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花巻病院で裁判沙汰…目に余る“モラルハザード”~貧すれば鈍する!!??

  • 花巻病院で裁判沙汰…目に余る“モラルハザード”~貧すれば鈍する!!??

 

 「愛は人を癒(いや)し、誠(まこと)は病を治す」―。こんなスローガンを掲げ100年以上にわたって、地域医療に貢献してきた公益財団法人「総合花巻病院」(大島俊克理事長)で人事管理やパワハラ問題をめぐって、裁判沙汰が起きていることが明らかになった。さらに今春、経営悪化に陥った同病院に対し、当市や金融機関が総額11億円にのぼる巨額な財政支援に踏み切ったのをきっかけに、病院内における“モラルハザード”(士気の低下)も指摘され、再建に向けた前途に暗雲が立ち込めている。

 

 病院側を相手取って、「降格処分」の無効などを求める民事訴訟を起こしているのは40代男性技士のAさん。訴状によると、Aさんは2020(令和2)年2月1日付で、移転・新築前の同病院に臨床工学室技士長として採用された。約3年後、Aさんは「患者さんに安全で質の高い医療を提供するためには、医師と看護師との有効なコミュニケーションが必要だ」という趣旨の提言書を医療安全担当者の会議に提出した。病院側の態度が急変したのはこの直後だったという。

 

 上席の専務理事から再三にわたって文言の訂正を強制されたうえ、Aさんは2023(令和5)年2月1日付で技士長から「主任」級に降格され、手当ても月額2万円の減額になった。提訴に踏み切ったのは約4か月後の昨年5月。Aさんは取材に対し、こう述べた。「解雇もほのめかされた。なかば“監禁状態”の中で無理やり、同意書を書かされた。その時は恐怖心にかられたが、いのちに関わる医療の実態を闇に葬ってはならないと思い、裁判を決意した」。Aさんは精神的な苦痛などに対する慰謝料を含め、総額1,160万円の賠償を求めている。裁判は今後、被告側の証人尋問や原告側の本人尋問などを経て、早ければ今年中の結審が見込まれている。

 

 一方、同病院の経営悪化の要因として真っ先に挙げられているのが「病院移転費用」―。市側は新病院の開院に当たって、ざっと20億円の財政支援をしたが、わずか4年余りで経営が行き詰ったことになる。市側の内部資料によると、旧病院の解体費用や土壌改良費用が想定の約6億円を上回る約9億8千万円、新病院の建物や医療機器などに係る減価償却費が想定の約17億円を大幅に上回る約28億円にのぼったことが経営の足を引っ張ったとしている。

 

 新病院の移転・新築事業は上田(東一)市政の政策理念「立地適正化計画」の第1号と言われる。国からの有利な融資を受けるため、計画策定に前のめりになった結果、診療科目の充実や医師の確保など医療本体を後回しにした“見切り発車”の側面も否定できない。その意味では今回の経営悪化を引き起こした一因は「行政主導」を先行させた市側にもあると言わざるを得ない。また、訴状に登場する「専務理事」が医師免許のないコンサルタント会社からの派遣だったことも、”労務管理”偏重の経営に傾き、今回の裁判沙汰につながったと言えそうだ。

 

 「児童生徒への模範となるよう、病院職員として自覚をもっての行動を徹底するよう…」―。最近、病院内の掲示板にこんな告示が張り出された。がれきが放置されたままになっている「新興製作所跡地」(花巻城址)に隣接する職員駐車場を利用する際、近くの私有地を勝手に横断したり、大声で歩きスマホする職員が目立ち、地元の町内会から苦情が寄せられたのだという。「貧すれば鈍する」―。市民のいのちと健康を守るという原点に立ち返り、一日も早く健全な病院経営を目指してほしいと切に願う。

 

 

 

 

(写真は経営悪化が表面化した総合花巻病院。9月をメドに再建計画がまとめられることになっている=花巻市御田屋町で)

 

 

 

《追記》~ワイマール(ヒトラー)を生んだ自由の国

 

 

 映像の世紀を見たという花巻市民から、以下のようなコメントが寄せられた。うなずくことが多い内容だった。

 

 「何も決められないからという理由で、第一次世界大戦後、最も自由な国家であったドイツ共和国を独裁国家に変えてしまった今夜のNHK番組を見て思うことは、花巻市政に関わる重要な課題を、長期間にわたって何も決められない花巻市長や、その委任によるかりそめの第三者であるファシリテーターなるわけのわからない存在に意思決定を任せてはいけないということです。私たちは今、いろんな意味で歴史の転換点にいることを思うべきではないでしょうか」

 

 

 

 

 プロポーザル選定委員会も「非公開」に…果たして、公平性は担保されるのか~見事なまでの“出来レース”!!??

