将軍・源頼義の武将 藤原光貞の館が夜襲をうけるという事件が起こった。前9年の役の勃発である。その原因が、安倍貞任が、光貞の娘を妻にしたいと申し出たのを、光貞が「過去に朝敵であった者に、嫁にやることはできない。」とはね付けられたのを逆恨みしたものである。頼義は、安倍貞任一人の責任として処理をしようとしたが、安倍一門は戦の道を選んだのであった。
卯の花姫は、父・貞任に「頼義殿に哀願をすべし」と諫言したが、貞任曰く「義家の色香に迷ったか。」ととりあわない。戦の命運を分けるのは、奥州の一方の雄・清原武則がどちらの側につくかということであった。清原は、将軍についたのである。義家の恋敵・斑目四郎武忠が、この陰にいたことは疑いのないことであった。
安倍氏の本拠地・衣川の居城は攻略され、安倍貞任、藤原経清以下は討死。安倍宗任は降参して義家の家来となった。清原武則は、論功により出羽奥州2国の鎮守府将軍に任ぜられたのである。
長井に伝わる卯の花姫伝説は、「姫が、父の戦略を敵将・義家に伝えたために敗れた。姫は、それを悔いて身を投げた。」というのが多い。その中で、菊地版物語は、義家と姫の清純な愛を基調としていることに特徴があると思う。
それはさておき、第3巻は、逆賊の姫と桂江が、斑目四郎の毒牙に命危うしという物語である。
卯の花姫物語 3-① 前号までのあらすじ
2013.01.05:orada:[『卯の花姫物語』 第3巻 ]
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