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神聖な議場で“嘘つき”呼ばわれされた私としては…これって、現代版「花巻事件」じゃないかと~その一方では“立地”論争が大詰めに。あぁ、“嘘だらけ”の人生よ!!??

  • 神聖な議場で“嘘つき”呼ばわれされた私としては…これって、現代版「花巻事件」じゃないかと~その一方では“立地”論争が大詰めに。あぁ、“嘘だらけ”の人生よ!!??

 

 新花巻図書館の「駅前立地」構想が浮上して以来、このまちの鉄道盛衰史に興味を持つようになった。たまに面白い発見がある。たとえば、駅そのものの“立地”論争もそのひとつ。現在の「JR花巻駅」(旧国鉄)が誕生したのは134年前の明治23(1890)年11月1日。当時も建設場所をめぐって、町方とそれ以外の地区との間で誘致合戦が行われ、結局当時、貴族院議員だった伊藤儀兵衛が私有地を寄付して、現在地に決まった。「いつの時代も土地は利権がらみということか」。JR側がいわばタダで手に入れた土地が今度は市側に売却されるという時代の転変に若干鼻白(はな)じろみながら、さらに歴史をひもといているうちに衝撃的な事実にぶち当たった。

 

 「花巻事件」―。『誤った裁判』(岩波新書、1960年刊)によると、この事件が起きたのは昭和27(1952)年12月6日。当時の花巻駅には明治44年に開業した「岩手軽便鉄道」(現釜石線)が乗り入れ、遅れること4年後に東北初の電車としてお目見えした「花巻電鉄」が交差する一大鉄道駅としての賑わいを見せていた。“朝鮮特需”もあって、駅前一帯には飲み屋街が林立し、そのひとつ「玉の家」でこの事件は発生した。

 

 当時、遠野駅に勤めていた29歳の鉄道員Sさんはその日、自宅のある花巻駅に着いたその足で駅前の玉の家にふらりと立ち寄った。遠野でもしこたま飲んだので、すでに酩酊(めいてい)の状態だった。突然、2階のふすま付近が燃えているという叫び声が聞こえた。幸いボヤ程度で収まったが、「放火未遂」事件として、犯人探しが始まった。最後まで2階で飲んでいたSさんに疑いの目が注がれた。あらゆる拷問(ごうもん)の末にSさんは自供に追い込まれた。最高裁で「無罪」を勝ち取るまでに5年の歳月を要していた。

 

 「私は読んでいませんよ。ただ、そのブログにはいろんなことが書かれているらしい。全部嘘なんですが、それが独り歩きしている」―。花巻市議会6月定例会の議案審議の場で、上田東一市長は新図書館の立地問題に絡んで、まるで私のブログを名指しするように、こう答弁した。とっさに花巻事件で「嘘の自供」を強いられたSさんの光景が二重写しになった。最近相次ぐ反問権の乱用や今回の“嘘つき”発言…。時代の隔たりを超えてもなおという思いにかられた。「暴力という形はとらないまでも“公権力”を背景にした、これはある種の言論封殺つまり心理的な拷問ではないのか。強権支配の構造は何ひとつ、変っていない」―

 

 『誤った裁判』には花巻事件のほか、三鷹事件や松川事件など戦後の代表的な「えん罪」事件が8件取り上げられている。筆者のひとりは上田市長と同じ東大法学部出身の弁護士、後藤昌次郎さん(故人)で、生まれは隣り町の北上市。松川事件(昭和24年)を担当したことで知られる後藤さんは花巻事件について、こう書いている。「善良な国鉄職員である被告が、放火未遂のぬれ衣をきせられて、長い間裁判にかけられたのは、取り調べに当たった警察官の拷問のためであった。…岩手県の花巻に住む一国鉄職員の経験はこれだけのことを示すには余りにも不幸なものであった」

 

 人権派弁護士として名を成した後藤さんの姪、後藤昌代さんは地元で和風喫茶「手風琴」(てふういん)を営んでいる。昌代さんら有志のメンバーはバナナのたたき売りや皿回し、南京玉すだれなどの大道芸にも通じ、私が福祉施設に勤務していた当時は何回かお招きしたことがある。さらに,コロナ禍のやもめ暮らしの際には「歌でも歌って、元気になって…」と歌声喫茶のイベントへのお誘いを受けたりもした。まさに「縁(えにし)」とは不思議なものである。

