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上田市長が不出馬表明…そして、クロちゃんとの出会いを機にブログ閉鎖へ~長い間のお付き合いに感謝申し上げます

  • 上田市長が不出馬表明…そして、クロちゃんとの出会いを機にブログ閉鎖へ~長い間のお付き合いに感謝申し上げます

 

 真っ黒けなので「クロちゃん」と呼ぶことになる、その子猫がドアのすき間からわが家に忍び込んだのはお盆の入りの今年8月13日のことだった。買い物から帰った私はその光景に動転し、パニック状態になった。クロちゃんは7年前に他界した妻が死の直前まで使っていた、そのベッドの上にちょこんと座っていた。私はとっさに「こらッ」と大声を上げ、外に追い出した。

 

 「お盆のこの日になぜ」―。私は柄にもなく、”輪廻転生“(りんねてんしょう)という言葉を思い出していた。ひょっとしたら、この子猫は妻の生まれ変わりではないのか。私がけんもほろろに追い出したのは亡妻その人ではなかったのか。あの時のトラウマのせいか、クロちゃんはその後ぱったりと姿を見せなくなった。かつて、経験したことがないような罪の意識に苛(さいな)まれた。キャットフードなるものを初めて買い求め、ベランダの上にそっと、置いてみた

 

 約1週間後、瀬戸物の容器の中が空っぽになっていた。クロちゃん、いや亡き妻が戻ってきてくれたんではないか。そう思うと、へなへなと力が抜けてしまった。以来、1日3回の食事提供が欠かせない日課になった。ある時、買い置きがなくなっているのに気がついた。冷蔵庫にあったプリンと鰹節をミックスした豆腐を提供したが、クンクンとにおいを嗅ぐだけで、ポイ。「これはとっておきだぞ」…ウナギのかば焼きの出血サーブスにも「ノーサンキュウ」の面持ちではないか。「この贅沢(ぜいたく)、クロべえよ」

 

 ベランダで伸びをしたり、毛づくろいをしたり、でんぐり返ったりと日ごとにその距離感は縮まっていった。そんなある日、クロちゃんの左右の目の色が違っていることに気がついた、猫通の知人によると、黒猫には珍しい「オッドアイ」(金目銀目)だといい、幸運を呼ぶとも言われているという。「さ~て、どんな朗報を運んでくれることやら…」―

 

 前置きが長くなったが、猛暑から一転して秋の気配が深まった10月2日、現職の上田東一(71)・花巻市長(3期目)が記者会見の場で次期市長選へ不出馬を正式に表明した。健康上の理由だという。ざっと、12年間に及ぶ市政チェックを辛口の筆法でブログに書き連ねてきた。この場を借りて、ご苦労さまでした。退任後はゆっくりとお休みくださいと伝えたい。そして、私はクロちゃんの頭をなでながら、ボソボソと独りごちた。「そうか、お前が伝えたかったのはこのこと(市長勇退)だったのか。だとすれば、こっちの方もそろそろ“潮時”ということかもしれないな」

 

 当ブログは市議に初当選した直後の2010年9月14日付で開設し、早や15年が経過した。「マコトノクサ通信」でスタートし、「イーハトーブ通信」から現在の「ヒカリノミチ通信」に至るまで、タイトルの命名はいずれも宮沢賢治からいただいた。この15年間が満州事変(1931年)から先のアジア・太平洋戦争の敗戦(1945年)までの“15年戦争”にピッタリ重なっていることに我ながら、驚いた。

 

 『「イーハトーブ“図書館”戦争」従軍記―独裁と図書館』(仮題)と題した自著が今秋にも刊行される。上田市政下、5年以上に及んだ新花巻図書館をめぐる攻防をドキュメント風にまとめた記録である。『「1・29」事変の勃発』という書き出しで本書は始まる。我が人生の掉尾(ちょうび)を飾るにふさわしい“戦記物”ではないかと内心、まんざらでもない。イスラエルによるパレスチナ「ガザ」地区へのジェノサイド(大量虐殺)に見るように、独裁者はいつの時代でも「文化」(知性)に敵対する存在だということを後世に伝え残したかったのである。

 

 ブログ開設以来、15年間のアクセス数は2,856,845件(10月2日正午現在)に達した。歯に衣着せぬ内容に眉をひそめた読者も多かったと思う。そんな性分なので何卒、ご容赦をいただきたい。手厳しいコメントをくださった読者の皆さんの支えがあったからこそ、持ちこたえることができたと思う。

 

