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花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦3日目(雪中選挙の風景)

  • 花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦3日目(雪中選挙の風景)

 

 猛吹雪に見舞われた18日夕、花巻市の西南地区で一台の軽乗用車が路肩の雪だまりに突っ込み、動けなくなっている場面に遭遇した。次期市長選の立候補者、小原雅道氏(61)がすかさず選車を飛び出すと、4人のウグイス嬢と運転手さんがこれに続いた。振り向きざまに事態の急変に気がついた先導車の私を含めたSNS班(広報担当)3人が雪道に足を取られながら、現場へ。陣頭指揮をとる「トップ」がそこにいた。

 

 「スコップ、スコップ。シャベルでもいいぞ」…。トップこと「まさみち」さん自らが雪に埋まった前輪周辺の雪をかきだしている。「それ、押せ、もっともっと」。総がかりで重心をかけると、車体が少しづつ動き始めた。「最後の運転はオレにまかせろ」とまさみちさん。選挙のタスキがけのまま、運転席に乗り込むとす~っと、車体が動き出して脱出に成功。「自力で脱出したぞ-」と得意満面の当事者のかたわらで、お年寄りがしきりに頭を下げている。近所の住む84歳の男性で、「買い物に行く途中、急にハンドルを取られた。選挙、がんばってください」―

 

 「見て見ぬふりはできないという性格。悩み事にはもう一直線」―。(後援会便り「まさみち通信」第2号)の中で、妻の智香子さんはこう語っている。まさに、そうだった。もう”脱兎“のごとくに一直線…。雪帽子をかぶりながら、目の前のこの男は首長になるための?予行演習”をしているのではないかと、心底、そんな気持ちにさせられた。

 

 「子どもたちには夢を 若者には希望を お年寄りには安心を」、「誰ひとり取り残さない!優しさを後回しにしない!」(リーフレットから)―。それにしても、”公約”を前倒しして実行するなんて、まさみちさん、ちょっと格好良すぎじゃありません。こうなったら、一日も早く「小原市長」の雄姿を見たくなるのが人情というものである。

 

 

 

(写真は雪に埋まった車輪の雪をかきだす「まさみち」さん=12月18日、午後4時半すぎ、花巻市の西南地区で)

 

 

 

《追記》~コメント欄に脱出行の組み写真を掲載

花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦2日目

  • 花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦2日目

 

8:14~選挙選2日目の第一声は食品加工場の敷地内。従業員を前に地元企業の底上げについて、「となりの北上市に人口が抜かれ、県内5位に転落した。でも、私は悲観していない。お互いの長所を生かし、“仲良し連合”を築いていきたい」。近くの工業団地内では出勤途中の従業員たちが窓を開けて、手を振る姿が…

 

8:48~看板屋さんの前で、二人の男性がいまや遅しと待ち構えていた。奥の玄関から父親らしい男性がよろけながら出てきた。同乗の後援会幹部の知り合い。「頼むじゃ、な」

 

9:22~まさみちさんの神出鬼没ぶりは相変わらず、健在。支援者の会社の駐車場に空きがあるのを見つけると、「ちょっと、止めて」。マイクを握ったとたん、女子従業員たちの黄色い声援。思わず、ほっこり

 

9:51~開店直後のス-パ-。買い物に訪れた中年の女性が車を降りて、駆け寄った。「(駅橋上化に)38億円もかける意味はあるのか」。身をかがめながら、訴えに耳を傾けるまさみちさん、近くに住む子どもも加わっての談笑のひと時。「聞く人」の面目躍如

 

10:00~住宅街の一角―。上の方から「がんばれ」の声。見上げると、雪下ろしの男性二人組

 

10:29~街角のコンビニの駐車場を拝借しての決意表明。ふと気が付くと「恵方巻」ののぼりがヒラヒラ。なんとも縁起が良いこと、コンビニさん、ありがとう

 

10:41~事務所近くのス-パ-前で街宣。先導車に同乗した(市議の伊藤)盛幸さんが絶叫型の応援演説。思わず、「聞こえますか」と事務所にラインメ-ル。「聞こえましたよ」と即返信

 

11:23~まさみちさん旧知の自動車工場の経営者とばったり。長年、市の防災委員として貢献。「オラも歳だがら、早く市長になって市政功労で表彰してくれや」と破顔一笑。まさみちさんもつられて、ガッツポ-ズ

 