 

 「駅前か病院跡地か」―。134年前、もうひとつの“立地”論争の末に誕生したJR花巻駅前を舞台にした新図書館の建設問題はこれから正念場を迎える。一方の病院跡地をめぐっては、4年前に新装オープンした新病院で「裁判沙汰」が明らかになるなど病院内の不祥事に市民は不安を募らせている。「新図書館&新病院」物語が今後、どんな展開を見せるのかー終わりなき「悲喜劇」の大団円は果たして…

 

 

 

(写真はかつて、通学用にも利用された花巻電鉄。車内の間隔が狭く、馬の首のようにひょろ長かったので、“馬面(づら)”電車とも呼ばれた。民家の軒先をこするように町内をくねくねと進む姿が今も目に浮かぶ。昭和47年に全線廃止。釜石線も乗降客の激減で、花巻事件当時の“赤ちょうちん”の面影はない=インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

《追記―1》~彼方の首長も“うそ八百”発言!!??

 

 

 兵庫県の斎藤元彦知事らを内部告発した元県民局長の男性(60)が死亡した件で、同知事は10日陳謝したが、辞職は否定した。元県民局長は3月中旬、知事による職員へのパワハラなどの疑惑を告発する文書を県議や報道機関に配布した。斎藤知事は「うそ八百」と否定、逆に停職3か月の懲戒処分を科した。その後、県議会が「百条委員会」を設置したが、元県民局長は七夕の7月7日、自宅で死亡しているのが見つかった。斎藤知事(46)は東大経済学部卒の元総務官僚で、1期目(7月11日付「朝日新聞」より)

  

 

 

《追記ー2》~プロポーザル選定委員会、次回も非公開に!!??

 

 第1回プロポーザル選定委員会(6月27日開催=同日付当ブログ参照)の会議録が9日付HPで公表され、次回も非公開にすることが委員6人の全一致で決まった。非公開の理由について、市の図書館アドバイザ-でもある早川光彦富士大学教授は「我々の協議した内容が公開されると、これに申し込もうとしているところとかが、事前に情報を得られるということになります…」などと意味不明なことを口にした。文化施設でもある図書館建設の叡智を広く公に求めようとする際に外部に知られて何か不都合なことでもあるのだろうか。なお、市職員以外の委員3人は現職の富士大学の教員かかつてその職にあった“大学閥”で占められている。

 

 

 

《追記―3》~プロポーザルの公募は7月9日から

 

 9日付HPに公募プロポーザルの実施スケジュールが公表され、参加申し込みは7月9日から同19日までと決まった。その後、応募者の資格審査や質疑、企画提案書の審査、プレゼンテーションなどを経て、8月下旬に契約締結へ。契約期間は締結日から12月13日まで。いわゆるファシリテーターが決定した後、50人規模の「市民会議」が予定されており、ここで対話による意見集約をするとしている。スケジュールが予定通りに進めば、今年中には「駅前か病院跡地か」の立地論争が決着を見ることになる。

 

 

 

《追記―4》~試案検討会議及び市民参画協働推進委員会へ報告ですか?

 

 「出来レース」を名乗る方から、以下のようなメールが届いた。あらためて委員名簿を確認した結果、外部委員の2人がこの二つの組織(1人はオブザーバーとして)に名前を連ねていることが分かり、趣旨に納得した。

 

 「ブログ記事を見て、改めて今回のプロポーザル実施の経緯を見たのですが、プロポーザルにより選定された手法について、当局の議員説明会では、試案検討会議及び市民参画協働推進委員会へ報告と書かれています。今回のプロポーザル選定委員会にこれら二つの委員会から予め委員が選定されているのはなぜなのかと不思議に思いました。これら二つの委員会への報告はまさに事後報告で、出来レースにするための委員布陣ではないかと思ったりします。そもそもこういう人たちをプロポーザル選定委員会に選ぶのはいかがなものかと思います」

 

 

 

《追記ー5》~議会中継へどうぞ

 