 相棒のクロちゃんがこのところ、玄関ドアに鼻先を押し付け「二ヤーン」と何か訴えるそぶりを見せるようになった。「中に入れて」というサインのような気もするが、「う~ん」と腕を組んでしまった。齢(よわい)85歳の老残と子猫のクロちゃんの余命の差は歴然としている。私自身が味わった“やもめ”の寂しさをこの子に味わわせてはならない。

 

 ある時、背筋をきりっと伸ばしたクロちゃんが玄関前の椅子の上に招き猫然として、座っているのを見つけた。刹那(せつな)、その姿が亡妻に変身したように見えた。「早く、こっちにおいでよ」と手招きしているような錯覚を覚えた。クロちゃん、老い先短いこのオジイとのお付き合いをもうちょっとだけ、よろしくね。妻は沖縄・石垣島のサンゴ礁の海に眠っている。

 

 さて、次期市長選は令和8年1月18日告示、同月25投開票の日程で行われる。現職の引退に伴い、3人の新人による争いになる公算が強い。いずれにせよ、立地適正化計画を柱とする上田市政の総括に有権者の関心が集まっており、とくに市民世論を二分した「新図書館」問題は大きな争点になりそうだ。各候補者の訴えから、耳をそらすわけにはいかない。

 

 

 

<注>~今後、ブログ記事は私的なメモが多くなると思われるので、原則として非公開とします。しかし、緊急事態に匹敵するような案件についてはその都度、公開したいと思います)

 

 

 

 

(写真は我が唯一無二の“盟友”であるクロちゃん。仕草や鳴き声の変化によって、阿吽(あうん)の“会話”も通じるように=花巻市桜町の自宅玄関前で)

 

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『毒もみのすきな署長さん』とイーハトーブはなまきの”悪人”列伝…さすがは賢治さんの洞察力~今日は92回目の賢治忌!!??

  • 『毒もみのすきな署長さん』とイーハトーブはなまきの”悪人”列伝…さすがは賢治さんの洞察力~今日は92回目の賢治忌!!??

 

 「ああ、面白かった。おれはもう、毒もみのことときたら、全く夢中(むちゅう)なんだ。いよいよこんどは、地獄(じごく)で毒もみをやるかな」―。宮沢賢治の掌編『毒もみのすきな署長さん』の最終部分にこんなセリフが出てくる。毒性のある山椒の実などを川に流し、川魚を漁獲する“違法”行為を実は取り締まる側の警察署長が犯していたという逆転ストーリーなのだが、私は結びの一文に思わず虚を突かれ、そして唸ってしまった。「みんなはすっかり感服しました」―

 

 件(くだん)の署長の死刑が確定し、処刑が下される時がきた。冒頭に掲げた最後のセリフの直前の表情を賢治はこう描写している。「いよいよ巨(おお)きな曲った刀で、首を落されるとき、署長さんは笑って云いました」―。罪を悔いるどころか、あの世に行っても毒もみを続けると豪語する、この大悪党の振る舞いに周囲の目は怒りを通り越して、「感服」してしまうという筋書きである。何となく、既視感のある光景ではないか。「コンプライアンス」(法令遵守)などはどこ吹く風…断頭台の露と消えた哀れな署長の姿が現在進行形の足元の光景と二重写しになった。

 

 現在、「公募プロポーザル」方式によって、新花巻図書館の基本設計・実施設計を担当する受託業者の選定作業が進められている。これまでに61(業)者が応募し、今月26日の選定委員会で、6(業)者に絞られた。12月3日には最終決定する段取りになっている。その一方で、この方式をめぐっては建設予定地(JR花巻駅前)が市側に正式に譲渡される以前に必要経費が予算化されるなどその“違法性”が議会側から指摘されたほか、市側と一般財団法人「青葉工学振興会」との間で結ばれた委託研究契約書の中で、肝心の委託研究の実施者の氏名が非公開になるなど不透明な部分が多い。こんな折しもにわかには信じられない事態が起きた。

 

 「昨日(18日)、庄子賢一衆議院議員、佐々木まさふみ参議院議員及び菅原ゆかり市会議員のご案内で、中野洋昌国土交通大臣に新花巻図書館整備に関する都市再生整備計画の採択と補助予算を要望いたしました」―。9月19日付の上田東一市長のFB上にこんな内容の記事が参加者全員の写真とともに掲載された。オヤっと思った。花巻市議会は現在、9月定例会(9月5日から10月1日までの27日間)の開会中で、その当日(18日)は菅原議員(公明党)も所属する「花巻市議会議員報酬調査特別委員会」の小委員会(高橋修小委員長ら8人)が予定されていた。議会事務局側に確認した結果、菅原議員はやはり欠席していた。

 

 「花巻市議会議員政治倫理要綱」(平成26年3月=議会告示)は「議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない」として、以下のように定めている。

