成田駅前変な民俗学 1-②長井の心

  長井の心

 地元の長井高校の大先輩である長沼孝三先生は、「長井の心」という詩の中で、「私は日頃、人間形成の最も重要な条件は、故里の自然環境そして風俗、習慣であると考えておりますので、長井に生まれ『長井の心』で育った事を誇りとし、感謝しております」と書いている。
 第一話で紹介した歌人・茂吉を形成したのは、最上川や蔵王連峰、そして翁草という野の花々を含めた「ふるさと」であったかもしれない。長井高校の校是に、かの有名な犬養毅の揮毫による「万物我に備わる」がある。万物が備わる“我”こそは、「ふるさと」という土壌の中で形成されたものと考えることができる。故郷を知ることと、我を知ることは、ある意味では相通ずるものがあるような気がするのである。そしてそれは、生命を伝え、自らのDNAを探る旅ではなかろうか。そして、この事を理解することが、世界の平和と共存につながるものに思えるのである。今も長井市の教育の基本方針は、『長井の心を育てる』ことである。
 また、故郷・長井で、素材にこだわり製法にこだわって生きて来た食の匠が集まり、長井銘産品研究会が設立された。メンバーは、羽前成田駅前の高橋鯉屋と大千醤油店、そして草岡ハム、大勝麺匠などである。彼らの思いは、「長井の心」「食の職人の心」を伝えたいという一点にある。食育が脚光を浴びているこの時に、食をとおして、自らの故郷を考えてみることも一つの切り口であろう。物語とは、“物”が“語る”ものであるかもしれない。物が語るのは、職人の生き様であり、故郷の心そのものであろうと思うのである。
 ⇒ 興味のある方は,置賜地域地場産業振興センターのHPへどうぞ

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