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危うい“人道”感覚…ガザへの支援に否定的~イーハトーブ応援寄付金!?

  • 危うい“人道”感覚…ガザへの支援に否定的~イーハトーブ応援寄付金!?

 

 「(イスラエルとガザとの間には)いろいろ問題があるので、(ふるさと納税による)支援は考えていない」―。花巻市議会3月定例会の予算特別委員会は14日、3日間の日程が終わった。お願い事やご用聞きレベルの質問に終始した中で、佐々木精市議員(公明党)は国際的な人道支援のあり方をただした。これに対し、定住推進課の畠山夕子課長は冒頭のように答弁。追い打ちの質問がありやと思いきや、尻切れトンボに。強い違和感を覚えた私は改めてその真意を問うて、二度びっくりした。

 

 「ウクライナでの紛争では民間人を含めた犠牲者や、多くの方々が国外への避難を余儀なくされるなど、深刻な人道的危機に直面しています。そこで花巻市では、ふるさと納税を通じて緊急人道支援のための寄附を募ります」―。イーハトーブ花巻応援寄付金(ふるさと納税)を利用した人道支援は令和3年3月に始まり、令和7年2月まで募金の窓口を設けている。佐々木議員はこのウクライナ支援を引き合いに出しながら、「(パレスチナの)ガザ地区も大変な状況になっている。同じような支援は考えていないか」とただした。

 

 「人道に差があってはならない」と私は畠山課長に尋ねた。「イスラエルと(イスラム原理主義組織「ハマス」が実効支配する)ガザの間には歴史的に複雑な背景があり、ウクライナとロシアの関係とは根本的に違う」と答えた。当市は日本赤十字社を通じた「イスラエル・ガザ人道危機救援金」(令和5年10月~同6年9月)をHP上で呼びかけている。さらに、花巻市議会は昨年12月定例会で「パレスチナ自治区ガザ地区における即時かつ持続的な人道的休戦を求める決議」を採択している。この点をさらに問うと、畠山課長は「ガザの支援を呼びかけるHPの広報を失念していた。人道支援のあり方についての判断が未熟だったと反省している」と話した。

 

 イスラエル軍による攻撃が続くガザ地区では、これまでの死者が3万人に迫っている。国連によると、住民の4分の1にあたる57万人余りが飢餓の一歩手前の状態に直面している。当市のふるさと納税の寄付額は令和5年度末で、90億円の巨額に達すると見込まれている。いまこそ、「イーハトーブ」(宮沢賢治の理想郷)の名を冠したふるさと納税の出番ではないのか。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」(『農民芸術概論綱要』)―

 

 

 

 

(写真は廃墟の街で支援の手を求める老婦人=インターネット上に公開の写真から)

 

「3・11」から「1・1」へ…メルトダウン(炉心溶融)した政治モラル!!??

  • 「3・11」から「1・1」へ…メルトダウン(炉心溶融)した政治モラル!!??

 

 この日をこんなに怒りに震えながら、迎えたのは初めてである。「天災は忘れた頃にやってくる」と言ったのは物理学者の寺田寅彦だが、年明けに襲いかかった能登半島地震は国政を司(つかさど)るべき為政者たちが東日本大震災など過去の災害の記憶と教訓をきれいさっぱり、忘却の彼方に捨て去ったまさに、その時にねらいを定めるように起きたのではないかとさえ思いたくなった。支援体制の信じられないほどの遅れにイライラしながら、私はある政府高官の無神経は言葉を思い出していた。

 

 「(3・11は)まだ、東北、あっちの方でよかった。首都圏あたりだと莫大、甚大だったと思う」―。震災の6年後、当時の今村雅弘復興相はこう語り、被災者の怒りを買った。派閥の政治資金パーティーの席上での発言だったということも今の状況とピッタリ重なる。半島という地理的条件が支援の遅れを招いたという表向きの話の背後から、こんな声がもれ聞こえてくる。「日本海に突き出た半島だからまだ、よかった」―。発災から2か月半近くがたつ今も、ライフラインの復旧さえ追いついていない惨状の中で、永田町界隈は政治とカネと権力闘争に明け暮れている。“棄民”という言葉が頭をかすめた。

