9月29日、ロックガーデンと南側の花壇の除草作業を行いました。あいにく雨の中の作業となりましたが、若干名を除いて、雨合羽を持参して準備万端。花壇の中は、色とりどりの合羽の花がうごめいておりました。今年は毎月末の日曜日に整備作業を行うことにしていますが、それでも草ははびこります。30年前、地元の先輩たちが駅周辺の花壇を、それこそきれいにしていたのを想い出します。あのパワーには、改めて脱帽です。
【古い写真は、成田駅で勤められた故玉置清吉氏が撮影】
待合室と言えば出札口ですが、駅舎探検のカメラは、下からのぞき込む趣味があるようです。今回は、カウンター下の持ち送りに注目してください。
羽前成田駅のモノは、古代文明の遺跡を想起させるような幾何学文様の切り込みが施されています。それに対して西大塚駅のモノは、さりげない曲線で仕上げられ、しかも大小の持ち送りを配しています。
出札口は、当時の国鉄にとって最も大事な場所であったと思われますので、その施工についても詳細に指示されていたと思われます。とすると、両駅のこの意匠の相違は、8年間に生まれた建築様式の変化によるものと思われます。もちろんこの場所が、建築当時から手を加えられていないとすればですが。
車寄せから待合室に入ります。待合室の見所もいろいろありますが、私のイチオシはベンチの脚。羽前成田駅の脚は、何の変哲もない四角の板材。それに対して西大塚駅の脚は、厚板を見事な曲線を描きながら欠き込んでいます。果たしてベンチの脚の規格まで、発注の際に指示するものでしょうか。隠れた所に職人さんの「粋」を感じます。これには羽前成田駅も脱帽です。さてさて、うら若い女性がベンチに座る。斜めに流した美脚をベンチの美脚が支える。何とも色っぽい風景ですなぁ。
車寄せ探検の最後は、ここに使われている錆びた金具。羽前成田駅のモノは方杖(ほうづえ)のような金具であり、西大塚駅のモノは屋根の上に取り付けられた雪止め金具である。地元の棟梁に聞くとそれぞれ「化粧持ち送り」、「トンボ」と呼んでいるとのこと。
成田駅の金具は同じようなモノがホーム側にも使われているが、それには中の輪(〇)はない。中に組み込まれた輪は、何のために作られたのであろうか。また成田駅の屋根は縦葺き(瓦棒葺)のため、横葺きである西大塚駅のような雪止め金具は設置されていない。なぜ、成田駅は縦葺きで、西大塚駅は横葺きなのであろうか。駅舎が配置された方角と雪の多少によるものであろうか。
100歳の木造駅舎にあって、全く違和感を感じない程に錆ついた二つの金具。この金具を選択し、工事をした職人はどんな人であったろう。モノには物語があるものだ、と思う。