  •  プロポーザル選定委員会も「非公開」に…果たして、公平性は担保されるのか~見事なまでの“出来レース”!!??

 

 「JR駅前か病院跡地か」―。新花巻図書館の建設候補地選定に係る「プロポーザル」選定委員会の第1回会議が27日「まなび学園」で開催されたが、冒頭で「非公開」が決定され、私を含めた傍聴希望者(2人)は会場への入場を拒否された。HP上の告示によると「実施要領の内容確認 や企画提案書などの審査及び選定方法について」―などが議題になっていたが、非公開の理由については「花巻市情報公開条例」(第7条第5号)によるとされた。総合花巻病院に対する財政支援に係る議員説明会(3月22日開催)に続いての“密室”協議に市民の間から「行政の透明性に逆行する暴挙。到底許せない」という批判が上がっている。

 

 そう言えばこの件に関して今回、関連文書の開示請求をした際、選定委員の内訳については「非開示」とされ、“屁理屈”にもならないようようなことが延々と書き連ねてあった。「選定委員の構成案が事前に公になることにより、プロポーザルで企画提案を狙う事業者などから各人に対し、不要な接触や連絡などをすることが想定され、強い働きかけなどがあった場合、選定委員会での審査などに支障をきたす恐れがある」―。“やぶ蛇”とはこのことではないのか。こんなリスクを抱えてまでなぜ、プロポーザルにこだわるのか…疑念は逆にいや増すばかりである。そもそも、外部から選ばれた委員の皆さんに対し、失礼が極まる話ではないか。

 

 一方、委員会は市側から松田副市長ら3人のほか、図書館の専門家として富士大学の早川光彦教授、外部有識者として市民参画・協働推進委員会委員、社会教育委員の計6人で構成された。この中で早川教授は「としょかんワ-クショップ」や「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」などのアドバイザー(有償)という立場にあり、「駅前立地」に実質的な“お墨付き”を与えた当事者のひとりとも言える。こうした構成自体にも「公平性」の観点から疑念が噴出している。単純に言えば、6人の委員中4人(うち、市職員関係者3人)が「駅前立地」を鮮明にしているという塩梅(あんばい)である。

 

 図書館候補地を「プロポーザル」方式で選定した前例に大阪府豊中市がある。同市は中央図書館(仮称)の候補地(市有地を含む3か所)について、令和4年4月から1カ月間公募を行い、応募があった「 アカデミック・リソース・ガイド株式会社」と「株式会社建設技術研究所(大阪事務所)」の2事業者うち、後者が提案金額 9,361,000 円で受託事業者に決まった。これを受け、市側の「第一優先候補地選定委員会」において、阪急電鉄(宝塚本線)曽根駅前の民有地への立地が決まり、図書館本体の基本計画作成などの業務委託も同じ事業者が受託している。

 

 豊中市の場合、選定委員は市長部局と教育部局から各2名で構成され、選定理由についてはこう指摘している。「豊中市の地域特性や公共施設の立地などの状況を熟知しており、都市計画や建築計画などの豊富な経験・実績から、市民に分かりやすい原案の作成が期待できる。採点結果はプロポーザル実施に関するガイドラインに基づき非公開とする」

 

 選定にもれた「 アカデミック・リソース・ガイド」(arg)は「学問を生かす社会へ」をモットーに図書館などの公共施設や商業施設のプロデュースを手がけ、図書館プロパーとして知られる。直近(5月)でも富谷(宮城県)市民図書館等複合施設市民参画・協働推進事業支援業務や須崎市(高知県)図書館等複合施設の運営形態探求支援業務などを受託。代表の岡本真さんには『未来の図書館、はじめませんか』(共著)や『図書館100連発』(同)、『未来の図書館、はじめます』(単著)などがあり、図書館初心者にとっての入門書になっている。なお、受託事業者は日本で最初の建設コンサルタントと言われている。

 

 

