停車場憧憬  踏切にて

  • 停車場憧憬  踏切にて

この場所に立つと、僕は前に進めなくなる

いつからこうなったのだろう

 

あの頃は友達と一緒に楽しかった

ささやかだけど人並みの夢もあった

けれどもある日、急に遮断機が降りて来て

僕は一人きりになっていた

 

越えようとする度に

僕の心に遮断機が降りて来た

何の感動もなく日々を過ごす中で

僕の周りの時間だけが止まっていた

 

それでも、ここに立って

踏切の向こうの風を感じよう

いつかこの踏切を超えて、山に向かって歩いて行く

自分の姿を想像しながら

あの頃は辛かったね、と言える日が来ることを信じよう

 

僕が踏み出すのを、ずーっとずーっと

待っていてくれる人がいるのだから

 

2017.03.10:orada:[停車場憧憬]

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