 新花巻図書館や総合花巻病院などをめぐる市政課題が議会内部でどのように議論されているのか、以下のアドレスから議場へ入場できます。議員活動を外部から監視するためにもどうぞ。6月定例会の一般質問でこの案件の双方かいずれかを取り上げた議員は以下の通り(敬称略)。なお、上田市長の”嘘つき”発言は18日の議案審議における伊藤議員の質問に対する答弁の中に出てきます(2,56,28時~)。また、花巻病院の”裁判沙汰”を問うた羽山議員の質問の最後の場面には上田市長の反問権の乱用ぶりが映し出されています。

 

・伊藤盛幸(10日、緑の風)

・阿部一男(13日、社民クラブ)

・照井明子(同、共産党)

・羽山るみ子(同、はなまき市民クラブ)

・鹿討康弘(14日、緑の風)

 

 

インターネット議会中継(外部リンク)

 

 

 

 

《追記―6》~井戸端会議にリーダーはいない(天野正子)

     

 60年安保闘争時、「誰デモ入れる声なき声の会」という旗を掲げ、歩道の人に行進への合流を呼びかけた画家の小林トミ。彼女は、自分の都合を優先せざるをえない個人がそれでも生活人として意志表示し、政治を足許(あしもと)にたぐり寄せる非組織の「市民」運動を追求した。社会学者・天野による評伝「小林トミ」(《ひとびとの精神史》第3巻、栗原彬編『六〇年安保』所収)から=7月12日付「朝日新聞」鷲田清一の折々のことば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花病「裁判沙汰」余話…「あだ花」と散った夢の跡~仏作って、魂入れず!!??

  • 花病「裁判沙汰」余話…「あだ花」と散った夢の跡~仏作って、魂入れず!!??

 

 「移転地において、年間80万人が行き交うにぎわいを創出。中心部における地域活性化につなげていきます」(平成27年12月1日発行「広報はなまき」)―。もうあれから、足かけ10年になる。「これでシャッター通りともおさらばできるね」…その日、花巻市民は一面を埋め尽くした完成イメージ図に小躍りした。一般病棟のほか少子化に備えた助産所の開設や234席の移動式座席を備えた「多目的ホール」、オーガニックが売り物のレストランなどなど。目の前に示された「(総合花巻病院)移転整備基本構想案」(平成27年11月)はまさに将来の夢を約束する朗報になるはずだった…

 

 暗転はわずか1年後にやってきた。当初予定の事業費約99億円は12億減の約87億円の減額に。当市は当初約30億円の補助を予定していたが、余りにも巨額な税支出に市民や議会側から批判が噴出、結局約20億円に抑えられた。80万人の(病院)関係人口の創出というスローガンは泡沫(うたかた)の夢と消えた。新たに公表された「移転新築整備基本構想」(平成28年12月)によると、自己資金はわずか1億円。ほとんどが補助金や金融機関からの借り入れにおんぶした形の新病院はそれでも強引にオープンを急いだ。一体、なぜ…

 

 「仏作って、魂入れず」―。事実上の“見切り発車”は当然のように、病院の経営を直撃した。現在、裁判を係争中の男性技士のAさん(1日付当ブログ参照)は当時の内情をこう語っている。「臨床工学技士を募集していることを知り、これまで何か所かの病院で培ってきた技量を発揮できると…。ところが、まるで天国と地獄。年間3・5カ月とされていた期末手当は1・5カ月。後に分割払いで支払われたが、労基局から残業手当約2千万円以上の未払いを指摘されたことも。知人の事務員は陰湿なパワハラといじめに耐えられなくなり、退職に追い込まれた」―

 

 “助産所”事件と呼ばれる出来事があった。「助産所は2階建て(延べ154平方メートル)で1日2人の利用者に対し、産婦人科医や助産師など5人が対応に当たる」―。旧構想案でこう明記されていた記述が新構想案ではそっくり削除され、こう書き替えられた。「将来的に産婦人科医師や助産師の体制が整った際には出産の受け入れを検討する。それまでは助産師外来を開設し、出産前後の妊婦指導を行えるようにし、同時に産後ケア施設の開設も検討する」―。この“公約”はすべて反故(ほご)にされ、「出産」受難は解消されないまま、現在に至っている。

 

