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§4 親業の3本柱

親業の講座は、まず子どもが悩んでいることに耳を傾けることから学びます(聞くこと)。
そして親が困ったことがあった時には、きちんと子どもが理解できるように伝える方法を学びます(話すこと)。
二人以上いれば考え方の違いから欲求が対立する場合が出てきますが、
それをお互いが納得いくよう解決策を考えていくことを学びます(対立を解くこと)。
聞くこと・話すこと・対立を解くことを親業の3本柱といいます。

 この3本柱を職場に置き換えるとこうなります。

○部下がストレスを抱えているようだ、部下の心に寄り添って聞いてみよう。

○指示が独りよがりにならないように、理解しやすいように話そう。

○職場で問題が起きたら、上司の押しつけや部下の反抗ではなく、お互いが納得して解決しよう。


 この3本柱を学校に置き換えるとこうなります。

○生徒がストレスを抱えているようだ、生徒の心に寄り添って聞いてみよう。

○授業中のイヤなことを、生徒が理解しやすいように話そう。

○生徒間や保護者との間で問題が起きたら、教師あるいは保護者の押しつけでなく、お互いが納得して解決しよう。




このことを、理論と体験学習で身につけることができます。



2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§3 親業独自の捉え方

親業講座の第1回目で、受講生さんが戸惑うのは、「事実」をとらえてください、という言葉です。

事実はどちらでしょうか。
①子どもがランドセルを置きっぱなしにして遊びにいく
②子どもがランドセルを置いて遊びにいく

どう違うのでしょうか?
①は、この子はいつも置きっぱなしにする子ども・だらしないこどもなんだ
 という受講生の価値判断が入っています

②は、子どもがランドセルを置いて外に出かけた、という事実のみを捉えています。

 親業では、②のような一瞬の事実がどんな感情をおこしたか、に焦点を当てていくことを学びます。これが意外に難しいのです。
今までの生活の中で、
この子どもはおっちょこちょいなんだ、
あるいは職場の○○さんは私に意地悪なんだ、
などと思っていませんか?
そう思ったのは、何故ですか?いつからですか?
以前に何らかの事実があって、そのときそう思ったのではないでしょうか。
それを、相手は~~なんだと決めつけ、色眼鏡で見ているのではないですか?

試しに①の子どもさんに言ってみましょう。
「あんたは、毎日ランドセルを置きっぱなしにして遊びに行って!せめてランドセルくらい机に置いてから行きなさい!」
「毎日じゃないよ、昨日は雨降ったから外に行かなかったよ。」
そう言われれば、こちらはぐうの音も出ません。

②の場合はどうでしょう。
「あんたがランドセルを置いて外に出かけたから、お母さんランドセルにつまずいて転んでしまった。」
「・・・・・」
事実だけを口にしたところ、次の日からランドセルは机に置かれたそうです。


今聞いた言葉・今目の前で起こった行動を、自分がどう感じたかを考えることから
コミュニケーション(親業)は始まるのです。

2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§2 子どもに耳を傾けて

児童遊戯施設でこんな様子を見かけました。
 4歳くらいの子どもさんとそのお母さんだと思います。
お母さんは壁に備えつけられたのベンチに座ってスマホを操作しています。
そこに子どもさんが「ママ、ママ一緒に来て。」 と話しかけます。
お母さんからの反応はありません。
返事がないので、ベンチから離れては、
「ボールプールに行ってくるね」
「ドンされたよ」
ちょっと離れた遊具の陰から
「ママ、こっち見て。」
こんなことを言いながら、ベンチのお母さんのところと遊具をいったりきたりしていました。
そうこうしているうちに転んでしまいました。泣き出したのです。
お母さんはすかさず言いました。
「だから言ったでしょ、いい子にしなさいって。」
「うるさい!泣き止みなさい!」
ますますお母さんの声は大きくなり、子どもさんの泣き声も大きくなります。
周りから注目され、お母さんが気まずくなったのか、子どもさんをつれてその場を立ち去りました。