11:43~久しぶりの晴天に恵まれ、キラキラと輝く雪原が目にまぶしい。留守番役のお年寄りたちが遊説の声を聞きつけて、あちこちで手を振っている。脱兎のごとくに駆け寄るまさみちさん。日に日に足が速くなってきた

 

12:45~午後最初の街宣は保育園の近く。先導車で向かうと、「いまはお昼寝タイムだから、ダメ」とウグイス嬢。さすが、子育て経験が豊かなベテラン

 

14:10~シルバ-人材センタ-近くで街宣中、職員3人が建物から飛び出してきた。突然の街宣を怒られると思いきや、「理事長と専務が不在で、ご挨拶ができなくって…。頑張ってください」。女子高校前を通過中、今度は「がんばって」という黄色い声援が校舎の一角から。「清き一票をよろしく」と大声で返答

 

15:17~旧花巻市の中心市街地のど真ん中。老舗書店「誠山房」があった場所にはいま、3・11の被災者が住む災害公営住宅が建っている。コンビニが負担すべき共益費を被災者に肩代わりさせていたという不祥事は記憶に新しい。この一帯には現市政の“負の遺産”が集中している。「住民参加の市政を」―。まさみちさんの弁舌に一段と力が入った

 

15:34~スーパーの買い物客にねらいを定めた街宣中、遺族会の地区会長を務めているという老人が帽子を脱いで近づいてきた。「終戦の日はいつも心のこもったご挨拶をいただきありがとうございました。今度は必ず、市長さんになって、花巻を変えてください。あなたにはそれができる」―。まさみちさんも最敬礼で頭を下げた

 

17:00~この日の街宣先導は終わり。地球から最も遠くに見える満月(ウルフムーン)が中天の夜空にポッカリと浮かんでいる(実際は1月18日)。「幸福」を問い直す日に当たるのだという。そう、「本当の幸せ」を選択する運命の日が5日後に迫っている

 

 

 

 

(写真はスーパ-を訪れた女性の訴えに耳を傾ける「聞く耳」を持つまさみちさん=12月18日午前、花巻市内のス-パ-で)

 

 

 

《追記》~“脱兎”(だっと)のごとく(コメント欄に写真)

 

 「始めは処女のごとく、後は脱兎のごとく」(孫氏の兵法)―。遠くで手を振るお年寄りを見つけてはすぐに駆けつけるまさみちさん。その姿を目で追っているうちに、この言葉を思い出した。そういえば、兔は耳も長い。「聞く耳」をもつまさみちさんにぴったり。

 

 

 

 

 

 

 

花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦初日

  • 花巻市長選告示…ドキュメント「まさみちが往(い)く」~選挙戦初日

 

 新しい首長を決める花巻市長選が16日告示され、前市議会議長の小原雅道氏(61)と現職の上田東一氏(67)の二人による一騎打ちの選挙戦の火ぶたが切って落とされた。23日投開票され、午後10時ごろには当落が判明する。挑戦する側の新人、小原氏は市内小舟渡の後援会事務所前で第一声。「本日未明に発令された津波アラートで被害が出ないことをまず、祈りたい。市政にとって一番、大切なのは心。トップダウンから市民総参画の市政へ」と約350人の支援者を前に檄(げき)を飛ばして、いざ出陣。以下は小原氏に同行したドキュメント「まさみちが往く」―

 

 

10:51~地元東和町―中心街の沿道約100㍍を埋め尽くした200人以上が拍手と歓声で迎える。リ-フレットをかざしながら、手を振る住民たち。マフラ-をグルグル巻きしたおばあちゃんが雪に埋もれそうになりながら、何かを叫んでいる

 

11:07~山道に入った。人影が薄くなり、「まさみちです」という雄叫びだけがはね返ってくる。カラスたちが空を舞っている

 

11:18~バス停に頬かぶりしたおばあちゃんがひとり。まさみちさんが選車を飛び出して、グ-タッチ。コロナ禍の中で登場した新しいスタイルがお年寄りの世界でも当たり前に

 

11:38~沿道の民家からガン、ガンと窓をたたく音が…家族が総出で万歳ポ-ズ。厳寒の中での最大の応援ポーズに感謝感激

 

13:27~東和を出て、大迫へ。道中は人家がまばら。それでも、まさみちさんの訴えの力は衰えを知らない。「だって、人間だけでなく、自然もおんなじ仲間だもん」―まさみち選車の堂々の行進

 

12:45~大迫到着。霊峰・早池峰のふもとで第一声。「この地には伝統の神楽もワインもある」。まさみちさんの演説も絶好調に

 