 「まちづくりのために新病院の建設を急ぐのだとすれば、これほどまでの医療への冒涜(ぼうとく)ない。土台、魂(医療)の抜け殻みたいな病院に患者が押し寄せるわけがない」―。知り合いの開業医が吐き捨てるように言った言葉がまだ、頭の奥に刻まれている。今回の巨額な財政支援を目の当たりにしながら、この医師の怒気がはっきり、分かるような気がした。「上田(東一)市政の誕生に花を添えるための、これは言ってみれば『立地適正化計画』の成功を祝うための“ご祝儀”事業ではなかったのか」―

 

 病院から徒歩で5分前後の場所に職員駐車場がある。その場所でのモラルを欠いた振舞いに町内会から苦情が出たことについてはすでに触れた。その背中合わせに瓦礫(がれき)の荒れ野が広がっている。上田市政の“負の遺産”とささやかれる新興製作所跡地(花巻城址)である。本来なら、まちのシンボルになるべきはずのプロジェクトが無惨な姿をさらけ出している。一方で、東北有数の温泉地がある当市へのインバウンド(外国人観光客の誘客)を呼びかける上田市政…城郭文化に誇りを持つ外国人にとって、この光景はどう映るだろうか。こうした倒錯した神経にはめまいすら覚える。新病院に続いて、新花巻図書館の行方にも…何か不吉な予感が漂い始めている。

 

 

 

 

 

(写真は売店を兼ねた休憩室。当初計画ではオーガニックレストランとコンビニが入居するはずになっていた=花巻市御田屋町の病院入り口わきで)

 

 

 

 

《追記》~失敗隠しあるいはマッチポンプ

 

 

 「ガッテン市民」を名乗る方から、以下のような長文のコメントが寄せられた。「上田市政」の本質を的確に分析していることにうなずいた。ますます、「市民不在」の市政運営から目を離せなくなってきた。

 

 

●「ブログ記事で分かったことは、周産期医療について総合花巻病院移転計画でぶち上げた計画が出来なくなって、その失敗隠しで市内の周産期医療施設に対して、産婦人科医等を雇用するのに何千万円もの破格の補助金を出すことになったのではないか、ということです」

 

●「そもそも病気になった市民が集うことで、街の賑わいを作ろうとしていた考え方が不健康、不健全だと思います。更に言うと予想しやすい市政失敗が顕在化した後、それを隠すために必要な施策を、多額な予算措置をしてさもさもすごいことをしているかのようにしている現市政のあり方は、 自分で火をつけておきながらポンプを使って消火する様子、すなわち、何らかの利益・評価を得るために自ら問題を起こし、自分で解決する行為としか考えられません」

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花巻病院で裁判沙汰…目に余る“モラルハザード”~貧すれば鈍する!!??

  • 花巻病院で裁判沙汰…目に余る“モラルハザード”~貧すれば鈍する!!??

 

 「愛は人を癒(いや)し、誠(まこと)は病を治す」―。こんなスローガンを掲げ100年以上にわたって、地域医療に貢献してきた公益財団法人「総合花巻病院」(大島俊克理事長)で人事管理やパワハラ問題をめぐって、裁判沙汰が起きていることが明らかになった。さらに今春、経営悪化に陥った同病院に対し、当市や金融機関が総額11億円にのぼる巨額な財政支援に踏み切ったのをきっかけに、病院内における“モラルハザード”(士気の低下)も指摘され、再建に向けた前途に暗雲が立ち込めている。

 

 病院側を相手取って、「降格処分」の無効などを求める民事訴訟を起こしているのは40代男性技士のAさん。訴状によると、Aさんは2020(令和2)年2月1日付で、移転・新築前の同病院に臨床工学室技士長として採用された。約3年後、Aさんは「患者さんに安全で質の高い医療を提供するためには、医師と看護師との有効なコミュニケーションが必要だ」という趣旨の提言書を医療安全担当者の会議に提出した。病院側の態度が急変したのはこの直後だったという。

 

