先生のお弁当

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 3月になると卒業式のニュースが流れて来る。時々、駅を利用するおばさんがいた。駅茶でお茶を飲みながらの世間話の後、その方の思い出話を聞かせてもらう機会があった。

 

 「私の家は子供が多くて貧しかったので、弁当を持って行けなかったことがあったんです。そんな時先生が、私の弁当を食べなさい、と言って食べさせてくれたんです。私は中学校を卒業すると同時に東京に出て就職しました。何年か前に退職して、今は誰もいなくなった実家に帰って来ました。その先生は成田の出身でしたが、若くして亡くなったと聞きました。この駅に降りると、優しかったあの先生のことを思い出すんです。」

 

 故郷に戻って来し方を振り返り、優しかった恩師のことを語る駅舎でのひと時。胸に記章をつけてもらい木造の体育館で歌った「仰げば尊し」が思い出される。コロナ禍の中であっても、思い出深い学校生活であって欲しいものだ。

2022.03.08:orada3:[駅茶こぼれ話]

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