 この子どもさんは何を学んだでしょう。
転んで痛かったこと悲しかったことを泣いて訴えても、大好きなお母さんから分かってもらえなかったのです。

 子どもが小さい時は、親に認めてもらいたい一心で話しかけてきます。
でも、このお母さんのように、子どもの気持ちを理解しようとせずに接していると子どもが大きくなると、
『うちの子何も話してくれなくて』
という状態になるのではないでしょうか。
 中学2年生の子どものいる受講生さんは
「ここ数カ月、子どもと会話らしい会話をしたことがないなぁ。」
と言っています。
学校・部活・塾と本当に忙しい毎日を送っている子ども達の、気持ちを吐き出すところは、あるのでしょうか。
胸の中につらい気持ちがある(ストレスを抱えている)と集中力はなくなり、心身共に健康な生活を送ることは出来なくなります。
家に帰れば、ほっとする、お互いに心が通じ合えるような会話が出来る、そんな家庭であってほしいなと、思います。
「私の家庭では、よく子ども達と会話をしています。」
と言う方の様子を聞いてみると、会話というより一方的に親が口を開いていると感じる場合があります。

 口は一つ、耳は二つです。
子どもと接する場合には、口を開くことより、聞くことを倍にするように心がけてちょうど親と子のバランスがよいように感じます。


2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]

§1 親業について

§1 親業について

 親業は Parent Effectivness Traininng( 親としての役割を効果的に果たすための訓練)を日本に紹介した近藤ちえが意訳した造語ですが、
開発した臨床心理学者トマス・ゴードン氏は Parent は People に通じると言っています。
まさに人間関係学講座です。

私が出会い多くの人に知ってほしいと思っている親業について、私なりにお伝えしたいと思います。

 親業訓練協会は昭和55年(1980年)に設立されました。
 私は、『子どもに愛が伝わっていますか』 という本で親業を知りました。
本を読んでなるほどと思ったけど、それだけでは実際の生活に使えず、
実際に講座を受けて、子どもとの関係が本当によくなったのです。
親業訓練講座は24時間のプログラムです。
理論と体験学習で1回3時間学び、それを次回の講座日まで日常生活で実践してみることに特徴があります。宿題もあります。
その繰り返しを8回実践することで、本当に使える方法が身につきます。

 従来の子育ては、子どもがどう育っていくかと、子どもに重点を置いて子育てをしてきました。
親業では、子どもが育つ上で親がいかに関わるか、親の側に焦点を当てるるところに、大きな特徴があります。
親がいかに関わるかで、子どもの自主性が育ち、自分の悩みを自分で乗り越えられるようになります。

 教育は、親子が共に育つ「共育」であり、
子育ては、親が自己を育てる「己育て」であるとよく言われますが、
親業は、子どもを育てながら自分を見つめ成長させる「自分業」であると思います。
親と子の間に、こころの架け橋をかけ、お互いの人格を尊重しながら、 親が子どもにどう関わっていくかを学ぶものです。
 子どもが生まれることによってその子どもの親になることは出来ます。
でもその親が子どもにどう関わったらよいかわからなくては、子どもの一生はどうなるのでしょうか?
関わり方によっては、自主性の無い、意欲のない、思いやりのない子どもに育つてしまいます。

『子育てについて不安なのです』

そんな言葉をよく耳にします。
子育てってどうするのかわからない、どう関わっていけばよいかわからない、

だから自分が育てられたやり方でしか関わることしか出来ない、でも、何か不安だ。
そんな思いがあるのではないでしょうか。
ではどう関わったらよいのでしょうか。
親業スキルは、それに答えることが出来ます。

また、親子関係は一番小さい人間関係です。そして、親子関係はすべての人間関係の基です。
~子育てから介護まで親子関係は一生続くもの~
子どもが居ないから私には関係ない、
子どもはもう大きくなったから関係ない、
ではなく、
すべての人間関係に役立つものだと確信しています。


2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]