6月9日、米沢市内にある大学で建築学を専攻する学生の研究発表会を見学させてもらった。この学科の学生さんの何人かは、3年程前から羽前成田駅の実地調査に来ていたのである。そんな縁で今年は、その発表会に招待されたのでした。10組以上のチームが長井線と米坂線の駅や駅周辺の整備プランを発表してくれました。いずれも建築デザイナーを志す若者らしい素晴らしい発表でしたが、やはり気になったのは成田駅の発表でした。
プランのタイトルには「撮る駅から関わる駅へ」や「つなぐ」などが掲げられていました。人と人が交流し、地元が元気になるような拠点としての駅をつくりたいとの思いが伝わってくる。農業体験を通した宿泊交流施設の他に黒獅子などの文化学習施設などの提案もあった。地域のお年寄りと子供たちとの交流も大事だとの考えであろう。
また駅舎と各施設を庇風の回廊でつなぐ提案もあった。西山や防風林を借景とすると同時に、車窓からは駅舎と調和した木造建築の佇まいを出現させたいとの思いであろうか。イラストの中では「2階のベランダから電車を眺める撮り鉄」、「病院の患者が散歩に来る」、「桜の下で今後について語り合う」など様々な人々の姿が描かれている。学生さんには、この駅を取り巻く人々の思いや風景、そしていつまでも大切にしなければならないものが見えていたのではなかろうか。
建築家には専門的、技術的な知識の他に、その地域の風土や文化を感じ取る感性と、クライアントの思いを汲み取るコミュニケーション力や人間力が求められるように思う。以前のブログ記事『米坂線の今』の中で、羽前沼沢駅の待合室に設置されていた「活け花台」を紹介したことがある。この小さな置き台があることで、列車が来ない駅に、今も花を活けてくれる人がいるのである。この置き台に建築家の思いと願い、場合によっては時流へのささやかな抵抗と意地を感じるのである。
人生は必ずしも平坦なものではないだろうが、駅舎が縁で知り合えた若者たちの前途に心からのエールを送りたい。そしてまた、ここで語り合える機会があることを楽しみにしたい。



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