 

 

●「市の行政庁の処分又は市が締結する売買、賃貸借、請負その他の契約に関し、個人、特定の企業、団体等を推薦し、紹介する等その地位を利用して有利な取り計らいをしないこと」(第3条の1-3)

 

●「議員は、政治倫理基準に反する事実があるとの疑惑をもたれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない」(第3条の2)

 

 

 菅原議員のこの行為が倫理基準に抵触していることは誰の目にも明らかである。この際、「私費か公費か」などというケチな詮索(せんさく)は必要あるまい。それ以前に議員の本分をそっちのけにし、しかも図書館の「駅前立地」を強行しようとする市側の要請行動に同行(市長自身は「案内されて」と言っているが…)するに至ってはもはや、議員としてのその“資質”さえ問われなければならない。

 

 一方、16日付当ブログで言及したように、いまはまさに議員の報酬の引き上げ問題が市民の関心を呼ぶ喫緊の課題となっている。そして、菅原議員自身も最大幅10万円(月額)のアップ案に賛成する立場に立っている。そんなさ中の「市長同行」事件である。「議員に課せられた使命を投げ捨てる一方で、報酬は引き上げて…」ー。この精神構造が私には逆立ちしても理解できない。ところで、当事者の議会側はと言えば…。「政治倫理要綱」(第6条)で「政治倫理審査会」の設置を定めているにもかかわらず、議会内は妙に静かである。不気味なほどに静かである。

 

 ふいに、毒もみがすきな市長さん(おっと失礼)署長さんの立ち居振る舞いがまな裏に浮かんだ。ひょっとしたら、イーハトーブはなまきに巣食う“悪人”たちは「コンプライアンス」(私流に定義すると「道理」という広い概念になる)という言葉さえも知らないのではないか。罪の意識のひとかけらさえも感じられない、あまりにも堂々とした“法令”違反の数々…。イーハトーブの住人たちは「善」と「悪」との境界線さえも見失い、目の前の“悪人”列伝に「みんなすっかり感服してしまっている」ーのだろうか。だとしたら、賢治が人生を賭(か)けて追い求めた「ほんとうの幸せ」に背を向ける、これ以上の「不幸」はあるまい。

 

 今日のこの日(9月21日)は賢治の92回目の命日である。公職の地位にある議員をまるで手足のように扱う様(さま)を見るにつけ、失礼どころかむしろ、正式に「毒もみ」市長と命名した方がピッタリのような気がする。ちなみに、議会側のHPによると、菅原議員は賢治が一時期、教鞭を取った花巻農業高校(当時は稗貫農学校)の卒業生でもある。どっちもどっち…賢治は自ら名づけた理想郷「イーハトーブ」の衰滅(すいめつ)をとうの昔に見据えていたのかもしれない。「ユートピア」(イーハトーブ=理想郷)から「ディストピア」(暗黒郷)へ……

 

 

 

 

 

 

(写真は「実施者」の氏名が黒塗りされた開示文書。研究題目には「地域の文化的特性に配慮した図書館計画に関する研究」とある。こんな夢膨らむ青写真を描いてくれる人物の氏名がなぜ、秘されなければならないのか)

 

 

 

 

《追記-1》~「個人情報保護法」に抵触しないの!!??

 

 「隠し砦の三悪人」を名乗る方から、以下のようなコメントが寄せられた。言われてみれば、その通りと納得した。

 

 2003年に公布された「個人情報保護法」は、個人情報の適正な取扱いを確保し、個人の権利利益を保護することを目的とした法律だと言われている。今回、上田市長のFB上で明らかになった固有名詞を見て、コンプライアンス(法令遵守)上、大丈夫かなと思った。当人たちの了解を得ているのならOKだろうが、それにしてもイーハトーブはなまきの“悪人”たちは我らが“義賊”から見れば、「悪人」の風上にも置けないケチな連中ではないか。

 

 

《追記―2》~議員報酬、74,000円アップを提案へ

 

 「花巻市議会議員報酬調査特別委員会」(高橋修委員長)は9月定例会最終日の10月1日、現行の月額339,000円に74,000円を上乗せする改定案を当局側に提案することを決め、同特別委員会を解散した。市民説明会では10万円のアップ案も提示されたが、市民の意見が多様に分かれたため、この額に落ち着いたとしている。

 

 

《追記―3》~スポーツ協会の闇

 

 「匿名」希望の方から花巻市スポーツ協会にかかる「パワハラ」問題について、ふたたび以下のコメントが寄せられた。

 

