左の写真は「この模型は最近発売されたものですが、これと同じ番号の蒸気機関車の写真が成田駅に飾られてあったはず。」とのメッセージを添えて、知人が送ってくれたものである。この模型のプレート番号は79606であり、それは地元の写真愛好家であった小笠原弘氏が提供してくれた写真に映っていたものと同じであった。
今回ポスターに使わせてもらった右の写真は、昭和47年冬の羽前成田駅の風景である。この年に貨物輸送からも蒸気機関車は退役することになる。真っ白い雪景色の中で汽車を見送る駅員の姿は、その後の国鉄改革の嵐を予感させるようにも見える。鉄道写真で幾多の受賞歴のある小笠原氏の作品の中でも秀逸のものだと思う。
小笠原氏は今年の6月、亡くなられた。それと時を同じくするように、この79606号が模型として私たちの前に現れた。9634号や59634号のように「さよなら列車」として盛大に見送られることもなかった機関車が、蘇ったのである。小笠原氏に心からの哀悼の意を表すると共に、その作品と共に小笠原氏の功績を末永く伝えていきたいと思う。
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