 上席の専務理事から再三にわたって文言の訂正を強制されたうえ、Aさんは2023(令和5)年2月1日付で技士長から「主任」級に降格され、手当ても月額2万円の減額になった。提訴に踏み切ったのは約4か月後の昨年5月。Aさんは取材に対し、こう述べた。「解雇もほのめかされた。なかば“監禁状態”の中で無理やり、同意書を書かされた。その時は恐怖心にかられたが、いのちに関わる医療の実態を闇に葬ってはならないと思い、裁判を決意した」。Aさんは精神的な苦痛などに対する慰謝料を含め、総額1,160万円の賠償を求めている。裁判は今後、被告側の証人尋問や原告側の本人尋問などを経て、早ければ今年中の結審が見込まれている。

 

 一方、同病院の経営悪化の要因として真っ先に挙げられているのが「病院移転費用」―。市側は新病院の開院に当たって、ざっと20億円の財政支援をしたが、わずか4年余りで経営が行き詰ったことになる。市側の内部資料によると、旧病院の解体費用や土壌改良費用が想定の約6億円を上回る約9億8千万円、新病院の建物や医療機器などに係る減価償却費が想定の約17億円を大幅に上回る約28億円にのぼったことが経営の足を引っ張ったとしている。

 

 新病院の移転・新築事業は上田(東一)市政の政策理念「立地適正化計画」の第1号と言われる。国からの有利な融資を受けるため、計画策定に前のめりになった結果、診療科目の充実や医師の確保など医療本体を後回しにした“見切り発車”の側面も否定できない。その意味では今回の経営悪化を引き起こした一因は「行政主導」を先行させた市側にもあると言わざるを得ない。また、訴状に登場する「専務理事」が医師免許のないコンサルタント会社からの派遣だったことも、”労務管理”偏重の経営に傾き、今回の裁判沙汰につながったと言えそうだ。

 

 「児童生徒への模範となるよう、病院職員として自覚をもっての行動を徹底するよう…」―。最近、病院内の掲示板にこんな告示が張り出された。がれきが放置されたままになっている「新興製作所跡地」(花巻城址)に隣接する職員駐車場を利用する際、近くの私有地を勝手に横断したり、大声で歩きスマホする職員が目立ち、地元の町内会から苦情が寄せられたのだという。「貧すれば鈍する」―。市民のいのちと健康を守るという原点に立ち返り、一日も早く健全な病院経営を目指してほしいと切に願う。

 

 

 

 

(写真は経営悪化が表面化した総合花巻病院。9月をメドに再建計画がまとめられることになっている=花巻市御田屋町で)

 

 

 

《追記》~ワイマール(ヒトラー)を生んだ自由の国

 

 

 映像の世紀を見たという花巻市民から、以下のようなコメントが寄せられた。うなずくことが多い内容だった。

 

 「何も決められないからという理由で、第一次世界大戦後、最も自由な国家であったドイツ共和国を独裁国家に変えてしまった今夜のNHK番組を見て思うことは、花巻市政に関わる重要な課題を、長期間にわたって何も決められない花巻市長や、その委任によるかりそめの第三者であるファシリテーターなるわけのわからない存在に意思決定を任せてはいけないということです。私たちは今、いろんな意味で歴史の転換点にいることを思うべきではないでしょうか」

 

 

 

 

 プロポーザル選定委員会も「非公開」に…果たして、公平性は担保されるのか~見事なまでの“出来レース”!!??

  •  プロポーザル選定委員会も「非公開」に…果たして、公平性は担保されるのか~見事なまでの“出来レース”!!??

 

 「JR駅前か病院跡地か」―。新花巻図書館の建設候補地選定に係る「プロポーザル」選定委員会の第1回会議が27日「まなび学園」で開催されたが、冒頭で「非公開」が決定され、私を含めた傍聴希望者(2人)は会場への入場を拒否された。HP上の告示によると「実施要領の内容確認 や企画提案書などの審査及び選定方法について」―などが議題になっていたが、非公開の理由については「花巻市情報公開条例」(第7条第5号)によるとされた。総合花巻病院に対する財政支援に係る議員説明会(3月22日開催)に続いての“密室”協議に市民の間から「行政の透明性に逆行する暴挙。到底許せない」という批判が上がっている。

 