15:14~石鳥谷での第一声。「耳を傾けるべきは、この足元の現場にこそある」―だんだん良くなる法華の太鼓

 

16:00~雪払いのおばあちゃんを見つけた智香子夫人が「ストップ、ストップ」。夫唱婦随のグッドタイミングにおばあちゃんも思わず、ニッコリ。「頑張ってや」

 

16:09~今度はまさみちさんがウグイス嬢に促されて、すたこらさっさ。走る、走る。まさみちさんが走る。夫唱婦随の選挙選の本格スタ-ト。雪がひとしきり、激しくなってきた

 

16:17~選車と先導車の窓は手振り用に開けっ放し。「冷蔵庫の中の方がぬぐいな」と運転手さんのひとり言。それでも、ウグイス嬢は腕を突き出して、「ありがとうございます」。かたわらの先導役の男性は「女性は強いな」

 

16:59:宮野目公民館で支援者が首を長くして待っている―という緊急連絡。連絡の手違いと雪の悪路の中で1時間の遅刻。でも、残ってくれていた人たちは笑顔で迎えてくれ、あちこちでグ-タッチの輪が…。降りしきる雪の中、午後6時すぎに無事、事務所に帰着。まずはどんど晴れの初日

 

 

 

 

(写真は「勝つぞ」コ-ルでこぶしを振り上げる支援者たち=12月16日午前11時前、東和町の総合支所前で)

 

 

 

 

上田市政の2期8年と「ドウリズム」の喪失…失われた8年

  • 上田市政の2期8年と「ドウリズム」の喪失…失われた8年

 

 かつて、このまちに「ドウリズム」を掲げた首長がいた。旧花巻町長を2期務めた北山愛郎(1905―2002年)である。終生、中国の人民服である“国民服”を愛用し、社会党(当時)の副委員長にまで上りつめたが、町長時代のスロ-ガンは「ドウリズム」(道理主義)に徹していた。つまり、市政運営が「道理」に合致しているかどうかが「愛郎流デモクラシ-」の原点であった。昭和22年、社会党公認で激戦を制した北山はまだ47歳の若さ。母親の世代が「アイロ-さん、アイロ-さん」と叫びながら、選挙カ-の“追っかけ”をしていた光景を子ども心に記憶している。当の本人はその時の気持ちの高ぶりをこう記している。

 

 「僕が何か一言話すたびに猛烈な拍手が起こり、女の人たちはボロボロ涙を流して泣き出し、自分でももう何を話しているのかわからなくなった。限りない感激だった。私は『もうひとつの政治』を発見した気がした。草の根にある政治の芽を見つけたのだ。物言わぬ大衆のなかに、本当に道理の感覚があることを知ったのだ。この人たちを失望させてはならない、期待に応えなくてはならない、と決意した」―。ひとり娘の郁子さんが父の想い出を書いた『ドウリズムの政治』(2010年)の中の一節である。市議会議員に初当選したばかりの私はガツンと一撃されたような衝撃に打ちのめされた。

 

 「花巻に新しい風を!」―。2014(平成26)年1月26日、こんなスロ-ガンを掲げた新人が前職に1万票以上の大差をつけて、新しい市長に選ばれた。現職で3期目を目指す上田東一氏(67)である。北山と同じ東京大学法学部の出身で、商社マンとしての海外生活などそのまばゆいばかりの経歴も大勝の要因だったのかもしれない。「上田さんを勝手に応援する会」(「上田勝手連」)を立ち上げた私はさっそく、「同学の先輩の政治哲学をぜひ、市政に生かしていただきたい」と例の本を携えてお祝いに駆けつけた。「ありがたく学ばせていただきたい」―。こう述べた当時の上田氏のさわやかな表情をまだ忘れない。「きっと、イ-ハト-ブは生まれ変わる」と私はその時、確信した。

 

 「ドウリズム」から「パワハラ」疑惑へ―。あれからさらに、長いようで短い8年の歳月が流れた。目の前の選挙の風景は目の錯誤かと思われるほどの様変わりを見せている。この間、わがふるさと「イ-ハト-ブ」には一体、何が起きたというのであろうか。「内心、忸怩(じくじ)たるものがある」などという安直な言葉を拒絶する声が聞こえてくる。「現職の横暴を許したのは一市民であると同時に議員経験もあるオマエの責任でもあるのだ」―と。いま、まるで攻守ところを変えたように、新人候補の小原雅道氏(61)が現職との一騎打ちに挑もうとしている。選択する側の責任がいまほど、問われることはない。新しい首長を選ぶ市長選は16日告示され、23日に投開票される。

 

 

 

 

(写真は「アイロ-」さんの愛称で親しまれたありし日の北山町長=インタ-ネット上に公開の写真から)

 

 

 

選挙の風景―その7…待ったなし!一本勝負!!~決まり手は一本背負い!!!

