。…略…。今にして思えば、過去と現在を同時に見る、ある種のタイムトリップを初めて体験した瞬間だったように思う。…略…。木材はそれなりにメンテナンスも必要だから、修繕しながら大切に使い続けるという姿勢も木造駅舎に独特の威厳を持たせている要因なのかもしれない。『年輪』ではないけれど、木には時間の経過を記録する性質があるように思う。…略…。大切に使い続けられた『物』というのは、人の思いが宿り、より有機的な存在になるのではないか。///
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かつて成田駅に来た女性が、「逢いたい人に会えそうな場所だね」と語っていた。それは人々の思いが長い年月を経て蓄積され、刻まれた空間の中で湧きあがった感情なのかもしれない。そんなことを思いながら、待合室に一人、身を置いてみるのも良いかもしれない。