 「ハードよりもソフト」―。“知のインフラ”とも呼ばれる図書館のあり方は未来を拓(ひら)く扉でもある。当市の選定委員会がどんな選択をするのか、その成り行きに注目が集まっている。

 

 

 

 

(写真は病院跡地への立地を求める署名活動。その数はすでに8,000筆を超えた。街頭署名は毎月第3日曜日午前11時から、イトーヨーカドー花巻店で行われている=花巻市下小舟渡の同店で)

 

 

 

 

《追記―1》~情報公開条例第7条第5号(審議、検討等に関する情報)

 

 「市の機関、国の機関、独立行政法人等、市以外の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民等の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの」ー。ところで、肝心のプロポーザル選定委員会の設置根拠である「委員会設置要領」(6月19日付)についてのHP上の告示はいくら探しても見つからないーというはてな(?)

 

 

《追記―2》~民主主義も”知る権利”さえもへったくれ…「イーハトーブ」の底抜けた!!??

 

 この日の委員会のHP上の傍聴案内にはこうあった。「花巻市審議会等の会議の公開に関する指針第3条に規定される公開基準に基づき、同第4条により公開又は非公開を決定します。非公開となった場合は、退席いただきますのでご了承願います」―ところが、2人の傍聴希望者は冷房が切られ、ムンムンする廊下の椅子にざっと15分ほど待機させられた(受付開始時間を含めると約45分間の耐久レース)

 

 「公開の原則」どころか、門前払いの体(てい)。まるで、関所に行く手を阻まれた”暴徒”扱い。これって、“人権侵害”にも匹敵するんじゃないのか。その昔、私の周りにはこうした”狂気の沙汰”を唾棄(だき)する空気が漂っていたような気がする。委員諸氏よ、傍聴者を締め出しておきながら一方で、プロポーザル(企画・提案方式)を「公募」するなどという、ふざけた話はいい加減にして欲しいものである。

 

 

《追記―3》~タネ明かしをもうちょっと??

 

 

 プロポーザル選定委員会が決める受託事業者(いわゆるファシリテーター)は10月中旬に公表予定の(建設候補地の)「事業費」比較調査を参考にするとしているが、実はこの調査を受託しているのが(株)大日本ダイヤコンサルト。しかも、入札参加業者10社すべてがJR各社と請負関係にある独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(JRTT鉄道・運輸機構建=前身は鉄建公団)の有資格業者で、どこが落札してもJR寄りの事業者に落ち着くという構図だったことが明らかになっている(詳しくは1月30日付当ブログ参照)

 

 

《追記―4》~「タネ明かしをもうちょっと」のもうちょっと(追加)???

 

 

 独立行政法人「JRTT鉄道・運輸機構」は鉄道周辺の工事の安全確保のため、「線路近接工事安全対策」を定め、工事に参入できる有資格名簿を公表している。花巻市内でこの資格を有する企業は全部で11社。この中の1社が「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」の委員で、花巻商工会議所副会頭でもある「(株)中央コ-ポレ-ション」の佐々木史昭社長である。「駅前立地」を主導してきた人物として知られ、「JR花巻駅橋上化(東西自由通路)と図書館の駅前立地」がワンセットで実現すれば、この二つの巨大プロジェクを優先的に受注できる立場にある(詳しくは2023年9月4日付当ブログ参照)

 

 

 

《追記―5》~公開された委員名簿(敬称略)

 

・松田英基(市副市長)

・岩間裕子(市総合政策部長)

・古川昌(市財務部長)

・早川光彦(富士大学教授、経済学部=図書館学)

・関上哲(市市民参画・協働推進委員会副委員長、富士大学准教授)

・菊池豊(市社会教育委員会議委員)

 

小さな世界都市(Local&GlobalーCity)「豊岡」…それはコウノトリとの出会いから始まった!!??

  • 小さな世界都市(Local&GlobalーCity)「豊岡」…それはコウノトリとの出会いから始まった!!??