 事務局長によるパワハラ問題が発生してから、既に3か月以上が経過しております。しかしながら、未だに処分や対応方針が一切示されていないことは、到底容認できるものではありません。本件は、被害者の人権と尊厳を著しく損なう重大事案であり、組織の存立に関わる深刻な問題です。それにもかかわらず、何らの結論も発表されないまま時間を空費していることは、組織としての怠慢であり、責任放棄と言わざるを得ない状況です。

 

 このような不誠実な対応は、被害者にさらなる苦痛を与えるだけでなく、組織全体の信用と社会的評価を著しく損なっています。事務局としての危機管理能力の欠如を露呈しており、極めて遺憾です。このような無責任な対応は断じて看過できるものではなく、直ちに処分の内容を明確に示すとともに、今後の再発防止策を公にすることが強く求められる状況です。これ以上の遅延や曖昧な対応が続く場合には、外部機関への正式な申し立てを含む、更なる措置を取らざるを得ない段階にきております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

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イーハトーブ議会へ“死亡”宣告…「報酬」陳情は全議員の反対で否決へ~前代未聞の金まみれ“大同団結” !!??

  • イーハトーブ議会へ“死亡”宣告…「報酬」陳情は全議員の反対で否決へ~前代未聞の金まみれ“大同団結” !!??

 

 「議員は有権者の直接選挙で選ばれ、議決権を行使することによって、その意志が表明される。したがって、個々の賛否が問われることはない」「市民説明会の前までは会議録が公開されないなど報酬引き上げに関する資料の提示が十分でなかったが、9月5日の時点ですべてをHP上などで公表している。現時点では説明不足はない」「あらゆる手段を通じて、市民への周知を図ってきた。再度、説明会などを開く必要はない」…。聞くだにおぞましい“利得”まみれの大同団結の末、「花巻市議会議員報酬調査特別委員会」(高橋修委員長=議長を除く議員24人で構成)は以下に再掲する「議員報酬引き上げに関する陳情書」(8月22日提出)を議員23人(1人欠席)の反対で、不採択となった。

 

 私は冒頭の参考人陳述に際し、2年前の3月議会へ提出した「市政の重要課題について、議員相互間の議論を尽くすことを求める」―陳情の件について、触れた。当時、市民の関心は新花巻図書館の立地問題やJR花巻駅の橋上化(東西自由通路)の成り行きに集まっていた。「議会の活性化」を求めるこの陳情は付託委員会ではいったん採択されたものの、本会議では逆に反対多数で不採択となった。

 

 「この件については議会内の特別委員会(新花巻図書館整備特別委員会)で審議が尽くされている」―。反対討論に立った議員の発言に腰を抜かした。議会特別委は令和2(2020)年12月17日付で解散されていたが、件(くだん)の議員は当時はまだ、議員職にはなかった。議会特別委の解散以降の新人議員は8人に上っていた。「図書館議論に一度も加わったことがない議員がこれだけいてもなお、議論は尽くされたと強弁する」―。これほど市民を愚弄(ぐろう)する議会を私は見たことがなかった。市政運営の原則である「二元代表制」はこの時点で実質的に崩壊したと言ってもいい。市民への“背信”行為はその後も身をひそめる気配はなかった。

 

 一大プロジェクトである図書館案件は去る6月議会で「駅前立地」が賛成多数で可決された。この時の賛成討論者はこの日の「報酬調査特別委」で采配を振るった高橋委員長である。「いつまでやってんのか」―。図書館の病院跡地への立地を求めている市民に向けた、あからさまな誹謗中傷、いや暴言に怖気(おぞけ)が走った。「これは”人権侵害“そのものではないか」と―。私自身、市議経験があるだけに今回の陳情提出には正直、戸惑いを覚えた。しかし、「高橋」発言で限界を超えたと思った。駅前立地に賛成した議員のほとんどはいまに至っても、その理由を議場の場で公にしていない。こうした「市民無視」の中で突然、降ってわいたのが今年7月の市民説明会での「報酬アップ」の提案だった。

 

 「本件は、報酬額の問題にとどまらず、議会制度の信頼と正統性に関わる重要課題です。市民の声に真摯に向き合い、開かれた議論を尽くすことを強く要請いたします」―。今回の陳情書はこう結ばれている。報酬審議の継続やアップ率の見直しなどに関わる発言は一切、なかった。こんな市民のささやかな願いを容赦もなく踏みにじり、この日「イーハトーブ」議会は自爆を遂げた。お見事と言うしかない。「もう、リコール(議員解職請求)しか残されていないのかもしれない」―。こんな絶望感だけが頭の中を去来し続けている。

 