 そう言えばこの件に関して今回、関連文書の開示請求をした際、選定委員の内訳については「非開示」とされ、“屁理屈”にもならないようようなことが延々と書き連ねてあった。「選定委員の構成案が事前に公になることにより、プロポーザルで企画提案を狙う事業者などから各人に対し、不要な接触や連絡などをすることが想定され、強い働きかけなどがあった場合、選定委員会での審査などに支障をきたす恐れがある」―。“やぶ蛇”とはこのことではないのか。こんなリスクを抱えてまでなぜ、プロポーザルにこだわるのか…疑念は逆にいや増すばかりである。そもそも、外部から選ばれた委員の皆さんに対し、失礼が極まる話ではないか。

 

 一方、委員会は市側から松田副市長ら3人のほか、図書館の専門家として富士大学の早川光彦教授、外部有識者として市民参画・協働推進委員会委員、社会教育委員の計6人で構成された。この中で早川教授は「としょかんワ-クショップ」や「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」などのアドバイザー(有償)という立場にあり、「駅前立地」に実質的な“お墨付き”を与えた当事者のひとりとも言える。こうした構成自体にも「公平性」の観点から疑念が噴出している。単純に言えば、6人の委員中4人(うち、市職員関係者3人)が「駅前立地」を鮮明にしているという塩梅(あんばい)である。

 

 図書館候補地を「プロポーザル」方式で選定した前例に大阪府豊中市がある。同市は中央図書館(仮称)の候補地(市有地を含む3か所)について、令和4年4月から1カ月間公募を行い、応募があった「 アカデミック・リソース・ガイド株式会社」と「株式会社建設技術研究所(大阪事務所)」の2事業者うち、後者が提案金額 9,361,000 円で受託事業者に決まった。これを受け、市側の「第一優先候補地選定委員会」において、阪急電鉄(宝塚本線)曽根駅前の民有地への立地が決まり、図書館本体の基本計画作成などの業務委託も同じ事業者が受託している。

 

 豊中市の場合、選定委員は市長部局と教育部局から各2名で構成され、選定理由についてはこう指摘している。「豊中市の地域特性や公共施設の立地などの状況を熟知しており、都市計画や建築計画などの豊富な経験・実績から、市民に分かりやすい原案の作成が期待できる。採点結果はプロポーザル実施に関するガイドラインに基づき非公開とする」

 

 選定にもれた「 アカデミック・リソース・ガイド」(arg)は「学問を生かす社会へ」をモットーに図書館などの公共施設や商業施設のプロデュースを手がけ、図書館プロパーとして知られる。直近(5月)でも富谷(宮城県)市民図書館等複合施設市民参画・協働推進事業支援業務や須崎市(高知県)図書館等複合施設の運営形態探求支援業務などを受託。代表の岡本真さんには『未来の図書館、はじめませんか』(共著)や『図書館100連発』(同)、『未来の図書館、はじめます』(単著)などがあり、図書館初心者にとっての入門書になっている。なお、受託事業者は日本で最初の建設コンサルタントと言われている。

 

 

 「ハードよりもソフト」―。“知のインフラ”とも呼ばれる図書館のあり方は未来を拓(ひら)く扉でもある。当市の選定委員会がどんな選択をするのか、その成り行きに注目が集まっている。

 

 

 

 

(写真は病院跡地への立地を求める署名活動。その数はすでに8,000筆を超えた。街頭署名は毎月第3日曜日午前11時から、イトーヨーカドー花巻店で行われている=花巻市下小舟渡の同店で)

 

 

 

 

《追記―1》~情報公開条例第7条第5号(審議、検討等に関する情報)

 

 「市の機関、国の機関、独立行政法人等、市以外の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民等の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」ー。ところで、肝心のプロポーザル選定委員会の設置根拠である「委員会設置要領」(6月19日付)についてのHP上の告示はいくら探しても見つからないーというはてな(?)

 

 

《追記―2》~民主主義も”知る権利”さえもへったくれ…「イーハトーブ」の底抜けた!!??

