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長井線リポート(13) 故郷の山に

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 列車は、蚕桑を出て白兎駅に向かう。白兎駅から羽前成田駅までの約2キロは、線路が真っ直ぐ一直線に伸び、窓外には西山の雄大な山並みが見える区間である。白兎駅のホームには「山形景観物語 ビューポイント33」の看板がある。

 長井線で2キロ以上の直線が続くのは、ここと時庭~南長井駅間の2区間だけであろう。どちらも置賜(長井)盆地の田園地帯を走るのであるが、東西の山並みとの距離の差で、見えてくるものが全く違っている。

 汽車通学を経験した方が、「あの西山の風景が、一番記憶に残る故郷の風景だった」と語ってくれました。四季それぞれの佇まいを鑑賞ください。特に秋の夕暮れ時に、金色に輝く姿を眺めて欲しいものです。

 

  起き出でて葉山の峰を眺むれば 恥じらふ色に雪を染めたり(大道寺吉次)

  置賜は国のまほろば菜種咲き 若葉茂りて雪山も見ゆ(結城哀草果)

 

【おらだの会】 写真は山形鉄道株式会社提供

2021.03.13:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(12) YRギャラリー

  • 長井線リポート(12) YRギャラリー
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 荒砥駅を出発すると、列車は勇んでスピードを上げる。来る時の減速感とは真逆である。この感覚は乗ってみないとわからないものだ。

 

 さて、車内を動き回るのは、変な大人風で恥ずかしくなる。小さな子供の視線を感じながらも、意を決してあちこち眺めまわす。すると網棚の上に青空と白い砂浜らしきポスターが見えた。冬の列車の中に海外のビーチでもあるまい、と思って近づいてみると、南陽市の十分一山の写真である。やまがたアルカディア観光局が撮影したもので、地域の観光スポットが紹介されている。別の列車には、長井線の昔の写真が展示されていた。

 

 こうした展示は面白い。旅の方には、沿線の四季と車外からの風景を見てもらうこともできるし、地元の人にとっても、地元の魅力を再認識することもできる。何よりも、山形鉄道の社員の方の一生懸命さが見えてうれしいのだ。昔、家に帰省客が来ると、みんなでお餅をつきながら、「何もないけど、サワギがゴッツオウだ。」と語っていたことを想い出す。

 

 高校生の作品展示や長井線を応援する写真家展などがあっても良いし、子供のぬり絵展なども楽しそうだ。クリスマスなどの装飾や吊り革オーナーなどと共に、山形鉄道を応援する人たちの姿が見えて来るような場所にすることも考えてみてはどうだろうか。

 

  ナンニモ  ナイゲンドモ  ユックリ シテッテ  オゴヤエナ

2021.03.11:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(11)  映画祭受賞の「ゴミ箱」

  • 長井線リポート(11)  映画祭受賞の「ゴミ箱」
  • 長井線リポート(11)  映画祭受賞の「ゴミ箱」

 荒砥駅からのリスタート。こんどの列車は長いベンチ型の鉄道娘号。ダリア号で一緒だったご婦人とお孫さん、鉄道マニア風の若者、そして荒砥から乗車した中年男性が2名。孫さんはおばあさんの膝に抱っこしながら、お菓子を食べている。

 

 さて、列車を見回して気になるものを見つけた。それは、いかにも歴史的な匂いを醸し出している「ゴミ箱」と書かれた貼り紙である。調べてみるとなんとその貼り紙は、長井線で撮影された「lost & Found(ロスト&ファウンド)」という映画に登場する由緒正しい貼り紙だったのである。

 

 この貼り紙は、駅員さんが車内の忘れものを探しまわり、「ゴミ箱」の上の網棚で発見するという場面で登場します。この映画の主役はそれぞれの人生の落とし物、忘れ物ですから、それを受け止める「ゴミ箱」にもこだわったのではないだろうか。「襖の下張り」のようなこの貼り紙に、あなたは何を思うだろう。

 

 

  コノゴミバコハ アナタノ ツラカッタコトヤ

  カナシカッタコトヲ セイリスル バショデス

  コノタビガ オワルトキ チョットダケ 

  エガオニ ナッテ カエッテクダサイ

 

【おらだの会】 「ロスト&ファウンド」の記事はこちらからどうぞ

     ⇒http://samidare.jp/orada3/note?p=list&c=421398

 

2021.03.09:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(10) 車両基地の陰で

  • 長井線リポート(10) 車両基地の陰で

 荒砥駅には転車台があったが、その場所は今、車両基地になっている。車両基地の陰に、廃車となった初代ダリア号が置かれている。昭和63年10月25日、山形鉄道開業に合わせてモダンなシンボルカラーでさっそうと登場した初代ダリア号は、仲間に先んじて引退することになった。

 

 車両基地の陰にひっそりと佇むその胸に、去来するものは何であろう。開業時の人々の熱い声援であろうか。それとも仲間と共に走り続けた日々であろうか。あるいは幻のままに潰えた左荒線の夢であろうか。

 

  ボクハ  ギンガテツドウニ  ナッテ

  ソラヲ  カケメグリタカッタ

  イマデモ  ボクハ  ソノユメヲ  ステキレズニ

  キタノ  ソラヲ  ナガメテイル

2021.03.07:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]

長井線リポート(9)  丸型ポスト復活物語

  • 長井線リポート(9)  丸型ポスト復活物語
  • 長井線リポート(9)  丸型ポスト復活物語

 荒砥からの折り返し列車を待つ間、駅周辺の探検に出かける。今の荒砥駅は2003年(平成15年)4月に建替えられたものであるが、ステンドグラスからの光は、高い天井と相まって一瞬、教会に来たような錯覚を覚える。通路には昔の貴重な写真などが掲示され、駅資料館もあって楽しい時間を過ごすことができる駅である。

 

 荒砥駅は、2002年(平成14年)旧長井駅と共に、東北の駅百選に選定されているが、駅の正面には国鉄の時代の痕跡が見つけることができる。1986年(昭和61年)の写真に写っている丸型ポストが、新駅にも残されているのである。実は、山形鉄道のHPにある写真では、駅前のポストは角型になっているのである。それが、建て替えの際に再び丸型ポストを設置したと思われるのである。

 

 荒砥の方が成田駅においでになった時、「荒砥の駅ばぁ、あんげなあだらしぐしてしまってよぉ。」と語られたことがあった。けれどもこの地には、丸型ポストを復活させた人達がいたのだ。

  ソコニ アルノニハ ワケガアル 

  ソコニハ ヒトノ モノガタリガ アルノダロウ

 

【おらだの会】古い写真は山形鉄道(株)提供。荒砥駅の角型ポストの写真は山形鉄道HPをご覧ください。

 山形鉄道HPはこちらから⇒ https://flower-liner.jp/yamatetsu_history/arato/

2021.03.05:orada3:コメント(0):[長井線乗車リポート]