蛭川さんの『時季を刻む鉄道景』展の作品を紹介します。最初に紹介するのは「懐かしい駅舎」と題する作品。(一部を省略しています)
休みが続く日の静かな朝
窓越しに乗客の姿がちらほら
帰省客だろうか だとすると
久しぶりに降り立つこの古い駅舎に
何を思うのだろうか
もうすぐ田舎の旧盆である。駅ノートにも「○年ぶりで帰省した」との記入もみられる。帰省客がこの駅に降り立った時、どんな思いが巡るのであろうか。この作品を見て改めて思った。
7人展の(反省会の)余韻がまだ残っている中で、今週末から「時季を刻む鉄道景」展がスタートします。出品者は福島市在住の蛭川敏(ひるかわさとし)さんです。蛭川さんは2019年頃に山形鉄道を初めて訪問して以来、その魅力に惹かれて通い続けているそうです。その作品は「カマ鉄オモシー組合」と題した自身のブログに掲載されています。
蛭川さんのブログはこちらからどうぞ
今回はブログに掲載された山形鉄道関係の写真に、撮影当初の思いを綴ったモノローグを添えて、一つの作品として出品していただきました。私たちの心の風景が映し出されているような作品です。どうぞご覧ください。
『時季を刻む鉄道景』展
期 間 8月8日(金)から31日(日)の各週末(金・土・日)
ただし、15日は除きます。
開場時間 午後1時半から午後4時まで
「危険な暑さ」というフレーズも聞き飽きてしまった。7月だけで耐暑エネルギーを使い果たしたような気がするが、今日は8月3日。夏はこれからが本番だと思うと、かなり落ち込んでしまう。
そんな折、待合室に飾ってください、と切り絵を提供していただいた。尾瀬沼の散策風景と夏の日差しに向かって咲くヒマワリとの切り絵です。作者は仙台市在住の桑原重雄さん。4月に「山鉄応援切り絵展」を開催してくれた方です。懐かしい歌詞と共に、爽やかなひと時をお過ごしください。
夏が来れば思い出す はるかな尾瀬 遠い空
誰のために咲いたの それはあなたのためよ 涙なんか知らない いつでも微笑みを
7月11日から開催してきた「7人展Ⅸ ~ 頑張れ!山鉄」も今週の日曜日で終了となる。今回「7人+ハート展」としたのは、ポスターの写真を提供してもらったNanaさんを含めていたのである。そして、展示会の結びにもNanaさんの写真を提供してもらった。
ポスターの写真には、赤湯駅で仕事をする山形鉄道の運転手の姿がある。そして上の写真には、窓口で業務をしている女子社員の姿がある。山形鉄道の運転手は車両の整備作業も行っているという。そして女子社員も窓口業務、団体客のアテンダント、山鉄グッズの企画販売など2役、3役もこなしているのである。
今年になってから山形鉄道には厳しい状況が続いているが、こうした社員の姿を忘れないようにしたいと思う。自然に「ご苦労さん」、「ありがとう」という言葉が湧いてくる。「応援する」ということは、「感謝する心」から生まれるものかもしれない。この企画展の結びに伝えたい。
山形鉄道の皆さん、ありがとう!
頑張れ! 山鉄!
最後に紹介するのは斎藤順一さんの「待つ時間」。舞台は羽前成田駅のホームのベンチ。防雪林の樹間から差し込んでくる夕陽に照らしだされる女性。手にはスマートフォンが握られている。
この作品を熱心にご覧になっていた方に、この作品にどんなタイトルを付けますか?と尋ねた処、「『黒皮の手帳』ならぬ『黒い帽子の女』かな」と笑いながら答えてくれました。この写真に不思議な奥深さを感じさせるのには、ミステリアスな女性の存在が大きいと思うが、同時にホームという空間の特異性も重要に思えるのだ。
この作品を見た時、ホームには待合室とは違った意味を持つ場所なのではないかと思えた。ホームにたたずむ女性はここにたどり着くまでに、どのような人生を歩んできたのだろうか。そして今、彼女は何を思い、どこに行こうとしているのだろうか。ホームには過去と現在、そして未来への扉があるのかもしれない。
中島みゆきの「ホームにて」という歌がある。ふる里へ向かう列車に乗ることを切望しながらも逡巡する心情を綴った歌だ。今は生きづらさを抱え、心のふる里を求めて旅する人も多いだろう。この駅のホームが、そんな人たちに生きる希望を与えてくれる場所となることを願っている。
【おらだの会】これまで掲載してきた作品紹介記事は、当会の勝手な感想であります。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。なお「7人展Ⅸ」は8月3日(日)が最終日となります。開場時間等はこちらをご確認ください。