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変化こそ常道

 古今集に「世の中は 何か常なる 飛鳥川 昨日の淵ぞ 今日の瀬となる」
と詠われている。

われわれの先輩は、今から1千年以上も前の飛鳥時代にこのような戒めの歌を残してくれている。
 世の中というのは、何一つ変わらぬように流れている飛鳥川の流れと同じである。昨日までどんより淀んでいた淵が、一夜明けた今日は、川のせせらぎが聞こえるような浅瀬になっている。世の中というのは、このように変化の激しいものだ、と教えている。

 当時と比べて、現代の変化の速さと大きさは比べようもないが、これに対処する心構えは、いつの世でも同じでなければならない。
 変化があるのが当たり前と考えれば、私たちをめぐる環境の激変も苦しみにはならない。生きていくものにとっての真理は、やはり、変わらないのである。
2006.10.20:反田快舟:コメント(0):[経営箴言]

血のつながる経営

島崎藤村は、故郷を「血につながるふるさと」「心につながるふるさと」「ことばにつながるふるさと」と謳い上げたが、故郷とは目に見えぬ糸で人をつなぎ合わせ、つなぎとめ、心の安らぎを感じさせるところだと思う。

 血につながり、心につながり、ことばにつながるとなると、それは家庭であり、ファミリーである。
 狭い意味でのファミリー経営ではなく、血のつながる仕事、心の通い合う取引き、意思疎通がうまくいく管理を「故郷経営」といいたい。

 血がつながっているからこそ、そこにはウソもケレンもない。親戚付き合いのできる取引先、親子のような労使関係も生まれるだろうし、心がつながっているから、やる仕事についてもデタラメではなく、愛情のこもったものになるだろう。

 ことばにつながるとなると、社内での全ての指示、命令、施策は相手が理解できるようにしなければならないし、外部に対しても話の分かるやり方をしていかねばならない。
 ことばが通じ、話が分かるというのは、自分を相手の線までもっていくことが先決であるから、上司、同僚、部下、取引先、消費者と立場が異なる相手に対する基本的なあり方を示すことにもなろう。

 一方的なやり方ではダメで、通達、提示、書式、カタログ、セールス、仕入れ、内部管理も、ことばが通じるように改めていかねばならない。ことばで通じないなら、心で、血で訴えることもできる。聞き手が心で、血で、ことばで聞くというようにもっていくことを「対話」というのである。

”血のつながる仕事””心のつながる仕事””ことばのつながる仕事”ができれば、企業に少しでも縁のあった人々は、絶対にそれを忘れることはないであろう。
 魅力には、いろいろな解釈の仕方がある。物質面での魅力となると、その企業がもっている力には、それぞれ差があり、なかなか理想どおりいかないものである。

 しかし、精神的な魅力、つまり、人を引きつけるたずなとなるものは、どこにでもあるのではないだろうか。それは誠実に裏打ちされた、「故郷経営」から生まれてくる。
2006.10.20:反田快舟:コメント(0):[経営箴言]