 

 

 「コウノトリ『も』住めるまちを創る」―。2001年から5期20年間、兵庫県北の豊岡市長を務めた中貝宗治さん(69)さんは“小さな世界都市”を標榜して、まちづくりを成功に導いた地方政治家として知られる。その政治哲学の原点は『が』ではなく、この『も』の発見にあるとして、自著『なぜ豊岡は世界に注目されるのか』(集英社新書)の中にこう書いている。

 

 「かつてコウノトリは田んぼに植えたばかりの苗を踏み荒らす『害鳥』でした。そのコウノトリは、今や『豊かな環境のシンボル』です。この間、コウノトリ自身は何も変わっていません。変わったのは、人間の方です。人間が価値観を変えたのにすぎません。…そのような豊かな自然は、人間にとって『も』素晴らしい自然であるに違いありません」―。特別天然記念物に指定されているコウノトリは53年前、当市豊岡で確認されたのを最後に姿を消した。乱獲や農薬使用によって、カエルやドジョウ、フナやナマズなどの餌が減ったのが原因だった。「コウノトリ共生推進課」を設置し人工飼育を進めた結果、平成17(2005)年、絶滅から34年ぶりに世界で初めての野外放鳥に成功した。

 

 中貝さんは人口減少社会を生き抜く地方都市の方向性について、「地方に暮らす突き抜けた価値の創造、生きる場としての突き抜けた魅力の創造。そのキーワードは『深さと広がり』。旗印は小さな世界都市です」(同書)と語っている。無農薬や減農薬農業を推進した結果、餌になる小生物が増え、豊岡の空にはいま300羽以上のコウノトリが舞うようになった。さらに、「コウノトリ育むお米」と名づけられた銘柄米は遠く海外9カ国にまで輸出される人気ブランドに。一方、この鳥はヨーロッパでは赤ちゃんや幸せを運ぶと信じられている。なるほど、子育て支援にもつながるというわけか。やるなぁ。

 

 “コウノトリ”作戦が「突き抜けた価値の創造」(深さ)を地で行った成功例だとすれば、もうひとつの「突き抜けた魅力の創造」(広がり)はひょんなきっかけから生まれた。「いっそのこと、タダで劇団に貸してはどうか」―。志賀直哉の『城の埼にて』で知られる城崎温泉の近くに収容人員が千人規模の古いホールがあった。このお荷物施設の再利用に思案投げ首していた時、東京出張の機内でふとそう思いついた。2014年4月、日本最大級の滞在型「アーティスト・イン・レジデンス」(城崎国際アートセンター)はこうして、まるで「ひょうたんから駒」のようにして産声を挙げた。中貝さんは国内外から集まったアーティストを“観光大使”に任命した。そこにはこう書かれていた。

 

 「あなたは豊岡に滞在し、温泉を楽しみ、狂言を鑑賞し、お寿司を食べ、浴衣で温泉地を散策されるなど、大いに豊岡の暮らしを楽しまれました。よって、あなたは帰国後も豊岡の良さを人々に伝える責務を負っているものと考えます。豊岡市長は、愛を込めてあなたを豊岡市の観光大使に任命いたします」―。この流れの延長線上に2021年4月、同市に開学したのが「兵庫県立芸術文化観光専門職大学」。5月30日付当ブログで紹介したように、芸術文化と観光をコラボした全国初のこの4年制大学の初代学長に就任したのが、劇作家で演出家の平田オリザさんである。

 

 よだれが出るような「まちづくり」の手腕に引き込まれているうちに私は宮沢賢治にあやかって、「イーハトーブはなまき」を「小さな宇宙都市」(Local&CosmicーCity)と名づけたい欲求にかられた。「深くて広い」時空間を兼ね備えている(賢治の)銀河宇宙こそがそれにピッタリだと思ったからである。だが、「病院&図書館」問題…。その足元に目を向けると「突き抜ける価値と魅力の創造」とはかけ離れた無惨な光景が広がっている。なぜなのだろうか。中貝さんはトップリーダーに求められる姿勢について、以下のように書いている。

 

 「だからこそまちづくりには、自分事となる人が増えるように、対話による『一歩ずつ、一歩ずつ』の“発酵熱”の醸成が不可欠であり、時間と忍耐が必要になります。その時間の経過に耐えられるかどうかが、事の成否を大きく左右します。そしてリーダーは、地域の未来を切り開くためにやる価値があると自ら信じる事柄について、“発酵”が途切れることなく、一歩ずつ、一歩ずつ前に進むように旗を掲げ続けなければならないと私は考えています」(同書)―

 

 「IhatovーLibrary」(まるごと賢治図書館)を実現したいという私の発酵熱は弱まるどころか、ますます高まっていく気配である。一方、市長退任後の中貝さんは一般社団法人「豊岡アートアクション」(TAA)の理事長に就任。演劇的手法を活用しながら、認知症の人たちとのコミュニケーションのあり方を模索している。「深く広く」生きる人生はまだ、道半ばのようである。