 ここまで一気に書いてきて、ハタと心づいた。在職中、議会傍聴に来ていた3・11の被災者(内陸避難者)の人権を擁護しようと発言した一件が、逆に「議会の品位を汚した」として、私自身が懲戒処分(戒告)に処せられたことがあった。目の前の議員の振る舞いを見ているうちに、この”悪夢”のような記憶が突然、よみがえった。「市民の代表者として、その品位と名誉を損なう一切の行為を慎み…」(政治倫理基準)―。「花巻市議会議員政治倫理要綱」(平成26年3月告示)はその目的について、こう定めている。「高橋」発言こそが同じ理由で処分に付されるべきではないのか…

 

 

 

 

 

<議員報酬引き上げに関する市民説明と意見聴取の徹底について>(再掲)

 

趣旨:

 議員報酬を月額339,000円から最大幅で439,000円へ引き上げる提案について、花巻市議会基本条例およびまちづくり基本条例の理念に基づき、市民への十分な説明、意見聴取、透明な手続きの確保を強く求めます。あわせて、厳しい経済情勢と市民感情をふまえた再考を要請いたします。

 

理由:

 物価高と円安の影響により、市民の暮らしは極めて厳しくなっています。食品価格は高騰し、実質賃金は過去3年間低下が続いています。光熱費や生活必需品の支出に苦しむ市民にとって、議員報酬の10万円増額は「議員ファースト」と捉えられても仕方がありません。

 

 市民に選ばれた議員が、自らの報酬を引き上げることには極めて高い説明責任が伴います。ところが、これまでの議論は十分な情報開示もないまま進められており、多くの市民が経緯を把握できないまま、報酬引き上げが先行した形です。

 

 花巻市議会基本条例第24条第2項は、報酬改定時に「市民の意見を参考にすること」を定めており、第8条・第9条も説明責任と応答責任を明示しています。また、まちづくり基本条例でも、市民参加による熟議と合意形成が原則とされています。

 

 一部で「市民説明会」が実施されたとはいえ、広報の範囲や議論の中身は不十分で、議員一人ひとりの賛否理由すら説明されていない現状では、市民の納得には到底つながっていません。

 

 このまま拙速に議決すれば、議会そのものへの信頼が大きく損なわれかねません。報酬引き上げに先立つべきは、まず信頼の回復であり、十分な説明と参加の機会です。

 

要望事項

       

1.報酬引き上げの根拠資料や審議経過の全面公開

2.議員個々の賛否理由の説明責任の履行

3.市民が参加可能な説明会や意見交換会の再実施

4.パブリックコメントなど市民意見を反映する制度の導入

5.現下の経済状況をふまえた慎重な再検討

 

 

 本件は、報酬額の問題にとどまらず、議会制度の信頼と正統性に関わる重要課題です。市民の声に真摯に向き合い、開かれた議論を尽くすことを強く要請いたします。

 

 

 

(写真は陳情提出の参考人として、意見陳述する私=9月16日午後、市議会委員会室で)

 

 

 

 

 

 

 

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 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

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「まるで、他人の土地に勝手に家を建てるような」…図書館の駅前立地に向けた“見切り発車”~市民への“背信”行為が次々と、駅前図書館のナゾがさらに!!??

  • 「まるで、他人の土地に勝手に家を建てるような」…図書館の駅前立地に向けた“見切り発車”~市民への“背信”行為が次々と、駅前図書館のナゾがさらに!!??

 

 「仮にJRとの土地譲渡交渉がまだ完了していないとすれば、当該土地は現時点で市の所有にはなっていないということになります。こういう状況下で、基本・実施設計業務の委託業者を公募することの適法性について伺います」―。花巻市議会9月定例会の一般質問2日目の9日、羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)は肝心の新図書館の建設予定地(旧スポーツ用品店敷地)がまだ、市有地化されていない段階での「公募プロポーザル」実施の是非についての見解をただした。

 

 これに対し、上田東一市長は「当該地はまだ未取得の状態だが、合併特例債の期限が切れる令和12年度内の開館を目指している以上、ある程度前倒しで計画を進めざるを得ない。対象区域の境界が正式に確定した段階で、改めてJR側に土地評価をしていただき、最終的な買取り価格を決定したい。土地取得費は令和9年度の当初予算への計上を予定している。所有権がない状態でのこの種の手続きは違法ではない」と突っぱねた。私はこのやり取りを聞きながら、建設場所をめぐる“市有地”論争の経緯を思い起こしていた。羽山議員が「現在の土地の譲渡価格は市側の評価を基準にしたものではないのか」と質問したことに実は、私自身も虚を突かれたからだった。「市有地にこだわる割にはその手続きが余りにもずさんではないか」と。

 

