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チームの力はどこに表れるのか

建築は、すごい人数が深くかかわります。
図面を描く人、構造設計をする人、工事をする人もみな、「私が作りました」といえるぐらい。

言いだしっぺの人が、自分の思い通りに細かいところまで決めてしまったら、他の人はつまらないですよね。
だから、言いだしっぺはダメ人間で、みんなをやる気にさせつつ、
「こいつを助けてやらないといけない」と思わせるくらいの方がいいのかもしれません。

そんな組織の姿が、その建物の空気に露骨に反映されるんです。
組織がいい空気を持っていないと、建物にも悪い影響が及ぶんです。

By隈研吾

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.45より)
2009.04.12:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

制約を楽しむ

木という素材は制約の固まりです。
長さの制限、強度の制限などがある中で、空間をつくり上げなければいけない。
そこでいろいろな知恵を絞り、制約をうまく反転して豊かさにつなげるのが、木造空間なんです。

制約を楽しむというのは、建築に限らず、人生の中でもすごくうまい手法のような気がします。
人が生きていくって、制約だらけじゃないですか。
だから、制約を楽しめたらどんなことだって楽しめますよね。

By隈研吾

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.45より)
2009.04.11:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

~隈研吾のターニングポイント~ 「負けて勝つの原風景」

今や、建築家・隈研吾の代名詞ともなった「負ける建築家」。
その独創的な建築哲学は、三十代の葛藤の日々から生まれた。

東京大学で建築を学び、24歳で設計の道に入った。
6年後にはアメリカに留学。フィリップ・ジョンソンやフランク・ゲーりーなど、世界をリードする有名建築家と出会い、最先端の建築理論を学んだ。

32歳のときに帰国。理論派の建築家として歩きはじめる。
まもなく大きなチャンスが訪れた。大手自動車メーカーのショールームコンペで、斬新な設計プランで勝ち抜いた。
一面ガラスのハイテク風の建物と、ギリシャ建築を模した廃墟のイメージ。

建物が姿を現すと、厳しい批判の声が聞こえてきた。
「環境を破壊している」「バブルの象徴」。いろいろ考えているけど、金に任せた遊びだ・・・。
隈は厳しい評価に沈み込んだ。

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.45より)
2009.04.10:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

がんじがらめの中にヒントがある

従来、敷地や予算、施主の意向といった様々な制約は、建築家の抵抗勢力だと思われていました。

しかし、僕は、がんじがらめの中に、建築をいい味にするための様々なヒントがあると思ったんです。

もしも制約が全くなかったら、制約を探しに行きますね。
現場に行けば、必ずその場所に制約があるから、現場に行く。
まさに宝なんですよ、制約は。

By隈研吾

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.45より)
2009.04.09:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

負ける建築家の意味とは

負ける対象はいろいろとあります。場所や実際に使う人、建てる人など・・・。
そういう人の気持ちを聞くということですね。

その人が「1」言ったとしたら、その裏には「100」くらいの気持ちがあると思っています。
そんな「1」の中から本当の気持ちを聞きとろうとするわけです。

そして、その部分をどう生かしていくか、それをプロジェクトの強さにしていくわけです。
負けることで強くなるというのが大事なんです。
最初から自分のスタイルを決めて押しつけたものは、独りよがりですごく脆いと思います。

By隈研吾

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.45より)
2009.04.08:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]