 

 

 

 

 

(写真は子に餌をやる親鳥=兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷公園で。インターネット上に公開の写真から)

 

 

 

 

《追記》~沖縄慰霊の日

 

 県民の4人に1人が命を落とした沖縄戦からこの日79年を迎え、各地で犠牲者の霊に祈りが捧げられた。当時、米軍の上陸を知った読谷村の住民はチビチリガマと呼ばれる洞窟(ガマ)に逃れ、約140人のうち83人が火を放つなどして亡くなった。幾度か現地に足を運んだ。近くに住む彫刻家の金城実さんが供養に建てた野仏が並んでいた。その仏たちの姿が脳裏の奥に残っている。

 

 「沖縄学の父」と言われた民俗学者の伊波普猷(いはふゆう)は生前、「汝の立つところを深く掘れ。そこに泉わく」と書き記した。「深く広く」ーは歴史認識においても欠かせないことを改めて、心に刻んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「駅前か病院跡地か」―新図書館の意見集約…「外部委託」予算を可決!!??

  • 「駅前か病院跡地か」―新図書館の意見集約…「外部委託」予算を可決!!??

 

 「わざわざ、外部委託してまで(意見集約を)やる必要があるのか」―。迷走を続ける新図書館の“立地”問題に関連する予算審議が18日開会の花巻市議会6月定例会で行われ、伊藤盛幸議員(緑の風)と久保田彰孝議員(共産党花巻市議団)が補正予算案のうち、当該予算の部分に反対するとした上で「修正案の再提出を求める」反対討論を、阿部一男議員(社民クラブ)と藤根清議員(明和会)が「立地場所をめぐる市民の意見が二分されている以上、中立的な立場に意見集約の手法を任せることに異議はない」とする賛成討論を述べた。採決(議長を除く、欠員1人)の結果、原案に賛成14対反対10で、いわゆる「公募プロポーザル方式」によって、ファシリテーター(進行役)を選定して意見集約を進めることが正式に決まった。

 

 

 図書館候補地選定に係る「意見集約運営委託費」10,468千円について、伊藤議員ら4人の議員が「現在、事業費などの比較調査が行われており、10月中旬にはその結果が公表されることになっている。一番の関心事であるこの調査の内容を市民に丁重に説明するのが先決ではないのか。駅前立地を表明した際のような市民説明会を開催するつもりはないか」とただした。これに対し、上田東一市長は「市民のコンセンサスを得るためにはファシリテーターに助言をもらいながら、市民同士が腹を割って話す対話型がふさわしい」と述べ、こう続けた。

 

 「たしかに市民説明会のような手法も考えられるが、駅前立地の際はしっかりした(反対)意見の一部の市民の発言が相次ぎ、こうした人たちが手分けして、会場を“はしご”して意見表明したと聞いている。そんな雰囲気に飲まれて、発言を控えた市民もいたらしい。また、一部の私的なブログで担当職員があらぬ悪口を浴びせられ、『恐ろしい』といった訴えが私の元にも寄せられている。端的に言って、そのブログの内容は全部ウソなのだが、その意味でも中立的なファシリテーターを仲介させたやり方がベストだと思う」―

 

 上田市政について、批判すべきは筆を曲げるべきではないと肝に銘じている私は「ひょっとして、そのブログって、これ(ヒカリノミチ通信)ではないのか」と思ってしまった。しかし、ウソを書き連ねてきたはずのその内容について、市側から抗議めいた声が寄せられたことは一度もない。それどころか、職員に対するパワハラが噂されるそのご仁から、今度はこっちが”カスハラ”扱いされるというトホホ!?それよりも、議会という神聖な場で、“私情”を挟むことにためらいさえも感じられない振舞いにはこっちの方が腰を抜かしてしまった。

 

 上田市長はこの日の答弁で「12月中にはメドを付けたい」と語った。良し悪しは別にして、10年以上凍結されてきた新図書館の建設問題が大きく動き出したことについては良しとしたい。今度こそ、実りのある”立地”論争が本格化するという意味では…

 

 

 なお、この日の開会に先立ち、今月16日に突然逝去された大原健議員(無所属)の生前をしのび、議場の総員で黙とうを捧げた。

 

 

 

 

(写真は「外部委託」予算が可決された採決の瞬間。起立している議員が賛成者=6月18日午後、花巻市議会議場で=インターネット中継の画面から)

 

 

 

《追記ー1》~フェイクニュース!!??

