HOME > 駅茶こぼれ話

測量させてくださいⅡ

  • 測量させてくださいⅡ

 若い女性が二人、駅舎においでになった。どうみても桜見物に来たとは思えない。梁のあたりを眺める仕草は、鉄道マニアとも違うようだ。話しかけてみると、地元の大学で建築を学んでいるとの事。大学の先生から出された課題の一つに「羽前成田駅のリノベーションを考える」があり、二人はそれに取り組んでいるのだという。

 二人はメジャーを出して、あちらこちらを測量し始めた。その様子を見て、成田駅の模型を作るために、「測量させてください」とおいでになった方を思いだした。どちらも好きなモノに打ち込む姿は輝いて見える。さて大学の先生は、何故この駅を題材の一つとして選んだのであろうか。そして学生たちはどのような空間を表現しようとするのであろうか。将来の羽前成田駅の姿を見られるのが楽しみである。



 駅舎の模型作りの方はこちらから

 

測量させてください:おらだの会 (samidare.jp)

 

2024.04.28:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

鮎貝駅「サークル水仙」のこと

  • 鮎貝駅「サークル水仙」のこと

 先日、所用のついでに鮎貝駅を訪ねた。SNSでも多く取り上げられていた「水仙園」を見たかったのだ。駐車場から歩いてほどなくしてその場所に着いた。水仙はすでに萎えていたが、菜の花が可憐な花を咲かせていた。四季の郷駅へと続く黄色の絨毯を想像しただけで、圧倒されるような思いがした。

 

 そこに看板が建てられてあった。「サークル水仙」の皆さんのメッセージである。そこには20年前から活動を続けてきたこと。そしてこの春をもって解散することが記されていた。この風景を創るまでの地元の人たちの姿が見えて来るようだった。そして、解散を決意した際の辛さも想像できるようだった。

 

 沿線に咲く花々を写真に収める時には、そこに生きる人たちの姿も忘れないで欲しいものだ。おらだの会も今年で発足28年目になる。平均年齢は毎年上がっていくが、縁ある人たちと一緒に花見をし、芋煮会ができることを楽しみに、もう少し頑張ってみようと思う。サークル水仙の皆さん、長い間本当にご苦労様でした。

2024.04.26:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

改めて広田泉さんのこと

  • 改めて広田泉さんのこと
  • 改めて広田泉さんのこと

 3月28日は鉄道写真家広田泉さんの命日である。3回忌にあたるこの日からスタートした「広田泉写真展」を見て来た。2021年秋のパリでの個展に際して「俳句のような」と評された作品が並んでいる。改めて広田さんの世界に引き込まれるようである。

 

 会場には広田さんの活動歴を紹介するコーナーがあった。成田駅で開催されたちゃぶ台写真展(2016年)や昨年の「昨日の一歩、明日への一歩」などが、有名なギャラリー展の間に記載されていた。その脇には4枚の写真が掲示されていた。その内の2枚が成田駅の写真であり、昨年の泉の桜記念植樹に夫人と一緒においでになり、その3か月後に亡くなった愛犬バレの姿もあった。

 

 広田さんが、微笑みながらこちらに視線を投げかけている。その穏やかな眼差しは、私たちに何かを語りかけているようである。「私の写真を楽しんでくれたかな」と言っているのか、あるいは「さてあなた達は何をやろうとするのかな」なのか。4月、泉の桜を眺めながら、改めて広田さんのメッセージに思いを馳せてみたいと思う。

 

 

 → 広田泉伝[10] 写真家・広田泉 ~ 俳句のような:おらだの会 (samidare.jp)

 

 愛犬バレ君が来てくれた記念植樹はこちらから 

 → 泉の桜:おらだの会 (samidare.jp)

 

 広田さんの最後のメッセージはこちらから

 → 成田界隈探検 本当の応援とは:おらだの会 (samidare.jp)

2024.04.01:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

手ノ子駅(米坂線)開業記念の写真

  • 手ノ子駅(米坂線)開業記念の写真

 先日、昼食に入った食堂に、この写真が飾られていた。「昭和6年米坂線開通記念の写真」とのメモが添えられている。店の御婦人に訊くと、手ノ子駅の開業を記念して撮影された家族写真とのことで、中央の夫人に抱かれているのが、この年に生まれた御婦人の母であると教えてもらった。

?

 手ノ子駅は昭和6年(1931年)8月10日に開通した鉄道省米坂東線の終着駅として開業した。隣駅の羽前沼沢駅が開業したのが昭和8年11月10日であるから、その間は手ノ子駅周辺は大変な賑わいであったことが予想される。この写真は、お母さんにとっては家族との想い出の大切な一枚であり、ふるさとの記憶へと誘うものなのであろう。同時にこの写真をお店に飾って、大切にしている娘さんの優しさにも触れたよう気がした。

?

 米坂線は令和4年(2022年)8月3日~4日の豪雨で被災し、今泉~坂町間は未だ不通の状態である。地域の人たちの復旧要望活動も活発になっているようだが、地元の人たちそれぞれの鉄道や駅とのかかわりを発掘することも大切なことではないだろうか、とこの写真を見て思った。とにかくも米坂線復旧に向けた方針が早期に決定されることを望むばかりだ。

?

 なおこの写真が飾られている食堂は桃華楼本店(長井市大町4-12)です。ちなみに私が注文したのはラーメン・チャーハンセットでした。美味しかったですよ。

?

?

米坂線萩生駅のことはこちらから

→ 無人駅の善意の花:おらだの会 (samidare.jp)

2024.03.26:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]

「駅を思う」写真展

  • 「駅を思う」写真展

 広田泉さんに続いて仲井裕一さんの写真展をご案内します。仲井さんは昨年の8月に長井線を応援する写真家7人展Ⅶに作品を出品してくれた方です。仲井さんの作品は駅の待合室やホームに佇む人を中心にしたものが多くあり、とても印象深く感じたことを思い出します。仲井さんにとって今回が初の個展だそうですが、テーマからも作品の素晴らしさが想像できるようです。WEBに載っている仲井さんのメッセージを紹介します。

 

 

 日本には9,000ほど現役の駅があります。どの駅も、その街のシンボルとして、その地に住む人々や訪れる人々をあたたかく迎え入れています。鉄道を利用する人だけでなく、誰かを迎えに来る人、散歩の休憩で駅舎のベンチに腰掛ける人、そんなさまざまな人が集まる場所です。
 そして、駅は私に出会いの大切さを教えてくれた存在でもあります。ときには彼女のためにテーブルを列車で運ぶ男性、ときには10年越しに四国八十八ヶ所の巡礼を終えたばかりの人…さまざまな出会いがありました。列車が来るまでの数分間、出会った人と会話をして写真を撮ることで、その地の空気が体の隅々まで行き渡るようにも思います。そんな駅の魅力、出会いの大切さを、この作品を通して多くのみなさんと共有できればと思っています。

 

 

  仲井さんの作品を鑑賞しながら、道の駅や街の駅とは違う「駅の魅力」を改めて考えてみたいものだ。

 昨年の「7人展Ⅶ」の様子はこちらから

 → 『7人展Ⅶ』③  百年目に語らう:おらだの会 (samidare.jp)

 

 仲井裕一写真展「会遇~駅」

  期 間:2024年3月7日(木)~4月9日(火)

      10:00~17:30 日曜・祝日休館

  場 所:キャノンオープンギャラリー1

      港区港南2-16-6  CANONS TOWER 2F

 

2024.03.20:orada3:コメント(0):[駅茶こぼれ話]