特製スタンプに続いては、スタンプアート。羽前成田駅の机の中に散在していたスタンプを押しまくったもので、駅を訪れてくれた山鉄大好きお兄さんが制作してくれたものです。事務用のスタンプもここまでやると「アート」というよりは、「スタンプ曼荼羅」のように神々しく見えます。
山鉄大好きお兄さんはこの後、旅に出て行ってしまいましたが、このスタンプアートは成田駅の大事な宝物となっています。
最近は「鉄印帳」というご利益のありそうなものも大変な人気があるようですが、鉄道を愛する人にとっては、駅スタンプを収集するのも楽しみ方の一つ。羽前成田駅には2012年(平成24年)に、みちのく鉄道応援団から提供された特製駅スタンプがあります。みちのく鉄道応援団からプレゼントいただいたのは、成田駅の他に荒砥駅と宮内駅だったそうです。
なお山形鉄道には開業当初に独自に制作した、各駅のスタンプがありました。そのスタンプには、写真のように当時の山形鉄道のキャッチコピーであった「湯の香 花の香 紬の里へ」が刻まれています。それらは現在、長井駅に保管されているそうです。
【おらだの会】 当駅は無人駅ですので、管理上、スタンプの紹介は写真展等の開催時などに限らせていただいております。何卒、ご理解くださいますようお願いします。
久しぶりの晴れ間に、虹が現れました。冬の虹は、雪との戦いに明け暮れる日々に、ひと時の休息の時間を与えてくれます。ましてやコロナ禍で塞ぎ込む毎日の中では、希望やときめきをも呼び起こしてくれます。
というわけで、虹のゲートを、粉雪を颯爽と舞い上げて駆けて来るフラワー号の写真を撮ろうと、カメラを持って待ち構えていました。けれども3分後に到着した紅花号の頭上に、その想いだけをかすかに残すようにして、冬の虹は儚く消えてしまいました。
虹が現れた昨日は、長井市内で第18回雪灯り回廊祭りが行われました。SNSに上げられる写真からは、コロナを吹き飛ばせとの市民の思いが伝わってきます。ランタンの灯りは、凍てつく空にかかる虹のように、折れそうな心を支え合いながらみんなの気持ちを繋いでいこうというメッセージのように思えました。
昨秋、駅茶で若い方々と談笑していると、シルバーヘアーのいかにもダンディな方がおいでになった。紳士は「俺、なんぼだど思う。90歳だ。どうだ90には見えねぇべ。」といい、子供頃、兵隊さんが出征するときには、子供達も学校から成田駅まで小旗を持って見送りに来たことを話してくれたのでした。中ノ目の歴史散歩(飯豊町 中ノ目の歴史を辿る会編:平成27年)にも、次のように記述されています。
『1937年(昭和12年)7月、支那事変勃発と同時に当時、小学校の全校生は駅のホームで日の丸の小旗を持ち、毎日のように出征兵士を見送りした。出征兵士の士気高揚を図るため、大人と同様にばんざい・万歳を叫んだ。この行動は終戦まで続いた。』
「汽車汽車ポッポポッポ/シュッポシュッポシュッポッポ/僕らをのせて・・・・」で親しまれている童謡の『汽車ポッポ』は、もともとは『兵隊さんの汽車』という歌だったそうです。『汽車汽車ポッポポッポ/シュッポシュッポシュッポッポ/兵隊さんを乗せてシュッポシュッポシュッポッポウ/僕等も手に手に日の丸の旗を振り振り送りませう/萬歳萬歳萬歳兵隊さん兵隊さん萬々歳 』という歌詞だったそうです。
『兵隊さんの汽車』は1938年(昭和13年)に作られ、『汽車ポッポ』は終戦の年(1945年昭和20年)に発表されたそうです。子供達を戦時下に動員するための歌ではあっても、子供達には汽車ポッポは大好きなものだったということでしょうか。千葉から車を運転して来られた紳士には、今も鮮やかにあの頃の記憶が残っているのでしょうか。
山形鉄道では、新規のグッズ販売などにも取り組んでおり、またオンラインツアーなどの支援事業も行われている。一方で県や市、町においても役場等の建設やコロナ対策などで、財政的に厳しい状況にあることも理解されるところである。赤字補填策がどうなるのか気になるところではあるが、この厳しい状況は、コロナによる単なる一時的な経営悪化ではなく、鉄道事業のもともとの脆弱な基盤が提示されたものとみるべきではないだろうか。
昨年の4月に「がんばるニャンズ」で「本当の応援とは何だろう」と自問したことがあった。最近、ある大学教授がSNSで「鉄道やバスを残したかったら利用することだ。少なくともみんなで利用しようという努力は必要なんじゃないですか。」と投稿されていました。今は、列車内での飲食を控える必要もあり、楽しい貸切列車もままならない。だとしたら沿線住民も、土日フリー切符などを利用して、少人数で列車からの風情を楽しむような「新しい旅の姿」を創らないといけないのかもしれない。
私たちはせめて、この新聞記事を単に山形鉄道の問題だ、行政の問題だと他人事として見ることだけはしないようにしたいと思うのだが。