 

 

 「アメリカかぶれ」を名乗る人物から、上田市長にかこつけたのか「へえ、とうとうトランプみたいにフェイクニュースを宣言したんですね」というコメントが届いた。

 

 

《追記ー2》~彼方でも”パワハラ”首長が「ウソ」発言!!??

 

 

 斎藤元彦・兵庫県知事が職員に対するパワハラなどの疑惑にさらされている問題で、県議会は6月13日、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める動議を可決した。元西播磨県民局長が書いた内部告発の文書に対して「嘘八百だ」と真っ向から否定してきた斎藤知事だが、県議会では自民党が百条委員会の設置に賛成し、瀬戸際に追い詰められている(「AERA dot.」より)。斎藤知事(46)は東大卒の元総務官僚で現在、1期目。

 

 

《追記ー3》~九州では首長の「ハラスメント」を認定!!??

 

 

 福岡県宮若市の塩川秀敏市長(75)が、市職員にハラスメント行為を繰り返していたとされる問題で、市議会の調査特別委員会(百条委員会)は、職員から寄せられた情報のうち8件をパワーハラスメントやセクシュアルハラスメントとして事実認定する調査報告書をまとめ、20日、神谷喜久雄委員長が市議会で報告した。報告は賛成多数で可決された。

 

 こうした事実をふまえて「職員との信頼関係に関わらず許されないものであり、職員の人権に対する配慮も足りず、市長として不適切な行為」と指摘した。さらに、塩川市長に対し「この調査結果を重く受け止め、身の処し方、今後の行動については、改めてご自身で考えるべきである」と迫った(6月21日付「朝日新聞)

 

 

「病院&図書館」論戦;第2幕…市長、ご乱心  支離滅裂な答弁から突然、逆上~花巻病院では裁判事案が浮上!!??

  • 「病院&図書館」論戦;第2幕…市長、ご乱心  支離滅裂な答弁から突然、逆上~花巻病院では裁判事案が浮上!!??

 

 「何を言っているのか、さっぱりわからない。市民の意見にかこつけて、自分の主張を押しつけているのではないか。卑怯ではないか」、「どうして、そんなに逆上されるのか、こっちの方がわかりません」―。花巻市議会6月定例会の一般質問が13日再開され、反問権を行使した上田東一市長と羽山るみ子議員(はなまき市民クラブ)が激突した。きっかけは「駅前か病院跡地か」の立地論争。羽山議員が「なぜ、市側が図書館の駅前立地にこれほどこだわるのか。上田市長自身が以前は病院跡地が良いと言っていた。180度の方向転換をした経緯と背景は何か。JR花巻駅の橋上化事業と図書館立地とがワンセットになっているからではないか」―

 

 「この二つ事業は本来別物だと説明してきた。仮に橋上化と図書館とがセットになれば、その相乗効果は当然期待できる。ただ、それだけのこと。しかし、委員の発言には何か裏にあるのではないのかという物言いに聞こえる。はっきり、答えてほしい」と上田市長。実は4年前、市側は市議会や市民の頭越しに住宅付き図書館の駅前立地という構想を突然、公表した。この構想は市民の多くの反対があって白紙撤回されたが、その後も駅前立地にこだわり続けていることに市民の間には不信感が募っていた。

 

 上田市長はこの日、このトップダウン構想の手法については改めて謝罪したが、羽山議員は最近明らかになった若者グループによる「(図書館)アンケート調査」を取り上げた。住宅付き図書館に代わって駅前立地の有力な理由として、登場したのが高校生など若者世代の「駅前」待望論だったからである。

 

 市内4校の高校生924人を対象にしたこの調査によると、立地場所については「花巻駅前」が694人(75・1%)、「まなび学園周辺(病院跡地)」が68人(7・4%)。一方で、新図書館の建設計画について「知っている」と回答したのはわずか254人(27・5%)で、7割以上の670人(72・5%)がその計画自体を知らなかったことが明らかになった。さらに、「希望する図書館機能」の設問(複数回答)に対し、「勉強スペース」(691人)「カフェ」(663人)「飲食スペース」(552人)が上位3位を占め、高校生たちが駅前に立地を希望しているのは実は図書館そのものよりはそれに付属する各種スペースのような機能だということが浮き彫りになった。

