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広田泉伝[2] 写真集「ここから始まる」刊行

  • 広田泉伝[2] 写真集「ここから始まる」刊行

 広田泉さんは西大塚駅での写真展の後、山形鉄道本社を訪れ、山形鉄道の社員に当時制作中であった写真集のモデルを依頼している。そして写真集「ここから始まる」は、6月11日に刊行された。

 

 広田さんは想像を超える悲惨な状況を目の当たりにして、「自分に何ができるのか。何をすべきなのか。」と自問しながらも、「ここから始まる」と訴えるのである。復興への確信と祈りが混じり合う心境ではなかったろうか。後に広田さんの口から「地域で頑張る人を応援したい」という言葉を聞くのであるが、その言葉が生まれる原体験がここにあったのではないかと思える。

 

 2020年、コロナ禍にあって自分たちの活動自体が厳しい事態に遭遇したとき、写真集「ここから始まる」は、私たちの心を奮い立たせてくれました。広田さんが引っ張ってくれた昨日までの一歩を思い返しながら、明日の一歩を自分たちの力で踏み出そうと思ったのです。

 当時の思いは、こちらからご覧ください

 → 成田界隈探検 夢をあきらめない:おらだの会 (samidare.jp)

 

 

【おらだの会】写真は「ここから始まる」に書いてくれた広田さんの応援メッセージです。広田泉写真展はこちらからご覧ください。

  → 広田泉写真展を開催します:おらだの会 (samidare.jp)

2023.03.28:orada3:コメント(0):[がんばるニャンズ]

第16話 フラワー流“旅”の楽しみ方を (白兎駅)

  • 第16話 フラワー流“旅”の楽しみ方を (白兎駅)

 羽前成田駅を出ると約2キロにわたってまっすぐに北上し、ウサギの耳が描かれた可愛らしい待合室のある白兎駅に到着する。ホームに降りると西に葉山の山並みが連なり、田甫が山のふもとまで続いている。鉄道写真家 中井精也さんがフラワー長井線を「里山の風景の中をゆく鉄道の原風景を味わえる貴重な路線」と評しているが、その代表的なスポットがこの場所である。葉山は朝には朝陽を受け、夕には光輪をまとう。季節ごとに装いを変え、白兎伝説を生んだ荘厳な山容である。

 

 長井が生んだ彫刻家長沼孝三氏は、「長井の心」と題する文章で葉山を背景とする長井の風景を「世界の宝」であると称え、人間形成にとって理想的な環境であるという。以前、高校生と話す機会があって、ふるさとで一番好きな風景を訊ねたとき、「列車から眺めた葉山」との答えが返ってきた。人間形成の基礎である子供時代、思春期の時代を過ごした土地、ふるさとはどんな人にとっても格別な意味を持つものであろう。

 

 駅ノート作家の一人は、「この風景に会いにきました。会いたい風景にやっと会えました」と書いていた。自然景観への共鳴はそこに住む人だけのものではないようである。旅に出る動機や目的は人それぞれであるが、初めての土地で無人駅に降り立ち、山並みを眺めながら、心に移り行くよしなしごとを心に刻んでみるのも旅の楽しみではないだろうか。

 

 葉山神社と白兎の伝説はこちらから

   → 葉山神社 | 白兎(しろうさぎ) | 致芳ふるさとめぐり | 長井市致芳コミュニティセンター (chihou-cc.org)

 

 

 駅ノート作家の投稿はこちらから

  → この風景に会いに来ました:おらだの会 (samidare.jp)

 

 

【おらだの会】写真は山形鉄道㈱提供。

成田駅も開花!

  • 成田駅も開花!

東京目黒川に続いて成田駅の十月桜も開花しました。成田も東京並みになりました。(笑)

それはさておき今年のお花見は、長井線全線開通100周年記念日の翌日(4月23日)の予定ですが、それまで桜が残っていてくれるでしょうか。

 

昨年は4月11日に開花の記事を投稿していたようです。こちらからどうぞ

 → 十月桜咲きました:おらだの会 (samidare.jp)

2023.03.24:orada3:コメント(0):[停車場風景]

第15話 逢いたい人に逢えそうな場所  (羽前成田駅)

  • 第15話 逢いたい人に逢えそうな場所  (羽前成田駅)

 羽前成田駅は、長井線が長井駅から鮎貝駅まで延伸開通した大正11年(1922年)に開業しました。洒落た半切妻のポーチが乗降客を迎える洋風基調の駅舎です。構内カウンターを支える持ち送りには幾何学的な意匠、荷物受付窓口の腰板は一枚板の掘り込み、屋根の破風板端部にも装飾的な彫りが施され、大正期からの鉄道の歴史を伝える貴重な建築と言われています。平成27年(2015年)8月4日、駅本屋が西大塚駅と共に登録有形文化財に登録されました。

 

 

 若い二人連れが、駅舎のあちこちをカメラに収めている。女の子が待合室の囲炉裏を眺めながら、「懐かしいねぇ。逢いたい人に逢えそうな場所だね。」と言った。相方も笑顔で頷いている。

 

 この駅に母と訪れたのは3年前の8月。西山の麓にある母の実家に誰も住まなくなって、お墓を東京に移す準備に来たのだった。お寺さんと親戚に挨拶をして、帰りの列車を待っていた。防雪林の間から爽やかに風がそよぎ、風鈴の音色も涼やかだった。

 

 母は問われるともなく語り始めたものでした。「この駅から高校に通ったんだ」、「就職するときには、ここでみんなに見送ってもらったものだ」。「お正月に帰った時は、お父さんがここまで迎えに来てくれた。車の中では何から話したらいいか悩んだもんだよ。」と。私はその時、故郷の家やお墓を棄てなければならない母にとって、この駅が昔のままに残っていてくれて本当によかったなと思ったものでした。

 

 今日は一人でこの駅を訪れ、母と過ごした時間を想い出している。あの時と同じ景色を眺めながら、母の人生に思いを馳せています。ここは私と母の想い出の場所、そして逢いたい人に逢える場所だと思うのです。想い出の場所を守っていてくれてありがとうございます。

広田泉伝[1] 西大塚駅に降臨

  • 広田泉伝[1] 西大塚駅に降臨

 来月の22日から始まる広田泉写真展を前に、広田泉さんとの交流経過をまとめておきたい。おらだの会自身のこれからを考えることになると思うからである。

 

 3.11の大震災から1か月後の平成23年(2011年)4月29日から西大塚駅で「東北の鉄道応援チャリティー写真展」が開催された。鉄道写真家米屋こうじさんの呼びかけに広田泉さん始め中井精也さん、その他写真愛好家15名程が呼応して行われたものである。この写真はその時の記念写真である。参加された皆さんの顔をみると、「駅に集う人たち」というタイトルが自然と浮かんでくる。和やかに共通するものが通い合っているように思える。

 

 広田さんと山形鉄道とのかかわりは、ここから始まったのではないだろうか。来訪神的に言うならば「西大塚駅に降臨」である。そのきっかけをつくってくれたのが米屋こうじさんである。米屋さんは4月23日に広田さんの人と作品について語ってくれることになっている。どんな話が聞けるか楽しみである。

 

 

 写真展の案内はこちらから

  → 広田泉写真展を開催します:おらだの会 (samidare.jp)

2023.03.20:orada3:コメント(0):[がんばるニャンズ]