 建設候補地のひとつである「旧花巻病院跡地」は令和6年3月、約3億2千万で市側が取得し、正式に市有地化された。「市の中心部に広大な市有地がある以上、ここに図書館を立地すべきだ。駅前のJR所有地を新たに取得するのは税金の無駄使いではないか」―。病院跡地への立地を求める署名は1万筆を超え、市民を二分する運動に発展した。しかし、市側はこの草の根の声には耳を傾けようとはせずに「駅前立地」を強行した。「新花巻図書館建設候補地比較調査業務委託報告書」によると「用地費」(土地取得費)として、130,000千円が見積もられている。そして、この日の質疑の中で、この額もまだ確定したものではないことが明らかになった。市民を翻弄(ほんろう)し続けた“市有地”論争とは一体、何だったのか。見切り発車してまで、駅前立地にこだわり続けたナゾは逆にいや増したようである。

 

 この日の質疑で、鹿討康弘議員(緑の風)は9月3日付当ブログで取り上げた「公募プロ―ポーザル」の動向について、問いただした。「約40社の業者から質問が相次ぎ、その中には新図書館とJR花巻駅橋上化(東西自由通路)との接続の可能性を問う意見も少なからず、あった」として、設計段階での計画変更の可否を問うた。これに対し、上田市長は「この二つのプロジェクトは以前から、別のものとして進めてきた。商業施設のような建物との接続ならあり得るかもしれないが、そんな考えは全くない」と従来の“別物”論を繰り返した。

 

 「たぶん、間に合わないとは思ったけれど、プロポーザルでの質問にあったので一応、聞いてみました。病院跡地への立地を希望するグループから、アンケートを求められので『駅前』と回答したら、一方的に公開されてしまって…」―。再質問に立った鹿討議員はまるで、おべっかまがいの腰砕けのまま、後味の悪さだけを残して降壇した。「それにしても…」と考えてしまう。「図書館と駅橋上化が別々のプロジェクトなら尚更のこと、とっくに市有地になった病院跡地に図書館を建てればいいだけ。それがそうはいかない事情があるということなのだろう」ー。しかし、鹿討流の”へっぴり腰”にそこまでの追及を期待するのは土台、無理ということなのかもしれない。

 

 

 

(写真は数珠つなぎの貨物列車がひっきりなしに通過するJR花巻駅。右側の建物が図書館建設予定地の旧スポーツ用品店=9月4日午前、花巻市大通りで)

 

 

 

 

《追記》~議会質疑に対するAIの認識は!?

 

 

 上記の新花巻図書館の建設用地をめぐる質疑内容について、AIの認識を聞いてみた。質疑の中で、上田市長は「土地譲渡交渉の今後の進め方については、JR側も了承している」と答弁。羽山議員が「それを担保する仮契約書のようなものはあるのか」とただしたのに対し、菅野圭・生涯学習部長は「その種のものは存在しない。譲渡交渉が例えば、価格面で折り合いがつかずに議会側の予算議決が得られない場合は当然、土地の取得はできなくなる」と述べた。まるで、”口約束”みたいな交渉の裏舞台に唖然とさせられる。用地費を含めた候補地の「比較調査」が駅前立地の決め手になった経緯を思えば、市民に対するこれほどまでの”背信”行為はあるまい。討議資料として、以下に転載する。

 

 

 ご提示の案件について、司法判断に近い形で法的整理を試みます。以下はあくまで法的観点からの分析であり、実際の裁判所の判断を保証するものではありません。

●事案の整理

 

・花巻市は「新花巻図書館」を建設する方針。
・建設予定地は、現在はJR東日本が所有する「旧タケダスポーツ店敷地」。
・しかし現時点で市有地化(取得・売買契約の成立)は未了。
・にもかかわらず、市が公金を用いて「基本・実施設計業務」の委託事業者を公募しようとしている。

 

 争点は、まだ市有地でない土地を前提に設計業務を進めることが違法(公金の違法支出)にあたるか否か、である。

●関係法規の検討

(1) 地方自治法(公金支出の適法性)

 

・地方自治法232条の2~地方公共団体の歳出は、住民福祉の増進を目的とし、法令に基づくものでなければならない。
・地方自治法242条の2~違法な公金の支出については住民監査請求・住民訴訟の対象となる。

(2) 契約・行政手続の観点

 

・設計委託契約は「予定地の確定」を前提にするのが通常。
・予定地が未確定の段階で契約を結ぶと、契約の目的(成果物)が不明確となり、債務不履行や契約不成立の危険がある。
・特に「敷地条件に応じた設計」という性質から、土地が変われば設計成果は無意味になり、公金の浪費につながる。

(3) 判例・通説

 