 

 このデータを示しながら、羽山議員が「若者世代が図書館の駅前立地を希望しているという根拠は実質的に崩れたのではないのか」と畳みかけた。上田市長はなぜかこの質問に直接答えることはせず、まるで”敵意”をむき出しにするかのように羽山質問の“真意”に執拗(しつよう)に食らいついた。「JRとの関係」を問いただされたことについて、“図星”をつかれた結果ではないかと議会中継を聞きながら、外野席の私はそう思った。実はこの日の上田“噴火”事件には前触れみたいなものがあった。

 

 「今般の巨額な財政支援の問題をきっかけに、私の元にもいろんな情報が寄せられている。たとえば、人事やパワハラ問題をめぐって職員が病院側を相手取って、裁判を起こしているという話もある。そのような情報を市側は把握しているか」―。羽山議員は総合花巻病院への5億円の財政支援に関連して、こうただした。答弁に立った八重樫和彦副市長は「(非常勤の)理事の立場だが、そのような話は理事会の席でも一切、報告されていない」と明言した。ところが、この言葉を引き取った上田市長がボソボソと低い声でこう言った。「単なるうわさ…。いや(裁判は)事実かもしれない。しかし、直接経営にはタッチしていない以上、市側はそうした内部情報を知り得る立場にはない」

 

 怒号めいたやり取りが飛び交った議場の光景を見ながら、つくづくと思った。「病院&図書館」問題はやはり、上田市政の肝(ネック)だな」ーと。質問を重ねるごとに“本音”が少しづつ、もれ聞こえてくる。この二つのビッグ・プロジェクトはいま、泥沼にはまりつつあるようだ。

 

 

 

 

(写真は一歩も引かずに食い下がる羽山議員。身振り手振りで応酬する上田市長=コメント欄に市長の答弁姿=との間に予想外の“議会活性化”の瞬間を見た=6月13日午後、花巻市議会議場で。インターネット中継の画面から)

 

 

 

 

《追記―1》~振り上げたこぶしが一転…これって、あれっ?そう、あれだよ!!??

 

 一般質問の最終日の14日、鹿討康弘議員(緑の風)は総合花巻病院に対する財政支援に係る議員説明会(3月22日)が「非公開」になったことに関連し、「議会軽視で、市民不在もはなはだしい」と語気強く迫った。これに対し、上田東一市長は「事前に情報が外部に漏洩(ろうえい)することによって、スタッフの流出や患者の離散など社会不安を引き起こすことを懸念した」と答弁。これを受けた鹿討議員は一転、「ギリギリの決断だっことがよく分かった、現場職員の皆さんの労をねぎらいたい。本当にお疲れさまでした」と話し、上田市長も「このような質問をしていただき、ありがたい」と応じた。こういうのって反問権に対して、なんていうの…。”サンキュウ権”?これを称して、政治の世界では「マッチポンプ」という。

 

 

 

《追記―2》~「橋上化×図書館」ワンセット論の発信元は実は上田市長!!??

 

 当ブログにおける「橋上化×図書館」ワンセット論について、上田市長はその根拠を示すよう羽山議員に執拗に迫ったが、元をただせばその言い出しっぺはご本人だった。まるで、ブーメラン!卑怯なのは一体、どっち? 市民に対して、どうしてもっと誠実になれないのだろうか。痛くない腹を探られたくないのなら、なおさらこと…。上田発言を以下に引用する。

 

 

 「(JR所有の)駅前の土地については、購入するためにJR本社の社長の許可が必要となる。現在でも盛岡支社と話し合いをしているが、花巻市としてJRの社長が許可を出した際には図書館を建設するという決定に近い話がなければ社長に話せないと言われている。JRは花巻駅の橋上化をやりたいと思っており、橋上化の話が進めば、土地の売買について真剣に話をしてくれる可能性はある。橋上化がなくなった際には、駅前に図書館を建設することについてもどうなるか分からない」(2022年6月28日開催の松園地区の市政懇談会での市長発言)

 

 

 

 

《追記―3》~「橋上化×図書館」ワンセット論の検証…過去のブログから

 

