§2 子どもに耳を傾けて

児童遊戯施設でこんな様子を見かけました。
 4歳くらいの子どもさんとそのお母さんだと思います。
お母さんは壁に備えつけられたのベンチに座ってスマホを操作しています。
そこに子どもさんが「ママ、ママ一緒に来て。」 と話しかけます。
お母さんからの反応はありません。
返事がないので、ベンチから離れては、
「ボールプールに行ってくるね」
「ドンされたよ」
ちょっと離れた遊具の陰から
「ママ、こっち見て。」
こんなことを言いながら、ベンチのお母さんのところと遊具をいったりきたりしていました。
そうこうしているうちに転んでしまいました。泣き出したのです。
お母さんはすかさず言いました。
「だから言ったでしょ、いい子にしなさいって。」
「うるさい!泣き止みなさい!」
ますますお母さんの声は大きくなり、子どもさんの泣き声も大きくなります。
周りから注目され、お母さんが気まずくなったのか、子どもさんをつれてその場を立ち去りました。

 この子どもさんは何を学んだでしょう。
転んで痛かったこと悲しかったことを泣いて訴えても、大好きなお母さんから分かってもらえなかったのです。

 子どもが小さい時は、親に認めてもらいたい一心で話しかけてきます。
でも、このお母さんのように、子どもの気持ちを理解しようとせずに接していると子どもが大きくなると、
『うちの子何も話してくれなくて』
という状態になるのではないでしょうか。
 中学2年生の子どものいる受講生さんは
「ここ数カ月、子どもと会話らしい会話をしたことがないなぁ。」
と言っています。
学校・部活・塾と本当に忙しい毎日を送っている子ども達の、気持ちを吐き出すところは、あるのでしょうか。
胸の中につらい気持ちがある(ストレスを抱えている)と集中力はなくなり、心身共に健康な生活を送ることは出来なくなります。
家に帰れば、ほっとする、お互いに心が通じ合えるような会話が出来る、そんな家庭であってほしいなと、思います。
「私の家庭では、よく子ども達と会話をしています。」
と言う方の様子を聞いてみると、会話というより一方的に親が口を開いていると感じる場合があります。

 口は一つ、耳は二つです。
子どもと接する場合には、口を開くことより、聞くことを倍にするように心がけてちょうど親と子のバランスがよいように感じます。


2019.03.17:おやコミ研究所:[親業会員情報]