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停車場憧憬 一緒に生きて行こう

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私のように肢体が不自由な人間でも

生きていて良いのですか

心折れる人生を重ねて来た人間でも

生きなければならないのですか

 

あなたはたくさんの人の苦しみや悲しみを

一人で受け止めて来たのではないですか

逃げることのできないこの場所で

仲間の中の孤独を味わいながら

生きねばならない辛さを

幾度も感じて来たのではないですか

 

けれどもこの世に生まれ 生きて 

存在しているだけで

誰かのためになっていることを信じようよ

あなたも私も一緒に生きて行こう

幼い頃の記憶に残る

丸い背中の温かさを胸に秘めながら

2017.03.20:orada:コメント(0):[停車場憧憬]

停車場憧憬  踏切にて

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この場所に立つと、僕は前に進めなくなる

いつからこうなったのだろう

 

あの頃は友達と一緒に楽しかった

ささやかだけど人並みの夢もあった

けれどもある日、急に遮断機が降りて来て

僕は一人きりになっていた

 

越えようとする度に

僕の心に遮断機が降りて来た

何の感動もなく日々を過ごす中で

僕の周りの時間だけが止まっていた

 

それでも、ここに立って

踏切の向こうの風を感じよう

いつかこの踏切を超えて、山に向かって歩いて行く

自分の姿を想像しながら

あの頃は辛かったね、と言える日が来ることを信じよう

 

僕が踏み出すのを、ずーっとずーっと

待っていてくれる人がいるのだから

 

2017.03.10:orada:コメント(0):[停車場憧憬]

停車場憧憬  出稼ぎから

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春になって

出稼ぎから父が帰って来る

両手に大きな荷物を抱えホームに降りて来る

父のジャンバーから

プーンと都会の良い匂いがしたのを覚えている

嬉しかったお土産はグローブだった

 

父に遊んでもらった記憶は少ない

けれども妙に重たい何かを伝えていた

自分に厳しい人だった

愚直に働く人だった

亡くなる前に、ひとしきり私を見ていた

「後は頼んだぞ」と言っているような気がした

 

あれから何年経っただろう

私も父と同じ年齢になろうとしている

こんな息子を父は何とみているのだろうか

 

 父と母その人生の美しさ 今更ながら見ゆるものあり

 何事も語ることとてなけれども 笑みて応えし父の遺影(おもかげ)

 

2017.03.02:orada:コメント(0):[停車場憧憬]

停車場憧憬 蒼き山に

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盆地の中に私はいる

街が闇の湖底に沈む頃

西山の尾根々々が

蒼い光と共に迫って来る

 

列車が湖底を進んで行く

安穏という灯りがもれている

私は一人 列車を見送った

 

あたりがふたたび蒼い光に包まれた

山々は 敢然として私の前に立ちはだかる

蒼い光は 死してなお見守らんとする者の

人魂なのか

過去と未来  生と死が

無言のままでそこにある

 

穏やかな葉山の峰やそれぞれの厳しき冬を超えて起ちたり

2017.02.25:orada:コメント(0):[停車場憧憬]

停車場憧憬 秘密のトンネル

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お花畑の真ん中で

小人の王様がつぶやいている

「みんなきれいに咲いたね」

兎たちがおしゃべりをしている

「何して遊ぶ」

 

子どもの頃の私は

きっと一緒になって遊んでいたんだろう

あの頃に戻れる秘密のトンネルが

どこかにありそうな気がする

2017.02.17:orada:コメント(0):[停車場憧憬]