 

 この日の委員会のHP上の傍聴案内にはこうあった。「花巻市審議会等の会議の公開に関する指針第3条に規定される公開基準に基づき、同第4条により公開又は非公開を決定します。非公開となった場合は、退席いただきますのでご了承願います」―ところが、2人の傍聴希望者は冷房が切られ、ムンムンする廊下の椅子にざっと15分ほど待機させられた(受付開始時間を含めると約45分間の耐久レース)

 

 「公開の原則」どころか、門前払いの体(てい)。まるで、関所に行く手を阻まれた”暴徒”扱い。これって、“人権侵害”にも匹敵するんじゃないのか。その昔、私の周りにはこうした”狂気の沙汰”を唾棄(だき)する空気が漂っていたような気がする。委員諸氏よ、傍聴者を締め出しておきながら一方で、プロポーザル(企画・提案方式)を「公募」するなどという、ふざけた話はいい加減にして欲しいものである。

 

 

《追記―3》~タネ明かしをもうちょっと??

 

 

 プロポーザル選定委員会が決める受託事業者(いわゆるファシリテーター)は10月中旬に公表予定の(建設候補地の)「事業費」比較調査を参考にするとしているが、実はこの調査を受託しているのが(株)大日本ダイヤコンサルト。しかも、入札参加業者10社すべてがJR各社と請負関係にある独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(JRTT鉄道・運輸機構建=前身は鉄建公団)の有資格業者で、どこが落札してもJR寄りの事業者に落ち着くという構図だったことが明らかになっている(詳しくは1月30日付当ブログ参照)

 

 

《追記―4》~「タネ明かしをもうちょっと」のもうちょっと(追加)???

 

 

 独立行政法人「JRTT鉄道・運輸機構」は鉄道周辺の工事の安全確保のため、「線路近接工事安全対策」を定め、工事に参入できる有資格名簿を公表している。花巻市内でこの資格を有する企業は全部で11社。この中の1社が「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」の委員で、花巻商工会議所副会頭でもある「(株)中央コ-ポレ-ション」の佐々木史昭社長である。「駅前立地」を主導してきた人物として知られ、「JR花巻駅橋上化(東西自由通路)と図書館の駅前立地」がワンセットで実現すれば、この二つの巨大プロジェクを優先的に受注できる立場にある(詳しくは2023年9月4日付当ブログ参照)

 

 

 

《追記―5》~公開された委員名簿(敬称略)

 

・松田英基(市副市長)

・岩間裕子(市総合政策部長)

・古川昌(市財務部長)

・早川光彦(富士大学教授、経済学部=図書館学)

・関上哲(市市民参画・協働推進委員会副委員長、富士大学准教授)

・菊池豊(市社会教育委員会議委員)

 

小さな世界都市(Local&GlobalーCity)「豊岡」…それはコウノトリとの出会いから始まった!!??

  • 小さな世界都市(Local&GlobalーCity)「豊岡」…それはコウノトリとの出会いから始まった!!??

 

 

 「コウノトリ『も』住めるまちを創る」―。2001年から5期20年間、兵庫県北の豊岡市長を務めた中貝宗治さん(69)さんは“小さな世界都市”を標榜して、まちづくりを成功に導いた地方政治家として知られる。その政治哲学の原点は『が』ではなく、この『も』の発見にあるとして、自著『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』(集英社新書)の中にこう書いている。

 

 「かつてコウノトリは田んぼに植えたばかりの苗を踏み荒らす『害鳥』でした。そのコウノトリは、今や『豊かな環境のシンボル』です。この間、コウノトリ自身は何も変わっていません。変わったのは、人間の方です。人間が価値観を変えたのにすぎません。…そのような豊かな自然は、人間にとって『も』素晴らしい自然であるに違いありません」―。特別天然記念物に指定されているコウノトリは53年前、当市豊岡で確認されたのを最後に姿を消した。乱獲や農薬使用によって、カエルやドジョウ、フナやナマズなどの餌が減ったのが原因だった。「コウノトリ共生推進課」を設置し人工飼育を進めた結果、平成17(2005)年、絶滅から34年ぶりに世界で初めての野外放鳥に成功した。

 

 中貝さんは人口減少社会を生き抜く地方都市の方向性について、「地方に暮らす突き抜けた価値の創造、生きる場としての突き抜けた魅力の創造。そのキーワードは『深さと広がり』。旗印は小さな世界都市です」(同書)と語っている。無農薬や減農薬農業を推進した結果、餌になる小生物が増え、豊岡の空にはいま300羽以上のコウノトリが舞うようになった。さらに、「コウノトリ育むお米」と名づけられた銘柄米は遠く海外9カ国にまで輸出される人気ブランドに。一方、この鳥はヨーロッパでは赤ちゃんや幸せを運ぶと信じられている。なるほど、子育て支援にもつながるというわけか。やるなぁ。

