山口雄士朗さんの作品です。山口さんは長井高校写真部の卒業生で右が在校時の作品。左が最近の作品「陸の疾風(那須塩原駅)」で、鉄道写真家・広田泉さんを彷彿とさせるような作品となっています。
山口さんが帰省の折に駅茶においでくださいました。「作風が変わったの?」との質問に、しばらく間をおいて「最近の作品に物足りなさを感じている部分があります。」と答えてくれました。作品は悩みながら生み出されているものなのだと知り、失礼な質問をしたことを恥じた。
山口ワールドの次のステージを楽しみにしたいと思う。
斎藤順一さんの作品です。左の作品は「沿線を走る」。梨郷駅付近から菜の花越しにフラワー号、飯豊連峰が見えています。右の作品は、時庭駅付近にあるハス田に憩う姿を映し出した「ひと休み」。
斎藤さんの作品には、長井線と沿線の草花を撮った作品が多くあります。斎藤さんの作品を見て、鉄道写真ではフレームに切り取る風景の範囲と列車のバランスが重要なのかな、と感じます。ここに列車が来なかったら、列車のサイズがもっと大きかったら、などと考えながら鑑賞するのも面白いかと思います。
【おらだの会】時庭駅のハス田には、故郷を元気にしたいと取り組んで来た人々の物語があります。ハス田の物語はこちらからどうぞ。
今回は遠藤博さんの作品です。遠藤さんはA1サイズの額に、A4版の写真3枚とA3版の写真1枚を貼り付け、組み写真風にまとめています。下段が蚕桑駅から四季の郷駅間の桜(ピンク)の風景。上段は鮎貝駅の水仙と西大塚駅の菜の花で黄色が映える風景になっています。西大塚駅の車両は100周年記念の4両連結車両です。
1枚の額に収められていることから、トータルとしての「長井線の春満開」がイメージされてくるように思います。今年の「サイズもテーマもお任せ」が生んだ新しい作品の形のような気がします。
【おらだの会】作品に映り込みが発生するのを最小限に抑えるために、撮影の角度を調整しています。そのため作品が見づらくなっていることをお許し下さい。
今回特別に参加をお願いした仲井裕一さんの作品です。右の作品は、私たちが駅茶で写真展の打合せをしていた時のもので、タイトルが「百年目に語らう」。「白寿を迎えた駅舎の中で語らう人々がいる。この駅ではこれまでもこんな語らいの風景があったのだろうか、そしてこれからも・・・」といった作者の思いが伝わるようである。
左はおりはた駅の待合室を映した「雨音が聞こえる」。おりはた駅の待合室には公徳傘が準備されていたことを思い出した。長椅子に置かれた赤い傘は、その中の1本であろうか、それとも・・・。1本の傘から物語が生まれそうである。さらにこの傘は、この空間を共にした人物がいたことを想起させ、待合室という空間の特質そのものを語っているようでもある。
今回の仲井さんの作品は、ホームや待合室を題材にしているが、地元の作家があまり取り上げて来なかった題材であったように思う。旅人の研ぎ澄まされた感性が、駅やホームに内在する魅力に共鳴するのであろうか。仲井さんの作品はその他に「旅への誘い」「夕刻の出会い」がある。タイトルも含めて詩情を感じさせる作品である。ぜひ会場でご覧いただきたい。
作品紹介の2番目は、歌丸の人さんの「紅(くれない)の山」。白川橋梁を走るフラワー号。そしてその奥には、紅に染まる雄大な飯豊の山々が見えている。普段の暮らしではフラワー号の見慣れた景色しか見えないが、そこは盆地空間の一部でしかないことに気づかされる。
大道寺吉次の句に「起き出でて葉山の峰を眺むれば恥じらふ色に雪を染めたり」がある。葉山よりも遠くにある飯豊連峰は、より荘厳な姿である。四方にそびえる連山は、私たちを見守っているのか、はたまた閉じ込めようとしているのか。
歌丸の人さんのA1サイズの大作は、ふるさとの山の存在を改めて知らしめるものである。東西南北それぞれの山容の作品を見てみたいものだと思う。
大道寺吉次の句はこちらから