第1番観音様を目指し、参道を行くと最初に現れるのが「前立観音」(まえだちかんのん)です。ですがその像容をよく見ると、炎の光背を背にし、右手には剣、左手には羂索※を持っている様子から不動明王像と考えられます。
前立という言葉には「本尊を守護してその前に立っている像」という意味があることから、おそらくこの地から1km以上山奥にある「北沢不動尊」の前立仏であると思われます。
※衆生救済の象徴とされ、不動明王や千手観音などがこれを持っています。
第17番「補陀落山 六波羅蜜寺 十一面観世音菩薩」
重くとも 五つの罪は よもあらじ 六波羅堂に 参る身なれば
例え五つの大罪(一つには父を殺し、二つには母を殺し、三つには聖を殺し、四つには平和をみだす、五つには仏の身より血を流す)を犯した者でも、御観音様とご縁を結び、
今度は六つの六波羅密※を日々実践することにより罪は消えていくことだろう。
引用:六波羅蜜寺チケット
※六波羅密とは、この世に生かされたまま、仏様の境涯に到るための六つの修行
(布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧)をいいます。
波羅蜜とは彼岸(悟りの世界)に到ることです。
引用:六波羅蜜寺ホームページ
第16番「音羽山 清水寺 十一面千手千眼観世音菩薩」
松風や 音羽の滝の 清水を むすぶ心は 涼しかるらん
清らかな覚りに導いていただける菩薩の説法に触れ、音羽の滝の清らかな水で、心を洗い
清めることを通じて、様々な煩悩から、心から解放されるようになれば、心は平静を取り
戻し、清らかな心境をずっと維持する事ができるであろう。
引用:清水寺ホームページ
◇「松風」を「菩薩の説法」と説明していることについて補足すると、「松吹説法度生
声」という中国の法話から来ています。
声だけが説法ではなく、天地に満ちている「松風の音もまた、仏様の説法の声」といった
意味になります。(諸説あり)
第15番「新那智山 今熊野観音寺 十一面観世音菩薩」
昔より 立つとも知らね 今熊野 ほとけの誓ひ あらたなりけり
今熊野の観音様は昔から人知れず、人々を救う誓いを立てておられ、
それは今も新たな誓いとして変わらない。
◇「あらたなり」と山号の「新那智」をかけています。
今熊野の霊験記(引用:今熊野観音寺ホームページ)
後白河法皇は持病として激しい頭痛がおありでした。今熊野観音に頭痛平癒のご祈願を
続けられたところ、ある日の夜、法皇の枕元に観音様が現れ病める頭に向けて光明を
お差しかけ下さいました。すると永年苦しんで来られた頭痛が、不思議にもたちまちに
癒えてしまいました。
◇上記の説話を踏まえると「枕元に立つ」と「誓いを立てる」をかけているのかも
しれません。