この服は2年前、山形市からおいでになったKさんが持って来てくれたもので、国鉄時代の機関士の制服である。Kさんは昭和27年に中学校を卒業後、東京の会社に就職したが間もなくその会社が倒産。「絶対つぶれない会社で働きたい」と国鉄に就職することを希望して、鉄道専門学校であった岩倉高校に入学。昭和33年に卒業後、昭和34年に正式に国鉄職員となった。昭和39年に念願の機関士免許を取得し、長井線でも運転したという。
kさんはその後の気動車や電気機関車への革新に伴い講習と試験を重ねて、昭和42年に気動車運転士、昭和53年には電車運転士となった。その間昭和49年から52年までは労働組合の専従職員に推され、国鉄改革闘争の中で停職や減給処分を繰り返されたという。
岩倉高校では夏休みに鉄道関係のアルバイトが必須であったが、アルバイト先の上司が現在の奥さんの父親であったという。すでに国鉄時代の物を殆んど整理してしまったというが、この服には最後まで残しておきたい思い出があったのではなかろうか。
【おらだの会】この服は現在、『駅舎と96展』の会場に展示しています。
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