 

 「アラユルコトヲ/ジブンヲカンジョウニ入レズニ/ヨクミキキシワカリ/ソシテワスレズ」―。宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」の中にこんな一節がある。受難者に寄り添い、その悲しみを決して忘れてはいけないというメッセージである。こともあろうに、このイーハトーブ(賢治の理想郷)の地を地盤とする二人の国会議員がその戒めに泥を塗るようなスキャンダルを引き起こし、そのモラルの崩壊(モラルハザード)に日本中が騒然となっている(9日付当ブログ参照=二人を神輿に担ぎあげた写真の輩も同罪)。“赤ベンツ不倫”と“口移しチップ“のご仁たちは一体、どんな気持ちでこの日を迎えたのだろうか。この日、挙行された「岩手県東日本大震災津波追悼式」に当然のことながら、この”時の人”の姿はなかった。

 

 午後2時46分―。花巻市内の寺では13年前のこの時刻に合わせ、被災者や支援者が鐘を突きながら、手を合わせた。伊藤ヤスさん(87)の姿もあった。あの日、沿岸被災地の大槌町の自宅はあっという間に津波に飲み込まれ、夫も帰らぬ人となった。その年のうちに当地に移り住んだ。過日、市内の整形外科医でバッタリ会った。「膝が痛くってね。で、あんたは?」。足元が若干、おぼつかなくなって病院を訪れた私にヤスさんはニッコリほほ笑んで言った。「足腰が弱るのは順調に老いてる証拠。いただいた命なんだから、大事に生きなくては…。あんたは私より三歳も若いんだからね」―

 

 珠玉の言葉をもらったような気持になった。「3・11」から「1・1」へ…。生きることの大切さを教えてくれたのは実は“被災者”の側ではなかったのか。私はこの日、84歳の誕生日を迎えた。

 

 

 

 

(写真は鐘をつき、手を合わせる伊藤さん=3月11日午後、花巻市愛宕町の妙円寺で)

 

破廉恥議員とそれを支える、懲りない面々(再掲)…ネット炎上「また、岩手の人ですか」、「大谷君、叱ってあげて」!!??

  • 破廉恥議員とそれを支える、懲りない面々(再掲)…ネット炎上「また、岩手の人ですか」、「大谷君、叱ってあげて」!!??

 

 ”赤ベンツ不倫”と”口移しチップ”だと!!国民をなめるのも休み休みにせんか。もはや、くどくど説明する必要もあるまい。岩手・イーハトーブの恥を天下にさらした破廉恥議員とそれを支えた面々たちの姿を再掲する。庶民感覚と天と地ほどもかけ離れた”愚民政治”が国レベルだけではなく、この足元でもまかり通っている。目をおおうばかりの“悪の縮図”をとくとご覧(ろう)じいただき、二度と選択を誤らないためにも、記憶の底にきちんと刻み込んでほしいと思う。

 

 以下に宮沢賢治が病没する2日前に残した絶筆2首を置く。91年前、祭り日和に恵まれ、実りの秋が約束されたことを喜びながら、賢治は静かに旅立った。この賢治精神のひとかけらでも煎じて飲んで欲しいもんである。”日本沈没”の危機がヒタヒタと押し寄せてくる気配がする。

 

(写真は昨年の花巻まつり最終日に勢ぞろいした“同じ穴のムジナ”たち。詳しくは2023年9月10日付当ブログの「追記」参照)

 

●方十里稗貫のみかも稲熟れて

み祭三日そらはれわたる

 

●病(いたつき)のゆゑにもくちんいのちなり

みのりに棄てばうれしからまし

 

 

(主なムジナたち~中列左から川村伸浩県議、上田東一市長、広瀬めぐみ参院議員、藤原崇衆院議員、前列右が藤原伸市議会議長。他は市議会の与党会派「明和会」所属の小ムジナたち)

