山形鉄道㈱は昭和63年(1988年)の開業当初こそ収支とんとんであったが、その後は厳しい状況が続いた。開業5周年を迎えた平成5年からは、国の補助も打ち切られることとなり、さらに社内的には不正事件が発生するなど内外に問題を抱えることとなった。
平成6年3月3日の山形新聞社説欄には「長井線利用運動は原点に」との見出しで、「この厳しい状況から脱するには、やはり沿線住民、沿線市町の理解と協力が欠かせない。設立当初に誓ったマイレール意識の普及といった原点に立ち返った再度の運動が必要ではないか。」と指摘している。
人口減少に加えて、コロナ禍によって団体客が期待できない現在の状況は、当時以上に厳しいものがあると思われるが、当時のような危機感があるようにも思えない。列車の中で綱引きをするような企画は、民間でなければ浮かばない発想だと思う。綱引きではなくとも共に汗をかく覚悟が必要と思われるがどうだろうか。
【おらだの会】写真は、小口昭遺作展「長井線の今・昔」より。
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