 上田市長の「ワンセット」発言を裏付けるような動きが議会内外で活発になったのは住宅付き図書館の駅前立地がとん挫した直後からだった。一部の市議の主導の下、各種団体から相次いで「(駅橋上化の)早期実現」の要請書が市側に寄せられた。市民の間では“やらせ要請”と呼ばれた。以下に関連する当ブログの冒頭部分を再掲する。ぜひ、本文をお読みいただきたい。

 

 

●「花巻駅の橋上化(東西自由通路)をぜひ、実現してほしい」―。今月に入って、商工団体や温泉関係者、高校のPTAや同窓会などの間で、「橋上化」実現の要請活動が活発化している。この件については、花巻市議会の3月定例会最終日(17日)で当局側が提出した整備にかかる調査費(2603万円)が14対11の賛成多数で否決された経緯がある。

 

 この種の予算関連案件が否決されたのは市政施行以来、初めて。実質的な上田(東一)市長の「不信任」との見方が出ていたが、状況が変化したのは4月中旬以降。中には橋上化に賛成する議員が要望書の“ひな型”を持参して区長やコミュニティ会議会長などに「調査費」予算の再提案を求めるよう促すなど“やらせ臭”がプンプン。市民の間には「自治体運営の基本である二元代表制を踏みにじる行為だ」という批判が出ている(2021年5月7日付当ブログ)

 

 

●開会中の花巻市議会6月定例会は24日の議案審議で、“やらせ要請”の疑惑が晴れない中で再上程された「JR花巻駅東西自由通路(駅橋上化)」に関連する補正予算案を「附帯決議」を付すという条件つきで賛成多数で可決した。また、この日の質疑で駅橋上化の波及効果を問われたのに対し、鈴木之建設部長は「将来にわたる駅の乗車人員の増減などの予測調査はしていない」と発言。これまで橋上化に伴う利便性向上や市街地活性化などを強調してきた上田市長の説明と微妙に異なる見解を明らかにした(2021年6月24日付当ブログ)

 

 

 

 

《追記―4》~彼方の自治体にも同じような“強権”首長!!!???

 

 和歌山県橋本市の平木哲朗市長(67)が、市の開発事業を巡り、市議に「(議会で)証拠のない質問をすれば、法的措置を取る覚悟がある」などと発言していたことがわかった。議員の質問を制限しかねず、識者は「議会の行政へのチェック機能を理解していない」と指摘している。同市では、市が整備を進める工業団地の盛り土に、異物である伐採した木の根株が混入する問題が判明。団地へ進出を検討する企業への影響が懸念されている。

 

 関係者によると、平木市長は6月の市議会に向け、5月31日に市役所で開かれた会議の休憩中、市議数人に「疑念に思われることを議場で言われると、企業誘致を支えてきた市への信頼がなくなる。証拠のないひどい質問をすれば、法的措置を取る覚悟がある」などと発言したという。平木市長は読売新聞の取材に対して発言を認め、「根拠の乏しい質問で市に影響が出た場合は、弁護士に相談するという趣旨だった。質問は議員の権利と分かっているが、企業誘致に失敗し、市財政が立ち行かなくなることの方が問題だと考えた」と釈明した。

 

 地方議会に詳しい土山希美枝・法政大教授(地方自治)の話 「議員も市民の代表であり、議会を通じて行政運営をチェックする役割があることを理解していないかのような発言だ。『法的措置を取る』との表現も威圧的で、議会の機能を制約しかねない」(6月14日付「読売新聞」電子版)

 

 

 

 

《追記―5》~「絶対権力は人を残酷に」

 

 「人は誰かに絶対的な力を持つとサディスティック(残酷)になる。それは軍隊に限らない」―。戦時下の幼少期に日本の外国人強制収容所に入れられたイタリアの著名作家、ダーチャ・マライーニさん(87)が12日、都内で自らの体験を語った。マライーニさんは1938年に来日した。父親のフォスコさんは、北海道帝国大学のアイヌ文化研究者。41年にはイタリア語教師として京都帝国大学に赴任した。

 

 だが43年、日本の同盟国だったイタリアが連合国に降伏すると生活が一変した。ナチス・ドイツが連合国に対抗して樹立した傀儡(かいらい)政権「サロ共和国」への忠誠の宣誓を両親が拒否したため、日本では「敵国人」とみなされ、愛知の強制収容所に約2年間入れられた(6月14日付「朝日新聞」電子版)