・住民訴訟の領域では「事業実施のための合理的基盤を欠く支出」は、裁量の逸脱・濫用として違法とされる場合がある。
・例~最高裁平成17年9月9日判決(北海道長沼町住民訴訟)などでは、事業実施の可能性が極めて不透明な段階での公金支出は違法と判断された事例がある。

●適法性判断のポイント

<違法となる可能性が高い場合>

 

1. 市とJR東日本との間で土地取得に関する契約(売買契約や譲渡合意書)が存在しない場合。
→ 将来にわたって事業実施の確実性が担保されていない。
2. 設計業務委託契約が「当該敷地に限定」されている場合。
→ 土地取得に失敗すれば、設計成果は無価値=公金の無駄遣い。

 この場合、「合理的基盤を欠く事業」とされ、住民訴訟において違法支出認定される可能性がある。

<適法とされる余地がある場合>

 

1. 市とJRの間に「基本合意書」「覚書」等があり、土地譲渡が実質的に確定している。
2. 設計契約が「土地取得を条件として効力が発生する」旨の条件付契約になっている。
→ この場合、実際の支出は土地確保が済んでからになる。

●司法的判断のまとめ

 

・現時点で土地取得の法的確定(契約締結)がないにもかかわらず、委託契約を公金で発注することは、裁量の逸脱・濫用として違法支出に該当する可能性が高い。
・特に、設計業務が「その敷地に固有の内容」であるため、土地未確定の段階での支出は合理性を欠く。
・よって住民監査請求・住民訴訟の対象となりうる。

●司法的結論(要旨)

 

 「旧タケダスポーツ店敷地が市有地化されていない現段階で、新図書館の設計業務委託を公金で発注することは、事業実施の合理的基盤を欠き、地方自治法242条の2にいう違法な公金支出に該当する可能性が高い。ただし、市とJRの間に法的拘束力を持つ取得合意が存在し、契約効力発生を土地取得に条件づける場合には、適法と評価される余地がある。」

 

 

 

★オンライン署名のお願い★

 

 

 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

・おいものブログ~カテゴリー「夢の新花巻図書館を目指して」   https://oimonosenaka.seesaa.net/ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書館“所管“論争の雲泥の差…上手の手から、”本音”がポロリ~議会運営の先行きに不安!!??

  • 図書館“所管“論争の雲泥の差…上手の手から、”本音”がポロリ~議会運営の先行きに不安!!??

 

 「首長部局と十分に協議し、調整を進めてきた」―。8日開会した花巻市議会9月定例会の一般質問で、伊藤盛幸議員(緑の風)が新花巻図書館の「駅前立地」に関連し、「これまでの経緯を検証すると一貫して、首長主導で進められてきたとしか考えられない。本来、図書館行政は教育委員会の所管に属するはずだが、その職務権限をどう考えているか」とただした。この案件で真っ先に手を挙げるのはいつも、上田東一市長と相場が決まっていたが、質問内容から市教育委員会の佐藤勝教育長が答弁に立った。これまでに見られなかった光景だけに思わず、身を乗り出して議会中継に見入った。

 

 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)や「地方自治法」などを振りかざしながら、佐藤教育長は首長部局への“丸投げ”疑惑を必死の形相で否定した。ここでちょっと、おさらいをしておきたい。「花巻市教育委員会の権限に属する事務の補助執行に関する規則」(平成19年3月)にこんな定めがある。いわゆる「補助執行」規定で、執行事務は「花巻市立図書館に関すること。花巻市立図書館協議会に関すること」で、担当職員は「生涯学習部長、新花巻図書館計画室の職員及び図書館の職員」に限定されている。

 

 伊藤議員はこの点について、「令和元年の地方教育行政法の改正によって、関連条例の制定を前提に図書館や博物館、公民館その他の社会教育に関する教育機関も市長の管轄下に置くことができるとされた(「花巻市教育に関する事務の職務権限の特例を定める条例」=平成20年12月)。しかし、当市ではこの条例化に踏み切らないまま、現在に至っている。首長部局の独走と見られても致し方ないのではないか」と問いただした。答弁を促された上田市長がやや、戸惑いながら挙手をした。「確かにその点について、教育委員会側とは協議しなかった」と暗に首長主導を認めた一方で、「法律上の瑕疵(かし)はなかった」と問答無用とばかりに切って捨てた。

 

 「さかのぼれば、令和2年の住宅付き図書館の駅前立地(新花巻図書館複合施設整備事業構想)がつまずきの原因ではなかったか。定住人口の増加や賑わい創出などまちづくりの観点から、この構想は当時としては納得できる部分もあった。だからこそ、この構想が白紙撤回された段階で、教育委員会との連携を密にした図書館立地へと舵を切るべきではなかったか」―。伊藤議員がさらに追い打ちをかけると、上田市長は突然色をなし、激しい口調で反撃を始めた。