 

 “コウノトリ”作戦が「突き抜けた価値の創造」(深さ)を地で行った成功例だとすれば、もうひとつの「突き抜けた魅力の創造」(広がり)はひょんなきっかけから生まれた。「いっそのこと、タダで劇団に貸してはどうか」―。志賀直哉の『城の埼にて』で知られる城崎温泉の近くに収容人員が千人規模の古いホールがあった。このお荷物施設の再利用に思案投げ首していた時、東京出張の機内でふとそう思いついた。2014年4月、日本最大級の滞在型「アーティスト・イン・レジデンス」(城崎国際アートセンター)はこうして、まるで「ひょうたんから駒」のようにして産声を挙げた。中貝さんは国内外から集まったアーティストを“観光大使”に任命した。そこにはこう書かれていた。

 

 「あなたは豊岡に滞在し、温泉を楽しみ、狂言を鑑賞し、お寿司を食べ、浴衣で温泉地を散策されるなど、大いに豊岡の暮らしを楽しまれました。よって、あなたは帰国後も豊岡の良さを人々に伝える責務を負っているものと考えます。豊岡市長は、愛を込めてあなたを豊岡市の観光大使に任命いたします」―。この流れの延長線上に2021年4月、同市に開学したのが「兵庫県立芸術文化観光専門職大学」。5月30日付当ブログで紹介したように、芸術文化と観光をコラボした全国初のこの4年制大学の初代学長に就任したのが、劇作家で演出家の平田オリザさんである。

 

 よだれが出るような「まちづくり」の手腕に引き込まれているうちに私は宮沢賢治にあやかって、「イーハトーブはなまき」を「小さな宇宙都市」(Local&CosmicーCity)と名づけたい欲求にかられた。「深くて広い」時空間を兼ね備えている(賢治の)銀河宇宙こそがそれにピッタリだと思ったからである。だが、「病院&図書館」問題…。その足元に目を向けると「突き抜ける価値と魅力の創造」とはかけ離れた無惨な光景が広がっている。なぜなのだろうか。中貝さんはトップリーダーに求められる姿勢について、以下のように書いている。

 

 「だからこそまちづくりには、自分事となる人が増えるように、対話による『一歩ずつ、一歩ずつ』の“発酵熱”の醸成が不可欠であり、時間と忍耐が必要になります。その時間の経過に耐えられるかどうかが、事の成否を大きく左右します。そしてリーダーは、地域の未来を切り開くためにやる価値があると自ら信じる事柄について、“発酵”が途切れることなく、一歩ずつ、一歩ずつ前に進むように旗を掲げ続けなければならないと私は考えています」(同書)―

 

 「IhatovーLibrary」(まるごと賢治図書館)を実現したいという私の発酵熱は弱まるどころか、ますます高まっていく気配である。一方、市長退任後の中貝さんは一般社団法人「豊岡アートアクション」(TAA)の理事長に就任。演劇的手法を活用しながら、認知症の人たちとのコミュニケーションのあり方を模索している。「深く広く」生きる人生はまだ、道半ばのようである。

 

 

 

 

 

(写真は子に餌をやる親鳥=兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園で。インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

《追記》~沖縄慰霊の日

 

 県民の4人に1人が命を落とした沖縄戦からこの日79年を迎え、各地で犠牲者の霊に祈りが捧げられた。当時、米軍の上陸を知った読谷村の住民はチビチリガマと呼ばれる洞窟(ガマ)に逃れ、約140人のうち83人が火を放つなどして亡くなった。幾度か現地に足を運んだ。近くに住む彫刻家の金城実さんが供養に建てた野仏が並んでいた。その仏たちの姿が脳裏の奥に残っている。

 

 「沖縄学の父」と言われた民俗学者の伊波普猷(いはふゆう)は生前、「汝の立つところを深く掘れ。そこに泉わく」と書き記した。「深く広く」ーは歴史認識においても欠かせないことを改めて、心に刻んだ。