HOME > 創業者の記憶 ~老兵の半生~

老兵の半生(トップの役割3)

12月に入って製造業の情況は、さらに悪化を増している
保有する生産能力と、それを支えていくだけの
仕事量を確保できないしおまけに、収益を度外視する
価格がまかり通る、現況になってきた。
見栄も外聞もなく、自社の仕事量にあった体制に
スリム化していかなければ、本当に成り立たなく
なる事態に相当数の企業が、追い込まれて着ている
このような場面の中、トップとして同対処するか
資金を調達しても
一時的には、耐えることが出来ても、長くは続かない
それはこの事態は、急降下の中で先の目得ない
暗さが伴うからである。
中国の諺に「泣いて馬食を切る」という言葉が
あるが、人員整理を断行している企業も、トップは
其の心境なのだろうか。
賃金カットでワークシャーリングを行うか、
人員カットで、スリム化を図るか、いずれにしても
トップにとっては、夜も眠れないほど、悩ましさの
続く師走となりそうである。

老兵の半生(トップの役割2)

50人以下の中小企業の不況乗り切り策は、日ごろから
のトップの姿勢が大半を決するといっても過言では
無いと私は思っている。
今から25年前の不況に同業者が、二人も自殺し
三名ほど夜逃げ、倒産した実例があった。
其のほとんどがトップの共通する要素がありました。
1、自振り手形を、発行していたこと
2、お互いに取引のない手形を発行し交換していたこと
3、とても不必要な気前がよかったこと
4、仲間内で話すことが、ゴルフの自慢話
5、お客様接待と称して、実はそれを口実に自分を
 接待していた。
6、社員が働いている時間にゴルフをしていた。
7、やたら外車を持ちたがる
8、売り上げの増減で一喜一憂し、信念がコロコロ変わる
9、メイン銀行と自社情況のコミニケーションが足りない
10、社員に社内情況を常日頃から説明してない。
現在でも通用している事柄かな。
要するにトップ自らを律し、経営という文字を見つめなおし
"経"を"営"む経営に徹して、たまには般若心経の内容
でも勉強して、経営の真髄を会得することに
勤めれば、いつでも現況を乗り切ることの
人格が備わっていくだろうと思います。

老兵の半生(トップの役割1)

まず今回、金融のトラブル、円高、株安それらの原因は
すべて、哲学のない企業経営者達の自己利益優先主義
による仕業だといわねばならない。
特にアメリカ合理主義の犠牲で、この日本国経済が
不況に巻き込まれた。
偏った情報とは、いい情報、悪い情報
一方だけを重視して、判断することである
例えば、円高は輸出には不利だが、輸入には有利
景況は悪いが、輸入品の相場は世界不況のため下がり
続けている。其の上円高のため二重に安く買える。
そんな情況の中でも、不況を理由に人員の削減が
毎日のように報道されている。これもトップの長期的
経営計画の理念がない経営の責任であり、政治も
企業も、その場その場で、考えが変わる刹那主義の
オンパレードである。
政治が悪い、景気が悪いと責任天与をしても
中小企業の経営者にとっては、どうにもならない事で
ある。其の企業の運命は、社会の支持があるか
ないかで、倒産したり、生き残ったりすると私は
思っています。どんなに大変な経営でも社会が必要と
思う企業は残る、どんなに今儲かっていても社会が
必要としないと判断したら、明日にでも倒産である
其のいい例が、アメリカビックスリーの補助金
問題である
要はトップの経営に対する、哲学の問題である。
(トップの役割2)につづく

老兵の半生(平成の大不況3)

11月の半ばころから、当社を訪問する人たちが
通常の月よりかなり多くなりました。
販売業者の営業、各金融機関、行政、取引先各位
入れ替わり立ち代りで、対応は私一人に、限定して
応対することにしています。
理由は私が一番暇だからです。
訪問のほとんどが、情報収集でした。
当社の現況と今後の推移を、聞くことによって
今後の対応を今までとおりか、違わせていくか
検討するための、訪問がほとんどで、ないでしょうか
逆に私も、其のたびに相手側の情況も話して
いただくのですが、全般的に、この事態にどう対応
していくかの、確定的施策を確立できないでいる
方々がほとんどでした。
それほど今回の急激な不況の原因の分析が、
できていないのかも、知れません。
今回は金融業と、製造業を狙い打ちして襲った不況の
気がしますし、世界の中の日本を見ると、現状のような
極端の不況が起きる本当の、原因を見つけ出せない
気がしている。
しいていえば、円高による輸出不振と、偏った悪い
情報の氾濫による風評によるところも、多いのでは
景気の"気"は気持ちの"気"
まずは、乗り越える気持ちを確立しよう

老兵の半生(平成の大不況2)

当社は当時11月までの注残を抱えていて、毎日残業
の連続でまだ影響は、出ておりませんでした。
しかしながら、社内会議の中で早速関連業者の
実態情報を至急、かき集めなさいと指示しました。
すると、やはり装置計画の、見直しで各メーカーから
のオハーが、だいぶ減ってきている状況で、見積を
出して、受注できる割合が、大部下がってきている
との分析でした。
まだ其のときは、いつもの夏枯れだな、下半期の計画は
10月頃から始まるのだからと、高を食って
いたのですが、装置関連の部品受注が、八月に入って
大きく減少し始めたのです。
当社は自社設計のほかに、他社設計の部品加工も
もやっており、加工設備の関係で互いに、部品加工を
発注したり、受注したりの他業者との、連携も活発に
やっております。
そんな中、じっくり自分自身の中で今後の自社景況を
分析してみると、これはどう見ても、従来の不況と
性質が違う自社の存続を、かけての対処をしなければ
ならなくなるかもしれないし、自社だけでなく
長井市における産業の30パーセントを占める製造業の
死活問題にもなりかねない思ったのです。
11月に入ると状況は、最悪情況に一変する、製造業全国規模で
平均30㌫~50㌫の受注減を迎えることになるのです。
特に自動車関連企業においては、過去最悪の事態に
落ち込んでいったのです。
(大不況3)につづく