【スライドのナレーション】農協の隣に(注:昭和30年当時から数えて)約30年前に建てられました。それまでは、はるばる長井の本局に行かなければならなかった村の人々の、大きな喜びの中に誕生したのです。
【追補】現在の成田郵便局の脇に、郵便ポストが隠れていますが、この当時の物なのでしょうか、気になります。さて、成田駅界隈の昔を辿る物語も、ここで一旦休憩といたしましょう。昔の写真などをお持ちの方がおられましたら、ご連絡ください。
大正11年(1922年)12月、国鉄長井線が開通し、成田駅前は急激に活気づいてきました。田んぼの真ん中に駅舎と東に向かって真っ直ぐな広い道路が出来ると、駅の北側には当時珍しい、瓦葺の新しい駅員の住宅が建てられ、すぐ前には駐在所が出来ました。鯉屋の店が建てられ、ままの上酒造が酒屋の店を開く。五十川の古久屋のあんびん屋、国鉄との契約で鉄道便で荷物を運ぶ佐々木運送店が開業。土建業の孫田家は松林堂菓子舗を開店、購買販売利用組合ができ、県道側には羽前成田郵便局が開業しました。その外お菓子屋、魚屋などの商店も次々開店し、駅前はたいそう賑やかになりました。
大きな建物が出来て人目を引いたのが成田劇場栄楽館です。芝居、映画、浪花節など週1回ぐらい公演されました。映画はまだカラーでなく、無声映画で弁士の説明つきでした。娯楽の少ない時代ですから、遠くからも汽車に乗ったり歩いたりして見に来ました。戦後流行したのど自慢の会場になったり、今の文化会館のようにも利用されましたが、昭和30年(1955年)閉館となりました。明治40年に建てられた長井村役場もなくなり、駅前は時代とともに変わって来ました。
致芳地区文化振興会編 「ふるさとめぐり致芳(平成9年11月刊行)」抜粋