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~鹿嶋真弓のターニングポイント~「学級崩壊に打ち砕かれた自信」①

鹿嶋は、小学校時代の恩師に憧れて教師の道に進んだ。
校内暴力が問題になりはじめた時代。

赴任した二校目で、初めて荒れたクラスを受け持つ。
授業中、生徒が教室を抜け出すのは日常茶飯事、いじめも起こっていた。
若い鹿嶋は、なりふり構わず生徒に向かっていくしかなかった。

生徒をどこまでも追いかけ、いじめる子には泣きながら訴えた。
一日おきに学級通信を出し、生徒や保護者に自分の信条を訴えた。
次第に、いじめも教室からの抜け出しもなくなった。
鹿嶋は、”女金八先生”と慕われるようになった。

さらに、30代後半、新しい教育法エンカウンターを学び、意欲的に実践し、教師としての自信を深めていった。
その自信が打ち砕かれたのは、40歳で4つ目の中学校に移ったときだった。

意気揚々と担任のクラスに向かった鹿嶋は、教室に入るなり、激しい罵声を浴びせられた。
「うざいよ、ババア」「失せろ」

生徒たちが、机の上を走り回り、理科の実験では、火のついたマッチが飛ぶ。
学級崩壊が起きていた。

鹿嶋は、「立て直してみせる」と意気込み、来る日も来る日も生徒たちに熱く語りかけた。

つづく

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No44より)
2009.03.28:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

エンカウンターは万能か

万能ではないと思いますね。
クラスがどんな集団なのかを見る目がないと難しいでしょう。

それに、そこに至る段階として、みんなってすごい、自分ってすごい、ということを体験的に学んだり、ソーシャルスキルトレーニングを取り入れたり、いろいろなことをやっていく必要があります。

また、教師が自己開示していかないと、いい成果には結び付きません。
言っていることと行動とが違っていると、それでもうアウトです。

By鹿嶋真弓

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.44より)
2009.03.27:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

エンカウンターの成果は学力にも表れるか

学力面にも効果が見られます。
わからないことを本音で「わかりません」といえる環境をつくることで、必然的に学習能力も上がります。

落ち着いた学級集団、本音が語れる学級集団など、集団としての質が高くなるほど、学力が上がってきました。

By鹿嶋真弓

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.44より)
2009.03.26:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

エンカウンターに対する子どもたちの反応

エンカウンターをやると、ものすごく盛り上がります。
そして、人に同調することなく、自分の考えを自分の言葉で言えるようになります。

中学生は、自分はどういう考えを持っていて、どんなことが好きで、どんなことが苦手で、どんな道を歩みたいのか。
そんな個人の価値観を形成する大切な時期だと思います。

そんなとき、自分だけの世界に閉じこもったり、人に同調してばかりしていると、本当の自分がわからなくなってきます。
だから、いろいろな価値観に触れることで、これまで気づかなかったことに気づくんです。

By鹿嶋真弓

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.44より)
2009.03.25:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]

生徒への対応にセオリーはあるのか

生徒がある行動を起こした時は、なにか原因があるということです。
でも心は目に見えません。だから、その時の行動を見て経験則で考えています。

わからないときは、あれこれ考えるより、本人に聞きます。
自分のことを心配してくれていると感じてくれるだけでもいいんです。

マザーテレサが「愛情」の反意語を「無関心」と言ったように、無関心が一番ダメです。

対応の仕方は、特に決めていません。
関わった結果として、自分の中で判断し行動に出ているだけです。

By鹿嶋真弓

(プロフェッショナル仕事の流儀15 File No.44より)
2009.03.24:反田快舟:コメント(0):[仕事の流儀]