10年ひと昔…新図書館試案検討会議も「開店休業」丸1年~議場というリングで“スイングする質疑”を~そして、行政文書「不在」の仰天!!??

  • 10年ひと昔…新図書館試案検討会議も「開店休業」丸1年~議場というリングで“スイングする質疑”を~そして、行政文書「不在」の仰天!!??

 

 「知の泉 豊かな時間(とき)/出会いの広場」(平成24年10月)―。市民各層でつくる「花巻図書館整備市民懇話会」がこんなキャッチフレ-ズを掲げて、新図書館建設に向けた提言をしてからすでに10年以上が経過した。①郷土の歴史と独自性を大切にし、豊かな市民文化を創造する図書館、②すべての市民が親しみやすく、使いやすい環境に配慮した図書館、③暮らしや仕事、地域の課題解決に役立つ知の情報拠点としての図書館―この三つを基本コンセプトにすえた“夢の図書館”づくりはいま、真逆の「駅前立地」への道を強引に進みつつある。

 

一方で、「図書館のあり方を」を検討するはずの「新花巻図書館整備基本計画試案検討会議」(座長・市川清志生涯学習部長)も昨年9月20日の会議を最後にこの日でちょうど、“開店休業”丸1年を迎えた。さらに、立地予定の土地所有者であるJR東日本側との「譲渡交渉」について、市側は市議会6月定例会で「前向きの回答をもらった」と明言したにもかかわらず、開会中の9月定例会(会期は21日まで)ではその後の経過に触れることはなかった。機能不全どころか、“機能停止”に陥っているとしか言えない中、新図書館自体の建設さえおぼつかない状態になったという声も市民の間から出始めている。

 

 「新花巻図書館整備基本計画を策定するにあたり、新花巻図書館計画室がまとめた新花巻図書館整備基本計画試案について、専門的な見地から意見を出し合い、新花巻図書館の機能及びサ-ビスを検討し、基本計画に反映させることを目的として設置された」(HPから)―。「試案検討会議」は2年前の4月26日、有識者など20人をメンバ-に第1回目の会議を開催。1年前の9月20日の第12回会議を最後に、“利権”疑惑(9月4日付当ブログ「新花巻図書館をめぐる“利権の構図”(下)」を参照)を積み残したまま、その後1回も開かれないままで現在に至っている。こうした状態に危機感を募らせる市議も現れ、ある新人議員は自らのブログ上(15日付)に議論の活性化を促すための提案をして注目を集めている。

 

 この議員は昨年夏の市議選で初当選した元市職員のN氏で、どの会派にも所属しない「無会派」に身を置いている。N氏は「(アントニオ猪木VSモハメド・アリの対決を例に挙げながら)議場においては、異種格闘技戦のようなかみ合わない殺伐とした、時にはいがみ合うような議論の方が盛り上がる時があります。ただ、そういった議論は感情的になり、『いい』『悪い』の二項対立になりやすく、ただ時間ばかり経過することが多い」と手厳しく批判した上で、その典型的な例が新花巻図書館の(駅前か病院跡地かの)「立地」論争だと断じた。

 

 N氏はこうした平行線を打破するためには“スイングする質疑”こそが有効だし、今議会における自身のある”実践体験“を元にこう説明している。「質問者(議員)は答弁者(首長など)の人格をけなしたり、揚げ足取りをするのではなく、行政課題について住民の声を反映しながら、行政が気づいていない問題などを質し、答弁者は質問者の質問を真摯に受け止め、必要であれば行政の方針を変えながら、よりよいまちづくりを目指す議論」―これこそが「実りのある議論」だと…。つまりは野球用語の「スイング」に通じる感覚である。

 

 「議会と市長は対等の機関として、お互いに抑制、協力することで緊張感を保ちながら、自治体の運営に散り組む制度のこと」―。花巻市議会基本条例は「二元代表制」について、こう規定している。議会の憲法とも言われるこの精神が踏みにじられていることを知り、逆に仰天した。そして、今回の勇気ある“内部告発”に拍手を送りたい気持ちになった。来る12月定例会では“スイングする質疑”を十二分に駆使して、デッドラインに追い込まれつつある「図書館」論議に活路を開いていただきたい。N氏自身もブログの中で「これからはより一層、質の高い質疑による『実りのある議論』を増やしていきたい」と意欲を示している。

 

 

 

(写真は第1回目の検討会議。右側のマイクの人が市川部長=花巻駅前のなはんプラザで)

 

 

 

 

《追記ー1》~「カサブランカ」のあのセリフが!?