  • 選挙の風景―その7…待ったなし!一本勝負!!~決まり手は一本背負い!!!

 

 次期花巻市長選の告示を3日後に控えた13日、立候補を予定している現職の上田東一市長(67)と初挑戦となる前市議会議長の小原雅道氏(61)による公開討論会が花巻青年会議所の主催で行われた(市文化会館)。あらかじめ提示された設問に答える形で両氏が熱のこもった討論を展開。市内の高校生がアンケ-トなどで集めた市民の声も紹介され、参加者は身を乗り出すようにして聞き入った。こんな時に役立つのは「昔、取った杵柄(きねづか)」…新聞記者時代の経験。選挙取材は「公平」を旨とすべしという鉄則を思い出しながら、土俵上の取り組みに見入った。以下はその観戦記―

 

 「コロナ対策や温泉支援、米価下落への補助など打つ手はすべて尽くしてきた」―。立ち合い、上田氏は現職の強みを生かして、小原氏をぐいぐいと土俵際に追い込んだ。2期8年間の実績を次々に披露し、「この勢いを止めることはしない」と語気を強めた。たとえば、と言って固有名詞の企業名を口にすると、すかさず行司役(の私)から「勇み足」の注意が…。「残った、残った」…小原氏が踏んばったのは「(人口の)社会増」論争に突入した時。形勢の逆転につながった歴史に残る名場面である。

 

 「令和元年度から当市の人口は社会増に転じている。子育て世代や移住者に対する手厚い政策の成果だ」と上田氏が胸を張ると、小原氏はこう反論した。「その中にはお隣の北上市に立地した半導体メ-カ-『キオクシア』の従業員が当市に居を構えた、いわゆる“キオシクア”効果も含まれている。それどころか、昨年12月には人口も北上市に抜かれて、県内の第5位に転落した。これからはエリア全体の連携が不可欠。私は近隣の市町村と友好関係を築き、当市を含めた地域全体の浮揚策に全力を挙げたい。最近、北上市長ともじっくりと意見交換した」―。じりじりと土俵中央に追い戻したと思いきや、今度は上田氏が起死回生の一手を繰り出した。市民の関心が大きい「JR花巻駅の橋上化」問題である。

 

 「国の有利な補助が期待できるうちに手を付けるのが首長の役目。じっくりと構えているとその金ももらえなくなる。全体像を考えるのはそれから。市民から具体的な提案があれば別だが…」と上田氏。小原氏が落ち着いた表情で切り返した。「議員に成りたてのころ、政治の先達から、先に期限を付けてはだめ。10年、20年先の展望を持たなければ失格だと教えられた。補助金があるから、何かをしようではなく、市民にとって何が必要かを考え、皆さまと一緒に持続できる花巻を作っていきたい」―。俵(たわら)に片足を残しながらの一本背負いで、勝負あり。齢(よわい)81歳―若干、記者魂が衰えてきた身びいきな判定かもしれないが、さ~て、観戦に足を運んだ150人ほどの皆さんの行司軍配はいかに!!??新しい市長を決める選挙はあと1週間余りに迫った。

 

 

 

(写真は公開討論会を知らせるチラシ)

 

 

 

 

《追記》~「無責任」体制という機能不全

 

 

 当ブログでも再三、言及してきた災害公営住宅における共益費の入居者(被災者)への「肩代わり」問題の経緯を明らかにするため、市議会産業建設特別委員会(近村晴男委員長ら8人)が14日開かれ、当局側から鈴木之・建設部長らが出席。「契約書の中には電気代などの共益費については一階に併設するコンビニ側(3戸分に相当)も負担すると明記されていたが、現場の担当者がそのことを失念。後任にも引き継ぎを怠っていた」と現場に責任を転嫁するような発言があった。現在、建設部内ではこの案件を担当した職員が長期の病気休職に入っているほか、複数の第一線職員も病欠している。今回の選挙戦でも現職市長の「パワハラ」疑惑が取り沙汰されており、こうした“もの言えぬ”職場の雰囲気が組織全体の機能不全を招いているのではないかという声が高まっている。