「いよいよ明日から、解体作業が始まるよ。」との連絡を得て、長井駅に出かけて行った。待合室には懐かしい観光ポスターが残され、当時の賑わう様が目に浮かぶようだった。天井を見上げて、改めてこんなに高い天井だったことに気づく。まるで大正時代のダンスホールをイメージしたようにも思えた。駅前の広場には水車の遺構。タクシー会社の社長さんが、水の街・長井を感じて欲しい、と自己負担で造ったものだ。
「東北の駅百選選定駅」のプレートと共に「停車場の記憶」のコーナーに掲載することは寂しいものがある。おらだの会は、何故この成田駅にこだわるのだろうか、と改めて自問している。そんな私を笑うかのように、長井駅は夏の青空に聳え立ち、いつも以上に威風堂々と見えた。時代劇風に言えば、処刑場に向かう武士の風格にも似ていた。