 

 

 

 

《追記》~「岩手の人」

 

 ネット上の「また、岩手の人ですか」という書き込みを知り、とっさに賢治と交流があり、戦時中に当市に疎開した彫刻家で詩人の高村光太郎の詩「岩手の人」を思い出した。上掲写真のムジナたちとの懸隔(けんかく)に今さらながら、驚き入った。以下に全文を記す。

 

 

岩手の人眼(まなこ)静かに、
鼻梁秀で、
おとがい堅固に張りて
口方形なり。
余もともと彫刻の技芸に遊ぶ。
たまたま岩手の地に来たり住して、
天の余に与ふるもの
其の如き重厚の造型なるを喜ぶ。
岩手の人沈深牛の如し。
両角の間に天球をいだいて立つ
かの古代エジプトの石牛に似たり。
地を往きて走らず、
企てて草卒ならず、
ついにその成すべきを成す。
斧をふるって巨木を削り、
この山間にありて作らんかな、
ニッポンの背骨岩手の地に
未見の運命を担ふ牛の如き魂の造型を。

 

 

 

 

 

 

 

難産の末の「跡地」取得…新旧「病院」物語の行く末は!!??

  • 難産の末の「跡地」取得…新旧「病院」物語の行く末は!!??

 

 「土壌汚染調査・汚染除去を実施し土壌汚染、廃棄物の残置等及び地上権、抵当権等権利制限のない状態とする」―。花巻市がHP上に公開している「総合花巻病院の移転整備に関する協定」(平成29年3月6日付)には病院側の「敷地譲渡」の前提として、こう明記されている。ところが、「花巻市財産評価審議会」(今月1日開催)に諮問―答申された段階では今回の売買対象となった当該物件には抵当権が設定されたままの状態であったことが土地登記簿から明らかになった。債権額は今回の取得価格を上回る3億8,660万円で、抵当権者は岩手銀行花巻支店となっている。

 

 一方で、今回の病院跡地の正式な市有地化をきっかけに、かけがいのないこの“遺産”こそが、図書館立地の最適地だという機運がさらに高まりそうだ。旧総合花巻病院がオ-プンしたのは大正12(1923)年11月。宮沢賢治の主治医だった故佐藤隆房医師が地域医療の充実を目的に私財を投げうって、設立した。以来当地の中心的な医療機関としての重要な役割を担ってきた。病院の中庭にかつて「Fantasia of Beethoven」と名づけられた花壇があった。賢治自らが設計した花壇の復元で、その時の気持ちをこう書き残している。「けだし音楽を図形に直すことは自由であるし、おれはそこへ花でBeethovenのFantasyを描くこともできる」(『花壇工作』)―

 

 「白雪をいただいた早池峰山がキラキラと輝いていた。その神々しさに思わず、頭(こうべ)を垂れた。足元の跡地にはかつて、賢治が教鞭を取った稗貫農学校(現花巻農学校)が建っていた。そして、シニアのまなび場である『まなび学園』は賢治の妹トシが学び、のちに兄と同じように教師として教壇に立った花巻高等女学校(現花巻南校)。まるで、賢治やトシからここに図書館を作ってと言われているみたいで…」―。2020年3月、新病院の移転・新築に伴って、100年間もの間、巨大な病棟群に目をさえぎられてきた先にこつ然と姿を現した光景…。瀧成子さんはその時の感動をこう、語っている。

 

 他方で、新図書館の立地場所について市側は当初、「花巻市立地適正化計画」(平成28年6月)の中で、「(旧病院跡地を含む)生涯学園都市会館(まなび学園)周辺」と明記していた。ところが、上田東一市長が新たな候補地として「駅前」立地を表明したのは、立地適正化計画の公表から6年たった令和4年9月の市議会定例会の場だった。まさに、その計画変更に待ったをかけるようなタイミングで、目の先に浮かび上がったのが霊峰・早池峰山の雄姿だった。“跡地”コールがあちこちで巻き起こった

