2月26日
〇鉄印帳集めのついでに来たよ。
〇いつ来てもなつかしい感じがします。
〇初めて伺いました。おらだの会の皆様のお力で、こんなすてきな駅舎が管理されていて、ほんとに素晴らしいことだと思います。有難うございます。 (65歳)
「長井線を楽しむ旅」を提供しようと始めたリポートでしたが、季節は早くも春模様。列車も少しスピードを出して、羽前成田駅を通過して野川橋梁をわたります。来月になれば堤防の桜並木がきれいな花を咲かせるでしょう。その時、列車の中からは、どんな景色が広がるのだろうか、と想像するのも楽しいものです。ましてや、6月のあやめ祭りには、野川に橋の街灯が映り、公園内にはボンボリが灯ります。そんな景色を想像してみて下さい。
アナタ ハ レッシャ ヲ トルヒト
ワタシ ハ レッシャ カラ ミルヒト
ソレゾレ アッテ ミンナイイ
リョウホウ アレバ モットイイ
【桜の写真は歌丸の人提供】
列車は、蚕桑を出て白兎駅に向かう。白兎駅から羽前成田駅までの約2キロは、線路が真っ直ぐ一直線に伸び、窓外には西山の雄大な山並みが見える区間である。白兎駅のホームには「山形景観物語 ビューポイント33」の看板がある。
長井線で2キロ以上の直線が続くのは、ここと時庭~南長井駅間の2区間だけであろう。どちらも置賜(長井)盆地の田園地帯を走るのであるが、東西の山並みとの距離の差で、見えてくるものが全く違っている。
汽車通学を経験した方が、「あの西山の風景が、一番記憶に残る故郷の風景だった」と語ってくれました。四季それぞれの佇まいを鑑賞ください。特に秋の夕暮れ時に、金色に輝く姿を眺めて欲しいものです。
起き出でて葉山の峰を眺むれば 恥じらふ色に雪を染めたり(大道寺吉次)
置賜は国のまほろば菜種咲き 若葉茂りて雪山も見ゆ(結城哀草果)
【おらだの会】 写真は山形鉄道株式会社提供
荒砥駅を出発すると、列車は勇んでスピードを上げる。来る時の減速感とは真逆である。この感覚は乗ってみないとわからないものだ。
さて、車内を動き回るのは、変な大人風で恥ずかしくなる。小さな子供の視線を感じながらも、意を決してあちこち眺めまわす。すると網棚の上に青空と白い砂浜らしきポスターが見えた。冬の列車の中に海外のビーチでもあるまい、と思って近づいてみると、南陽市の十分一山の写真である。やまがたアルカディア観光局が撮影したもので、地域の観光スポットが紹介されている。別の列車には、長井線の昔の写真が展示されていた。
こうした展示は面白い。旅の方には、沿線の四季と車外からの風景を見てもらうこともできるし、地元の人にとっても、地元の魅力を再認識することもできる。何よりも、山形鉄道の社員の方の一生懸命さが見えてうれしいのだ。昔、家に帰省客が来ると、みんなでお餅をつきながら、「何もないけど、サワギがゴッツオウだ。」と語っていたことを想い出す。
高校生の作品展示や長井線を応援する写真家展などがあっても良いし、子供のぬり絵展なども楽しそうだ。クリスマスなどの装飾や吊り革オーナーなどと共に、山形鉄道を応援する人たちの姿が見えて来るような場所にすることも考えてみてはどうだろうか。
ナンニモ ナイゲンドモ ユックリ シテッテ オゴヤエナ
荒砥駅からのリスタート。こんどの列車は長いベンチ型の鉄道娘号。ダリア号で一緒だったご婦人とお孫さん、鉄道マニア風の若者、そして荒砥から乗車した中年男性が2名。孫さんはおばあさんの膝に抱っこしながら、お菓子を食べている。
さて、列車を見回して気になるものを見つけた。それは、いかにも歴史的な匂いを醸し出している「ゴミ箱」と書かれた貼り紙である。調べてみるとなんとその貼り紙は、長井線で撮影された「lost & Found(ロスト&ファウンド)」という映画に登場する由緒正しい貼り紙だったのである。
この貼り紙は、駅員さんが車内の忘れものを探しまわり、「ゴミ箱」の上の網棚で発見するという場面で登場します。この映画の主役はそれぞれの人生の落とし物、忘れ物ですから、それを受け止める「ゴミ箱」にもこだわったのではないだろうか。「襖の下張り」のようなこの貼り紙に、あなたは何を思うだろう。
コノゴミバコハ アナタノ ツラカッタコトヤ
カナシカッタコトヲ セイリスル バショデス
コノタビガ オワルトキ チョットダケ
エガオニ ナッテ カエッテクダサイ
【おらだの会】 「ロスト&ファウンド」の記事はこちらからどうぞ
⇒http://samidare.jp/orada3/note?p=list&c=421398