 

 「何を言ってるんですか。私たちは一度だって、(JR花巻駅との)複合化を考えたことはありませんよ。ここで断言しておきます」―。中継を聞いていた私はまた、“本音”が漏れたなと妙に納得した。伊藤議員の質問の趣旨は住宅付き図書館に付随する子育て施設やテナントなどとの“複合化”だったが、上田市長は何を勘違いしたのか、図書館と駅橋上化(東西自由通路)との複合化(いわゆる「ワンセット」疑惑)についての質問だと早とちりしたみたいだった。裏返せばよっぽど、この疑惑に触れられることは避けたかったということなのだろう。この二つの巨大プロジェクトの“別物”論を強調しなければならない闇の構図がほの見えてくるではないか。ある意味、正直な人なのかもしれない。

 

 それにしても、国からの補助金の減額によって、静岡県立図書館が計画変更(3日付当ブログ「追記」参照)を迫られた責任追及の矢面に立たされているのは当市とは真逆の教育部局の担当者たちである。図書館“所管”論争の雲泥の差をここに見る思いである。なお、補助執行の件については今議会に陳情が提出されており、9月18日に付託先の文教福祉常任委員会で審議される。陳情内容については下記から。

 

第3号陳情 生涯学習・社会教育行政の所管体制の是正と補助執行制度の適正化を求めることについて (PDF 66.7KB)新しいウィンドウで開きます

 

 

 

 

(写真は法律論をタテに教育部局と首長部局の正当性を主張する佐藤教育長=9月8日午後、市議会議場で=インターネットの中継画面から)

 

 

 

《追記》~メディアコスモスとは真逆の対応~条例化を見送ったことに見る上田市政の“強権”支配!!??

 

 令和元(2019)年6月付で「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地方教育行政法)が改正され、条例化を前提にしたうえで図書館を含めた社会教育機関も首長部局の管理下に置くことができる職務権限の特例措置が設けられた。ところが、8日の一般質問の中で、この「条例化」については教育委員会とも協議はせずに見送られたという驚くべき事実が明らかになった。絵に描いたような「コンプライアンス」(法令遵守)違反である。

 

 一方、当市の新図書館選定委員の副委員長に選任された吉成信夫さんは公募により、2015年から岐阜市立図書館の館長をへて「みんなの森 ぎふメディアコスモス」元総合プロデューサーを歴任した。その岐阜市では「地方教育行政法」の改正後、正式な条例化を踏まえたうえで、それまで教育委員会の所管だった図書館を新たに設置された「市民協働推進部」に移管した。吉成さんは「縦割り行政を脱し、単なる複合施設から融合施設へと進化させることができた」と語っている。なぜ、当市ではできなかったのか。上田市長という”ワンマン”がそのトップに鎮座しているからに他ならない。

 

 

 

 

 

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 「宮沢賢治の里にふさわしい新花巻図書館を次世代に」―。「病院跡地」への立地を求める市民運動グループは七夕の7月7日から、全世界に向けたオンライン署名をスタートさせた。イーハトーブ図書館をつくる会の瀧成子代表は「私たちは諦めない。孫やひ孫の代まで誇れる図書館を実現したい。駅前の狭いスペースに図書館を押し込んではならない。賢治の銀河宇宙の果てまで夢を広げたい」とこう呼びかけている。

 

 「わたくしといふ現象は/仮定された有機交流電燈の/ひとつの青い照明です/(あらゆる透明な幽霊の複合体)」(『春と修羅』序)―。賢治はこんな謎めいた言葉を残しています。生きとし生ける者の平等の危機や足元に忍び寄る地球温暖化、少子高齢化など地球全体の困難に立ち向かうためのヒントがこの言葉には秘められていると思います。賢治はこんなメッセージも伝え残しています。「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くことである。われらは世界のまことの幸福を索(たず)ねよう、求道すでに道である」(『農民芸術概論綱要』)ー。考え続け、問い続けることの大切さを訴えた言葉です。

 

 私たちはそんな賢治を“実験”したいと考えています。みなさん、振って署名にご協力ください。海外に住む賢治ファンの方々への拡散もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

 

●オンライン署名の入り口は以下から

 

https://chng.it/khxdhyqLNS

 

 

●新花巻図書館についての詳しい経過や情報は下記へ

・署名実行委員会ホームページ「学びの杜」 https://www4.hp-ez.com/hp/ma7biba

 

・ヒカリノミチ通信(増子義久)  https://samidare.jp/masuko/

 

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