 

 瀧さんらが「イーハトーブ図書館をつくる会」を立ち上げたのは昨年1月。他の市民運動2団体も加わり、病院跡地への立地を求める全国規模の署名運動を展開し、現在も続けられている。長い歴史を誇る、新旧「病院」物語が今後、どんな筋書きを描くのか―目を離せなくなってきた。「Fantasia of Beethoven」が図書館入り口にふたたび、復元・再現されることを願いつつ…

 

 

 

 

 

(写真は抵当権が設定されたままの登記簿)

 

 

 

 

 

 

旧病院跡地の取得交渉が妥結へ…新図書館の立地問題にも影響か!!??

  • 旧病院跡地の取得交渉が妥結へ…新図書館の立地問題にも影響か!!??

 

 旧総合花巻病院跡地の取得(譲渡)価格を審議する「花巻市財産評価審議会」(委員5人)が1日開かれ、その結果が5日付のHP上で公表された。それによると、対象面積は16,159,36㎡(花城町)で、価格は323,995千円。当該病院跡地については平成29(2017)年3月6日付で、「総合花巻病院の移転整備に関する協定」を締結。建物の解体や汚染土壌の入れ替えなど更地化が完了した時点で、双方で不動産鑑定評価を行う段取りになっていたが、価格交渉が難航し、延びのびになっていた。

 

 「公益財団法人」である病院側の管理執行体制は10人以内で構成する「理事会」が担う。「市民に開かれた病院」を目指すとして、この中には医療福祉関係の有識者や行政関係者も含まれ、八重樫和彦副市長も理事のひとりに名を連ねている。病院側が移転先の旧厚生病院跡地を市側から取得した際の価格は3億8千万円。等価交換を求めたい病院側に対し、市側はなるべく低く抑えたいという位置関係にある。いわば、双方の利益が衝突する“利益相反”の中にあって、八重樫副市長はその双方を代表するという微妙に立場にある。

 

 「…職務の執行の公正さに対する市民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する市民の信頼を確保することを目的とする」(第1条)―。「花巻市職員倫理規定」(平成25年5月訓令)はこう規定し、「この訓令に規定する総括倫理監督者の職務は、副市長が行うものとする」(第2条第5項)と定めている。八重樫副市長の「二足の草鞋(わらじ)」はただちに法令違反とは言えないものの、少なくとも倫理上の責任は問われなければなるまい。

 

 一方、今回の「跡地」取得は新花巻図書館の立地問題にも微妙な影響を与えそうだ。所有権が市側に移転することによって、「市有財産」として正式に登録されることになるからである。現在、新図書館の立地候補地はJR花巻駅前と病院跡地に絞られており、この2か所についての「(事業費)比較調査業務」をコンサルタントに依頼。その結果が10月中旬には出る見込みになっている。

 

 これに関して、注目されるのが立地に伴う用地費の取り扱いで、新規取得になる駅前のJR用地は1億3千万前後と見積もられている。一方、もうひとつの候補地である病院跡地は既存の市有財産として、今回の比較調査の対象から除外されるというのが一般的な見方だが、果たして…。さらに、調査を受注したコンサルタントがJR各社の鉄道事業などを請け負う独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(JRTT鉄道・運輸機構、前身は鉄建公団)の有資格業者の名簿にリストアップされていることにも「果たして公平性を担保できるのか」という不信の声が聞かれる。

 

 「≒1・3億」(駅前)VS「≒3・2億」(病院跡地)。どっちが安いか高いかといった単純な数字のマジックが示される可能性がないともいえない。「駅前は新規取得で、病院跡地は今回、正式な市有地になった。駅前に新たに土地を購入することは明らかに税金の二重払い(無駄使い)ではないのか」―。“立地”論争の原点に立ち返るチャンスかもしれない。

 

 

 

 

(写真は突然、視界が開けたように広がった病院跡地=2022年9月17日、花巻市花城町で)