第10番 「明星山 三室戸寺 千手観世音菩薩 」
夜もすがら 月を三室戸 わけゆけば 宇治の川瀬に 立つは白波
夜通し、月の明かりを見ながら三室戸寺への道を分けて行くと、宇治川の瀬に白波が立ち騒いでいる。
◇月を「見よう」と「三室戸(みむろと)」をかけています。
月は「真如の月」※とし、白波は観音浄土の補陀落を表しているとすると、
「煩悩の闇の中、明月に照らされ、浄土のような三室戸寺で心の迷いが晴れわたる」
と解釈できます。
※明月が闇を照らすように、煩悩の迷いが晴れること。
第8番 「豊山 長谷寺(初瀬寺※) 十一面観世音菩薩」
いくたびも 参る心は はつせ寺 山もちかひも 深き谷川
※長谷寺は奈良県桜井市初瀬にあるので初瀬寺とも云われています
初瀬寺は景色がよく、幾度訪れても初めての心地となる。
観音様の「全ての人を救う」ご請願は、長谷の山や谷川のようにとても深い。
◇上の句「心ははつ(初)」にするため、長谷寺ではなく、あえて「はつせ寺」(初瀬寺)にしたと考えられます。
観音経は「弘誓深如海」(広き誓願は海のように深い)と申されています。
遊歩道からは岩陰にあるので見つけにくいかもしれません。
おはようございます。連日良い天気が続き気分も上々です!
この天気は来週の月曜日まで続きそうです、気持ちの良い週末になりそうですね!
第7番 「東光山 岡寺(龍蓋寺) 如意輪観世音菩薩」
けさ見れば つゆ岡寺の 庭の苔 さながら瑠璃の 光なりけり
今朝、目にした岡寺の庭の苔は置く露に濡れて、さながら瑠璃の輝きのよう。
◇「置く」と「岡」をかけています。
「置く露の」は枕詞です。「露たなびく」のように「露は置く」となります。
瑠璃は仏教の七宝※の一つであることから、「岡寺は観音浄土である。」と称えた歌と解釈できます。
※七宝は経典により種類が異なるが、瑠璃はいずれの経典にも入っています。
法華経では金・銀・瑪瑙(めのう)・瑠璃・蝦蛄(しゃこ貝の貝殻)・真珠・?塊(まいかい・中国産の赤い石)の七種。