 

 1年間も“開店休業”を続けてなお、平然としている役所の怠慢に沸々と怒りがわいてきた。と突然、映画「カサブランカ」(1942年、米国)で、ハンフリ-・ボガ-トとイングリッド・バ-グマンとが交わしたあの名セリフが…。「昨日はどこに?」「そんな昔のことは覚えてない」「今夜会える?」「そんな先のことは分からない」―。そう、「その一瞬一瞬を懸命に生きることが大事なんだ。老い先が短いオレには開店休業しているヒマなんかない」

 

 

《追記―2》~賢治没後90年と図書館”幻想”

 

 宮沢賢治の没後90年の命日に当たる21日、わずか500字余りの掌編『圖書館幻想』を再読した。「おれはやっとのことで十階の床(ゆか)をふんで汗を拭った。そこの天井は途方もなく高かった。全體その天井や壁が灰色の陰影だけで出來てゐるのか、つめたい漆喰で固めあげられてゐるのかわからなかった。(さうだ。この巨きな室にダルゲが居るんだ。今度こそ會へるんだ)…

 

 こんな書き出しで始まる不思議の文章である。場所は東京・上野にあった帝国図書館(現在の国立国会図書館、通称“上野図書館”)で、文中の「ダルゲ」とは生前、一番心を許した親友の保坂嘉内とも言われるが、その交友関係の実相はいまだ闇に包まれたまま。この日、そぼ降る雨音を聴きながら、賢治にとっての図書館とは「夢を描く場」であると同時に心の「秘密」をそっと、隠しておくところだったのかもしれないと思った。賢治の記憶が詰まった病院跡地へ「イーハトーブ図書館」を実現したいという思いがますます、高まった。全文は以下から。

 

 

https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/4884_48380.html

 

 

《追記―3》~100年前と変わらない、いやもっと悪辣な政治家の精神構造

 

 「小汚い格好に加えチマ・チョゴリやアイヌのコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」―。ヘイトスピ-チの常習犯として知られる杉田水脈衆院議員(自民党)のこの発言について、札幌法務局は今月17日付で「人権侵害があった」と認定、本人に啓発した。この「空気」発言こそがまさに、言葉による“虐殺”そのものではないのか。

 

 国連女性差別撤廃委員会(2016年)に関する投稿だったが、関東大震災の際の朝鮮人虐殺事件(9月15付当ブログ参照)の教訓が生かされていないどころか、その事実さえなかったことにする形で差別感情がますます、拡散しつつあることにゾッとした。直近では広瀬めぐみ参院議員(自民党、岩手選挙区)の“エッフェル”事件を擁護するなど、自治体議員も含めた公人の資質の低下は目をおおうばかりである。

 

 

《追記―4》~「加虐、しいたげる側の顔というものは存在しません。加虐には顔がないのです」(詩人、(金時鐘=キムシジョン)

 

 差別というものは、遠巻きにするだけで相手に直接かかわらず、相手を対象としてすら見ないでいる中でますます執拗(しつよう)なものになってゆくと、詩人は言う。差別する者はそれゆえ、自分では差別しているとすら思わない。差別を被る側は逆に、そういう形で「離れ小島」のような場所に押し込められ、歪(いびつ)に塞いでゆくほかないのだと。講演「善意の素顔」(1997年)から。(9月23日付「朝日新聞」連載の鷲田清一「折々のことば」から)

 

 

《追記―5》~“異論”封じ、ついにここまで!!??

 

 反戦デモに許可なく参加したなどとして、愛知大は学生自治会役員の学生3人に退学の懲戒処分を通知した。3人は22日、「自治会の運動と組織を破壊するための政治的意図に基づく処分」と不当性を主張し、川井伸一学長に処分取り消しを求める再審査請求書を出した。3人によると、15日付の処分通知書は川井学長名で、「反戦デモに参加し、無断で『愛知大学学生自治会』の旗を掲げて」「本学公認の活動であるかのような外観を作出した」など6~7項目の「不適切な行為」が列挙されていた。愛知大広報課の担当者は取材に「個人情報の面でもコメントは差し控えたい」と述べ、処分の有無も明かさなかった(9月22日付「中日新聞」、要旨)

 

 

《追記―6》~行政文書は“不存在”!!??

 

 「2023年6月13日付でJR東日本から花巻市宛てに発出された『土地譲渡』交渉の回答(メ-ル送信)以降の交渉経緯を明示する各種公文書の開示」―。今月19日付のこの文書開示請求に対して25日午後、「当該文書は不存在」という回答が電話であった。ということは、この間3か月以上の間、JR東日本との「土地譲渡」交渉はなかったということか。はたまた、「非公式」つまり“秘密裡”に交渉を続けてきたということなのか。新図書館をめぐる“闇(やみ)”の構図は深まるばかりである。

 

 

 

 

 

2023.09.20:masuko:[ヒカリノミチ通信について]

この記事へのコメントはこちら

※このコメントを編集・削除するためのパスワードです。
※半角英数字4文字で入力して下さい。記号は使用できません。