第9番 「興福寺南円堂 不空羂索観世音菩薩」
春の日は 南円堂に 輝きて 三笠の山に 晴るるうす雲
暖かい春の日※のように、観音様の慈悲の心が南円堂を輝かせている。
三笠山の薄い雲もやがて晴れるであろう。
◇三笠山を法皇自身になぞらえ、「私の心の曇りも、観音様の光明で晴れることだろう。」と解釈できます。
※江戸末期まで、興福寺が春日大社を支配していたため、「春の日」と「春日大社」をかけています。
第8番 「豊山 長谷寺(初瀬寺※) 十一面観世音菩薩」
いくたびも 参る心は はつせ寺 山もちかひも 深き谷川
※長谷寺は奈良県桜井市初瀬にあるので初瀬寺とも云われています
初瀬寺は景色がよく、幾度訪れても初めての心地となる。
観音様の「全ての人を救う」ご請願は、長谷の山や谷川のようにとても深い。
◇上の句「心ははつ(初)」にするため、長谷寺ではなく、あえて「はつせ寺」(初瀬寺)にしたと考えられます。
観音経は「弘誓深如海」(広き誓願は海のように深い)と申されています。
遊歩道からは岩陰にあるので見つけにくいかもしれません。
おはようございます。連日良い天気が続き気分も上々です!
この天気は来週の月曜日まで続きそうです、気持ちの良い週末になりそうですね!
第7番 「東光山 岡寺(龍蓋寺) 如意輪観世音菩薩」
けさ見れば つゆ岡寺の 庭の苔 さながら瑠璃の 光なりけり
今朝、目にした岡寺の庭の苔は置く露に濡れて、さながら瑠璃の輝きのよう。
◇「置く」と「岡」をかけています。
「置く露の」は枕詞です。「露たなびく」のように「露は置く」となります。
瑠璃は仏教の七宝※の一つであることから、「岡寺は観音浄土である。」と称えた歌と解釈できます。
※七宝は経典により種類が異なるが、瑠璃はいずれの経典にも入っています。
法華経では金・銀・瑪瑙(めのう)・瑠璃・蝦蛄(しゃこ貝の貝殻)・真珠・?塊(まいかい・中国産の赤い石)の七種。