成田駅前の桜は、所有者である地元の高橋鯉屋さんが育ててくれているものです。2年前は遠方からおいでになった友人も交えて、楽しく花見をしたものですが、残念ながら今年も自粛の春となってしまいました。それでも、羽前成田駅前はソメイヨシノに続いてシダレ桜が満開となっています。カンザンやカンピ、ウコンなどの珍しい桜はまだ蕾で、しばらくは楽しめそうです。なお、金・土・日の週末の午後は駅舎内で「鈴木亮写真展」も開催しています。どちらもマナーを守って鑑賞ください。
長井線リポート(24) 不思議に感動できる場所
松川橋梁を渡り切ると下り坂となり、列車の振動も軽やかで心地よい。ブラタモリが大好きなのは崖と縁(ヘリ)であるが、松川橋梁から梨郷駅までの区間は、置賜盆地の北の縁を走る区間であり、長井線の中でも特異な風景が楽しめる区間である。今回は写真3枚をご覧いただきたい。
とりあえず北側の風景を楽しむことにする。松川橋梁を渡ってしばらくすると、北側の縁から樹木の枝が覆いかぶさって来る。山形鉄道の方が「(自然災害から線路を守るために植えられた)鉄道林がある」と言っていた場所が、この辺りなのかもしれない。
旧長井街道の踏切辺りまでは旧道と並行して走る。豪農の館風の屋敷が見られる。中には蔵が何棟か建てられ、門付きの家も見ることができる。南陽市史によれば、梨郷地区は大正中期から「丸リ白菜」が全国的に有名で、関東や関西方面に貨車で運ばれて行ったというが、その名残であろうか。
線路の南側に目をやれば、国道113号線が走っている。この先には最上川があり、その橋の名前は「幸来橋」。山形新聞やまがた橋物語によれば、初代の幸来橋は1887年(明治20年)に建設され、現在は3代目になるという。橋の建設に奔走した梨郷の松木慶太氏が「幸せが来るように」との願いを込めて応募した名称が採用されたのだという。
崖と縁の鉄道林を抜け、新旧の街道に挟まれ、街道筋の暮らしぶりも味わえる約1.2キロは、大人(としょり)が不思議に感動できる場所だった。やっぱり乗ってみなけりゃわからないものである。
長井線リポート(23) 最上川を越える覚悟
この写真は下りの時の松川橋梁の写真である。上りの時は最上川に目を奪われるが、下りの時は橋脚に目が取られる。大正3年に造られた橋脚の上を走っていることに、改めて気付かされる。山形鉄道の方からは、「この当時、湾曲した鉄橋を造ることは珍しかっただろう。」と教えられた。川に飛び込んでしまいそうな感覚は、乗ってみなければ味わえないものだ。
長井線の歴史を辿ると、最上川を越える時に壮大なドラマが繰り返されて来た。梨郷から最上川を渡ろうとする時、そして鮎貝から荒砥まで延伸させようとする時である。母なる川・最上川は、豊かな恵みをもたらすと共に、大いなる試練をも与えて来た。最上川を越えて鉄道を敷くには、大いなる覚悟が必要であったのだろう。
100歳を超えた橋脚から「ボーっと乗ってんじゃねーよ」と言われそうである。
【写真は、時代の忘れもの館(南陽市宮内)提供の「置賜軽便鐡道開通式記念カード」より】
『週末写真館~やまがた景観物語』スタート
駅茶で鈴木亮写真展がスタートしました。鈴木さんにはこれまで「さくら紀行」や「山形の四季」などをテーマに写真展を開催していただきました。5回目となる今回は、東北デスティネーションキャンペーンにちなみ、山形景観物語「おすすめビューポイント」として選定されている山形県を代表する景観地の写真展です。
現在、ビューポイントに認定されているのは60カ所ですが、そのうち6カ所に鈴木さんの作品が採用されています。今回は、パンフレットに掲載されている6作品を含めて13箇所、17作品が展示されています。もちろんフラワー長井線の最上川橋梁、葉山の風景もあります。どうぞご覧ください。
『週末写真館~やまがた景観物語』
☆展示期間 令和3年4月9日(金)~5月9日(日)
金、土、日曜日の午後1時半から4時まで
おすすめビューポイント60はこちらから